2014年8月24日 (日) 掲載

◎テーマは「健康」国際科学祭開幕

 「はこだて国際科学祭2014」(サイエンス・サポート函館主催)が23日、五稜郭タワーなどを会場に始まった。初日は、オープニングイベントをはじめとする8企画が開催され、多くの市民がイベントを楽しんだ。31日までの9日間、市内各地で「健康」をテーマにした、さまざまな企画を展開する。

 ○…市青年センターでは、大人向け企画「みえる!さわれる!DNAをとりだそう!」(市青年センター主催)が開かれた。NPO法人くらしとバイオプラザ21の佐々義子さんが講師を務め、身近にある道具を使ったDNAの粗抽出実験を行った。

 参加者は、バナナや鳥肉などの食材をすりつぶした液にエタノールを注ぐと、DNA以外の物質が溶けてDNAが残り、粗抽出が完了。佐々さんは「植物も動物も、同じ手順で同じものが抽出できる。DNAが共通しているということが分かる」と説明し、成田樹さん(16)は「実験の結果がはっきりと出て楽しかった」と笑顔を見せた。

 ○…五稜郭タワーで開かれたオープニングイベント「サイエンスダイアログ」には、市立函館病院の木村純院長、国立がん研究センターたばこ政策研究部の望月友美子部長、サイエンス・サポート函館の美馬のゆり代表が登場。

 美馬代表が函館市民の健康寿命が全国平均より短いことなどをあげると、木村院長は、函館市民の死亡原因のおよそ3分の1を占めるがんに触れ、「早期発見で治せる場合も多い。ぜひがん検診を受けてほしい」と強調。望月部長は、がん予防のためには禁煙が効果的であると訴えた。(虎谷綾子)



◎パトスの会が新島襄脱国150周年記念誌

 新島襄(1843〜1890年)が函館から密航渡米した偉業をたたえようと、市民団体「新島襄・パトスの会」(千代肇代表)が、脱国150周年記念誌を作った。会員6人の手記をまとめ、新島と函館との関係を広く知らせる貴重な資料となりそうだ。

 海外脱出(1864年)から今年で150周年になるのを記念し、タイトルは「新島襄と箱館」。大町の海外渡航の地碑前で、7月17日に開いた海外脱国記念祭に合わせて100部作製。同会が記念誌を作ったのは初めて。

 巻頭には、同会顧問の宮腰善行さんのあいさつ文を掲載。本編は千代さん(83)のほか、山崎文雄さん、大江哲男さん、井上能孝さん、馬場民準さん、岸甫一さんの6人が手記を寄せた。

 中でも山崎さんと大江さんは、函館に滞在したイギリス人実業家で鳥類研究者のブラキストンにそれぞれ焦点を当て、新島の密航に貢献した史実を掘り起こしている。

 千代さんは「新島が大きな望みを持って国を出たという気概、生き方を多くの市民に知ってほしい。新しい時代に向かって情熱を燃やした姿勢は、現代にも通じる」と強調する。

 希望者には、1部500円で配布する。問い合わせは千代さん(TEL0138・52・5150)へ。(山崎大和)



◎高齢者虐待 最多60件 函館市

 函館市は、家族らの養護者による昨年度の高齢者虐待件数を公表した。相談や通報を受けた104件のうち、虐待を受けたと判断した事例は前年度比12件増の60件となり、現在の統計方法が始まった2009年度以降で最多だった。施設従事者による虐待も4件あった。

 22日に市総合保健センターで開かれた、市要援護高齢者対策ネットワーク協議会(種田貴司会長)で報告した。

 市保健福祉部によると、昨年度中に事実確認調査を行った103件のうち、虐待を認めたのは60件。虐待ではないと判断したのが16件。双方の訴えが異なるなど、判断がつかなかったケースも27件あった。

 虐待の種類別(重複あり)では身体的虐待が51件と最多。心理的虐待も35件と、例年と同様の傾向にある。虐待者は夫が22人と最も多く、前年度から7人増えた。次いで息子が19人、娘13人と目立っている。このうち虐待者と同居していたケースが59件と大半を占めており、うち19件で虐待者からの分離を行った。

 同部は相談件数の増加について「介護支援専門員や介護保険事業所職員からの通報が多く、関係者の認識が深まっている」とみている。

 一方、施設職員による虐待は11件の相談・通報が寄せられた。協議会では主な虐待事例として、施設職員が入居者の預金通帳と印鑑を盗み、口座から金を引き出したケースを挙げ、運営法人に改善勧告を行ったと報告。「管理者や介護支援専門員がひんぱんに代わるため、業務実態の把握が難しかったことが要因」(同部)としている。(千葉卓陽)


◎中川八段アドバイス 将棋特別指導対局 三面指し

 日本将棋連盟棋士・中川大輔八段を迎えた特別指導対局が23日、日本将棋連盟函館中央支部(五稜郭町)で開かれた。同支部で研さんを積む小学生、中学生、一般の計9人が三面指しで臨み、中川さんのアドバイスに聞き入った。

 小学生は四枚落ち、中学生は飛車香枚落ち、一般は飛車落ちなどで行った。参加者はそれぞれ得意の型で向かったが、中川さんは参加者が上達できるように指導を踏まえた指し回しを展開した。中川蒼天君(道教育大附属函館小6年)は「緊張したが、守り方の指導を受けることができてうれしかった」、蒔田瑛功君(道教育大附属中1年)は「自分の手を考えてくださったのが分かった。良い経験になった」と喜んでいた。

 中川八段は「子どもたちは筋が良く、礼儀も正しい。日ごろから丁寧な指導を受けているのが分かる。将棋は子どもと大人が対戦でき、一生趣味として続けられるのでぜひ取り組んでほしい」と話していた。

 渡島、桧山のアマチュアを対象とした将棋大会「第18回道南竜将戦」「第8回道南小学生竜将戦」(函館新聞社、同支部主催)が24日午前9時から、函館新聞社3階ホール(港町1)で開かれる。対象は道南に在往または通勤、通学するアマチュア。会場では中川八段の指導対局三面指しも行う。参加は当日受け付け可。参加費は男性大人1500円、女性と小中高校生は1000円。(山崎純一)