2014年7月4日 (金) 掲載

◎大間原発訴訟初弁論、国と電源開発 争う姿勢

 【東京】函館市が国と電源開発(東京)を相手取り、大間原発(青森県大間町)の建設差し止めを求めた訴訟の第1回口頭弁論が3日、東京地裁(増田稔裁判長)で開かれた。工藤寿樹市長が意見陳述を行い、「福島第一原発事故を踏まえて原発建設に関する手続きや手順を見直すことなく、建設を続行するのは極めて横暴」と批判した一方、国は意見陳述で「原告としての適格が認められない」などと述べ、訴えを却下するよう求めた。電源開発も争う姿勢を示した。

 自治体による原発建設差し止め請求訴訟は、全国で初めて。

 函館市は緊急防護準備区域(UPZ)の半径30`圏内に位置する一方、原発建設の同意手続きを求められていないことから、訴状で「立地自治体と周辺自治体を不公平に扱っている」と指摘。国に対し、原子炉設置許可の無効を求めるとともに、市が同意するまで建設停止を命ずるよう求めている。電源開発に対しては「万が一過酷事故が起きれば重大な被害を受け、地方自治体として存立できない」とし、建設の差し止めを求めた。

 工藤市長は約33分間にわたって意見陳述を行い、プルトニウムとウランを混合した世界初のフルMOX原子炉である点や活断層の存在の可能性、国際海峡に面し、テロ対策に弱い—などの危険性を指摘。

 その上で、福島事故以前の審査基準で許可され、実効性のある避難計画が策定できるかどうかが確認されていないとし、大間原発建設の即時中止を求めた。また、30`圏内に含まれる市に同意権を与えるべきだと訴えた。

 一方、国は約5分間の意見陳述で、市が訴えの根拠として示した「地方自治体の存立を維持する権利」について「地方自治は、函館市の主観的な権利として保障されているものではなく、原告としての適格を欠いている」と主張し、“門前払い”を求めた。電源開発も答弁書で市に対し「原告適格がない」と指摘し、国と同様に却下を求めた。改行 次回の口頭弁論は10月29日に同地裁で開かれる。(千葉卓陽)



◎道理容競技大会第1部門で安藤さん優勝

 函館市昭和4の理容店「スキルカンパニーロネッツ」の安藤繁樹さん(46)が、第67回北海道理容競技大会の第1部門クラシカルカット・ファッションカテゴリーで優勝し、10月に山形県で開かれる全国大会への出場を決めた。また、同店の高橋尚也さん(20)が第5部問クラシカル・バックスタイル・ドライヤーセットで優勝した。

 道理容生活衛生同業組合主催。毛の流れや髪型のタッチの独自性などを競う第1部門など6部門あり、第1〜3部門は全国大会につながっている。定められた時間内で規定をクリアすることを条件に、セットの技術や出来栄えなどを競う。

 安藤さんは2010年まで同大会8連覇を成し遂げており、今回が12回目の出場。「3年連続で優勝を逃し、これが最後だという気持ちで大会に臨んだ。集大成として思いっきりやろうと思った」。第1部門には前回の優勝者を含め5人が参加した。全国へ向け「周囲の応援や期待に応えられるよう、優勝を目指し頑張りたい」と力強く語る。

 高橋さんは3月に函館理容美容専門学校を卒業し、理容師としての道を歩み始めたばかりの新人。優勝した第5部門には13人が出場した。「来年は第3部門レンドカット・オン・メンズで優勝し、全国大会に行くのが目標」と新たな目標を掲げ、腕を磨いている。(平尾美陽子)



◎「ミニベロ輪行」道南観光に最適

 タイヤサイズの小さい自転車、ミニベロの愛好家の一団が2日、首都圏から函館入りし、道南観光を楽しんでいる。街乗りと遠乗りの両方を楽しめるのが魅力で、愛好家らは「道南観光に最適」と太鼓判を押す。函館ではまだなじみは薄いが、首都圏ではファンは多いという。地元の関係者は「新幹線開業に向け、観光客誘致の新たな切り口になる」と期待を寄せている。

 ミニベロは、タイヤサイズが20インチ以下の自転車で、小径車とも呼ばれる。小さく折りたたむことができ、目的地まで飛行機や列車など交通機関で運ぶ「輪行」にぴったりの乗り物として人気が高い。競技用やロードレーサーに比べるとスピードは出ないが、小回りが利くことが特徴だ。

 来函したのは、東京や横浜のミニベロ専門店の代表や自転車デザイナー、専門誌の編集長ら7人で、全国各地で輪行を楽しむ仲間。これまでも新幹線を使った輪行などを数多く行っている。一行は2日に羽田から飛行機で函館入り。到着してすぐに元町やベイエリアなど市内の観光地をめぐり、3日は大沼まで足を伸ばして自然を満喫した。

 横浜で専門店を経営する鈴木潤さん(42)は「ペダルを漕いでは、止まり、食や歴史などその土地に触れることができるのがミニベロの魅力」と説明。「函館市内では街を縫うように走り、教会や坂などの景観や食を満喫した」。東京で専門店を営む渋谷正昭さん(51)も「ロケーションが最高。街なかも走りやすい」と満足そうに話す。

 函館側で受け入れを担当した市内の自営業、村瀬知史さん(46)は「新幹線が開業すれば輪行はこれまで以上にしやすくなる。全国のファンを呼び込んでいきたい」と意気込んでいる。4日は北斗市のトラピスト修道院を目指すという。 (松宮一郎)


◎道議会定数、函館市区も削減対象

 【札幌】来春の道議選に向けて定数削減の協議を続けている道議会の定数等検討協議会(東国幹座長)は3日、現定数104を3増6減し101とする座長私案を発表した。定数6の函館市選挙区が1減の対象となっており、政党関係者は事態を注視している。

 私案では、1人区の千歳市と岩見沢市をそれぞれ1増の2、同じく1人区の紋別市はオホーツク管内(定数2)に合区し定数3とする。定数減の選挙区は留萌市(1→0)、紋別市(1→0)、後志管内(3→2)、胆振管内(2→1)、釧路管内(2→1)、函館市(6→5)。

 選挙区の定数は、人口が基準となる。2010年国勢調査の結果から、人口の割に議席が少ない千歳市や岩見沢市を増やし、人口減が続く留萌市や函館市は削減対象となった。座長私案によると、函館市は5・27議席分の人口しかなく、同じく定数6の旭川市は6・56議席分ある。こうした「不均衡」から判断された。

 函館市選挙区にはこれまで、自民党現職2人、民主党現職2人と新人1人、公明党現職1人、共産党新人1人の7人の出馬が決まっている。今後の協議次第だが、仮に1減の定数5となると「大激戦は必至」(現職道議)。

 すでに現有3議席の維持を目指し一次公認3人を発表した民主党道第8総支部の道畑克雄幹事長は「定数削減は決定事項ではなく、推移を見守るしかない」と話す。党内には「定数5の前提に立って3人擁立を決めたものではない」との声もある。自民党も党勢拡大を目指しているが、定数協議の行方は選挙戦略に影響しそうだ。

 座長私案に対する各会派の意見は8月5日まで取りまとめ、9月に開会する第3回定例道議会で定数条例を改正する予定。(高柳 謙)