2014年7月30日 (水) 掲載

◎きたくりん 作付面積倍増…JA新はこだて管内水稲新品種

 JA新はこだて(畠山良一組合長)管内で、市場デビュー2年目を迎える水稲新品種「きたくりん」の作付面積が140fと昨年に比べ倍増した。慣行より農薬を節減して栽培でき、特徴のあるコメとして生産者の意欲も旺盛。来年産以降に向けてJA独自の手引書を作り、経験のない人でもスムーズな導入を後押しする。

 JAによると、今年は管内1市9町の108戸が栽培。戸数は昨年の50戸に比べ2倍以上に増加した。面積の内訳は北斗市50f、せたな町25f、厚沢部町18fなどとなり、集荷量は700dを目指す。

 きたくりんは、いもち病に強く、農薬を慣行の半分以下に抑えて栽培。JA管内の主力品種「ふっくりんこ」は良食味が売りで、消費者ニーズに合う2つを基幹品種として育てていく考えだ。  手引書(A4判、全カラー4n)は、道総研道南農試、渡島、桧山両農業改良普及センターの協力を得て5月に500部を作成。防除回数を削減でき、防除コスト減につながるメリットも示している。JAは「農家が導入しやすい環境をつくることが重要」(米穀課)と強調する。

 JAは今年産から、米袋を一新する予定。昨年の新しいコメが「生まれた」から、今年は「育って歩き始めた」というイメージを表現する。食べて知ってもらうため、市販用は通常5`入りだが、価格を据え置いたまま0・3`(2合分)増量し5・3`入りでお得感を出す試みも計画している。

 三浦治米穀課長は「農薬を節減したコメとして、認知度を高めていきたい」と話している。(山崎大和)



◎優美な「能の舞」披露…箱館奉行所5周年記念

 箱館奉行所(田原良信館長)は29日、開館5周年を記念し、同館南庭で「能の舞」を披露した。また、先着300人にポストカードの配布も行い、記念日を祝った。

 田原館長は「5回目の開館記念日を迎えることができた。今日は、伝統芸能の世界を堪能していってほしい」とあいさつした。能の舞には、函館出身でシテ方金春流能楽師の柏崎真由子さんと、ともに能を学んでいる林美佐さんが出演。2人は能の中心であり、物語をいざなう「謡い」と「舞」について解説し、祝い事に適した能「高砂」の一節である「千秋楽」を、来館者と一緒に謡った。

 演目は、能の見せどころのみを舞う、仕舞の「羽衣キリ」と「舟弁慶キリ」。2人は扇やなぎなたを手に、謡いに合わせて優美な舞を披露した。市内五稜郭町の主婦(80)は「函館ではなかなか能を見る機会がないので、とてもうれしい。大変素晴らしかった」と話していた。 (虎谷綾子)



◎道南のDV相談 昨年度4800件

 家族や配偶者からの暴力「DV(ドメスティック・バイオレンス)」に関し、渡島・桧山管内から函館市内の関係機関に寄せられた昨年度の相談件数は、前年度比765件減の4816件だったことが、市のまとめで分かった。過去10年間で2番目に多い水準で、関係機関は各種啓発活動を通じてDV被害の撲滅を目指す方針。

 29日に市総合保健センターで開かれた、市配偶者等からの暴力対策関係機関協議会(会長・岡崎圭子市子ども未来部長)代表者会議で示された。  相談件数は11の窓口で取り扱った事例を合計。このうち全体の9割を占める4329件が、DV被害者支援を行っているNPO法人ウィメンズネット函館に寄せられた。

 同団体の相談件数は延べ件数で、本年度は前年度比908件減と大幅に減少。古川満寿子理事長は会合で「昨年度は少し落ち着いた。(相談を受けた)実人数は300人ほど」としている。

 緊急性が高いと判断し、シェルターで一時保護したのは前年度比4件減の56件だった。このほか、全窓口を合わせた男性被害者からの相談は12件。加害者からの相談も7件あった。

 一方、市が昨年7月から子ども未来部内に設けた「市配偶者暴力相談支援センター」には218件の相談が寄せられ、住民基本台帳の閲覧制限など75件の証明発行を行ったと報告。同部は「これまで年10件程度だったが、センター開設で大幅に増えた」としている。(千葉卓陽)


◎JAL函館—羽田25周年 児童が羽田の施設見学

 【東京】日本航空(JAL)函館|東京(羽田)線就航25周年記念イベント「学校では受けられない授業」(JAL函館支店、函館新聞社主催)が29日に開かれ、道南の小学4〜6年生とその保護者の10組20人が、羽田空港(東京)敷地内にある施設で機体整備工場の見学などを行った。

 参加者は今月18日から函館|東京線に導入した新仕様機材「JAL SKY NEXT」に乗り込み、東京着。JALオペレーションセンターでの昼食は、羽田|韓国線で提供される機内食を楽しんだ。

 次にJALメンテナンスセンターへ移動。同社広報スタッフによる航空教室では、飛行機で使用する燃料、飛ぶ仕組みなどをメモを取って聞き入り、スカイミュージアムではキャビンアテンダントの制服着用体験や、運航乗務員などの仕事内容をパネルで学んだ。機体整備工場では実際に整備中の機体を間近で見学。エンジンの大きさや翼の長さなど、本物の迫力に驚いていた。

 最後はテクニカルセンターで、フライトシミュレーターによる飛行機の操縦体験に挑戦。本物と同じ仕様のコックピットで機長席に座り、緊張した面持ちでレバーを握り、羽田空港での離着陸を画面を見ながら行った。帰りに羽田から函館に向かう機内では、窓から、教室で学んだ翼の動きなどを見つめる姿が見られた。

 参加した函館高盛小5年の木戸歩君(10)は「シミュレーターが楽しかった。離陸より着陸の方が緊張した」、父・忍さん(49)は「見学内容が濃くて充実した一日でした」と話していた。(山崎純一)