2014年8月20日 (水) 掲載

◎サマーキャンプ構想始動、道内で16年実施に向け

 道内外の教育系のNPO法人関係者が中心となり、全国の子どもたちが夏休みを北海道で過ごすサマーキャンプ(SC)の構想が動き始めた。18、19の両日、関係者が七飯町東大沼で展開中の福島県の子どもたちを対象とした自然体験活動「ふくしまキッズ」を視察。同事業で築いたネットワークやノウハウを土台として、北海道新幹線開業後の2016年夏に「ジャパンキッズ」として開催する考えだ。

 酷暑を避け、冷涼な本道で夏休みを過ごすSCは06年から検討されていたが、11年に東日本大震災と福島第1原発事故が発生し、ふくしまキッズがスタート。七飯町東大沼の流山温泉をはじめとして道内外に受け入れ先が生まれ、子どもたちが地域の大人とのかかわりを持つことで自主性や協調性をはぐくむ社会教育活動に成長した。

 ただ、ふくしまキッズは来夏で終了するが、副実行委員長で、NPO法人教育支援協会の吉田博彦代表理事(62)は「当初は、地域との交流が子どもたちの成長につながる教育的効果には着目していなかったが、子どもたちを受け入れる側も活動の良さに気がつき、地域の活性化につながる土壌ができた。協力体制は大きい」とする。

 SC構想では、新幹線で結ばれる関東以北からの参加を想定。新函館北斗駅から短時間で移動できる流山温泉にゲートウエイとしての役割を持たせ、短期間から、中長期の滞在にも対応する。新千歳空港を玄関口にして、道内各地の受け入れ先との関係を生かしたコースも検討。これまでの支援活動とは違い、事業の採算性も考慮し、本州と道内に事務局機能を設置する考え。いずれは、中国や韓国から参加を募り「アジアキッズ」としての展開も見据えている。

 18日には自民党の喜多龍一道議や宮内孝渡島総合振興局長、東日本大震災復興支援財団関係者らが流山温泉を訪れ、NPO関係者と事業構想について意見を交わした。教育社会学に詳しい千葉敬愛短期大学の明石要一学長(66)は「自然体験活動は自己表現の場。北海道の持つオープンな文化に触れることは、グローバルな体験にもつながる」と話していた。(今井正一)



◎無料市電で北方領土返還訴え

 函館市などは19日、無料電車「北方領土返還号」を運行した。北方領土返還要求運動強調月間(8月)に合わせた取り組みで、車内には北方領土の写真や返還運動のポスターを掲示。乗客にリーフレットを配布し、署名協力を求めた。

 市と渡島総合振興局、北方領土復帰期成同盟渡島地方支部(村上幸輝支部長支部長)、千島歯舞諸島居住者連盟函館支部(坂上範夫支部長)の主催。

 今年で13年目の取り組みで、電車は湯の川|谷地頭間を1往復した。あいにくの天候で乗客は計103人と少なかったが、88人から署名の協力を得た。車内にはこの日、函館に入港した客船「ダイヤモンド・プリンセス」の乗客も乗り合わせ、クルーズの途中で見た北方領土の景色を重ね合わせ、リーフレットを読み込んでいた。

 期成同盟の工藤孝幸事務局長は「旅行中の方にも関心を持ってもらい、署名に応じてもらった。ロシアとの情勢が厳しい中での活動だが、昨年よりも増やしていけるよう活動していきたい」と話した。また、坂上支部長は「毎年、反応が良くなっている。活動はこれからも続くので頑張っていきたい」と話していた。(今井正一)



◎市内小中学校で始業式

 函館市内の多くの小中学校は19日、2学期の始業式を行った。日焼けがまだ残る面持ちの児童たちは、久々に会う友達と自由研究の作品を見せ合い、旅行先の出来事を楽しそうに話していた。

 函館八幡小学校(大堂譲校長、児童374人)は、同校体育館で夏休み明け集会を開いた。大堂校長は「夏休み中は、規則正しい生活や、休みでないとできない経験ができましたか。これからは落ち着いた気持ちで勉強を頑張りましょう」とあいさつした。

 式後は各教室へ移動し、個性豊かな自由研究と楽しかった夏休みの思い出を元気いっぱいに発表した。

 1年生の小鹿将太郎君(7)は自由研究でお母さんと「びっくりへび」(箱からヘビが飛び出す仕掛け)を作り「海で遊び、おばあちゃんの家に行ったことが一番の思い出」と笑顔。ドールハウス調のかわいい小物入れを作った渡辺柚月さん(6)は「家族でキャンプや川遊びや花火をして、とても面白かった」と話した。

 市教育委員会によると、この日、市立の小学校46校と中学校28校が新学期を迎えた。(斎藤彩伽)


◎北斗出身・佐藤さん部長の札龍谷高、全国ダンス選手権で優勝

 北斗市出身で、札幌龍谷学園高校ダンス部部長の佐藤まなさん(3年)が率いた同部がこのほど、全国高校ダンスドリル選手権大会ヒップホップ女子ミディアム部門で優勝した。佐藤さんは「全国制覇するという自分の思いをしっかり伝えることができた結果」と喜んでいる。

 佐藤さんは小学4年からダンスを始め、函館のダンススタジオ「Rダンスカンパニー」(山崎理恵主宰)で研さんを積み、さらに自身を高めようと同部に進んだ。1年からレギュラーで、7月の同大会で同部として初優勝を達成。2年時は入賞を果たせず、先輩から部長を託された。

 今年3月に千葉で行われた別の全国大会で4位となた。佐藤さん以外の部員は初の入賞に自信を持ったが、3位とは大差の結果に、部長として「もう一度、基本からやらなければ全国とのレベル差は縮まらない」と決意し、筋力アップや基礎練習を徹底した。しかし、部員同士で意見が合わず、チームワークの難しさにぶつかったこともあった。

 佐藤さんは寺下香奈顧問に相談。「怒ることも必要だが、言葉で自分の思いを伝え続けることが大切と分かった」と話す。全国大会に向け、細かく早い動きの振り付けを身につける中、話し合いを繰り返し、士気を高めた。寺下顧問は「全員で大きなことを乗り越えたようだった」と仕上がりの良さを話す。

 8月2、3日に大阪で開かれた全国大会は、ライバル校を圧倒する結果だった。「不安はなく臨めた。みんなのおかげ」と振り返る。これからは夢であるダンスの先生なることに向かう。「勉強もしっかりして叶えたい」と笑顔をはじかせた。