2014年8月28日 (木) 掲載

◎トマト収穫 体験観光に…知内で事業化目指し実証実験

 【知内】知内観光協会(岡田寿典会長)は今夏から、町の特産品であるトマトの収穫体験をメーンとした観光プログラムの実証実験を始めた。町や観光協会では来年度からの事業化を目指しており、体験・滞在型観光の推進につなげたい考えだ。(金子真人)

 町や観光協会は、今年4月から5月にかけて、重内地区の民有地に長さ35メートル、幅5・4メートルの収穫体験用ビニールハウス3棟を設置。「アイコ」や「華おとめ」など約10品種、750本のトマトの苗を植えた。ハウスの管理は町の第三セクター「スリーエス」が行っており、修学旅行などの教育旅行プログラムで使用するほか、町民の憩いの場としての活用も考えている。

 7月から町内の幼稚園、保育園を対象に実証実験を開始。8月25日は、知内幼稚園(三島裕一園長)の園児46人が訪れ、鈴なりに実ったトマトを収穫。赤や黄、オレンジ色の実を口に運び「甘い」「おいしい」などと感想を話していた。その後、町文化交流センター(中の川)に移動。紙芝居でトマトの育て方を学び、トマトジュースづくりの見学などをした。三島園長は「子どもたちが知内の産業を知ることで、町に愛着を持ってもらうことにつながる」と評価する。

 岡田会長は「子どもたちの反応はとても良い。ただ、今後の事業化に向けて、広報やメニューの工夫、ガイドの育成などに取り組んでいく必要がある」としている。



◎道南観光 魅力探る…鹿部町でワークショップ

 【鹿部】渡島総合振興局商工労働観光課が主催する地域政策推進事業「北海道新幹線開業に向けた観光商品づくり実践勉強会」が27日、中央公民館で開かれた。道南の自治体から関係者約40人が参加し、鹿部町で模擬ツアーやワークショップを通じ観光に向けて知恵をぶつけ合った。

 道南地域の観光ポイントへの理解や、観光商品づくりへの知識を深めることを目的に行われており、全4回のうちの2回目。1回目は上ノ国町で実地研修を行った。今回は鹿部町の観光商工課が中心となって、はじめに町漁業組合女性部による「浜のかあさん地元料理体験」を実施した。体験ではタコめしとカレイの煮つけを調理。参加者らは生きたタコをさばくのに苦戦しながら、地元の味を楽しんだ。

 2班に分かれて町内を散策した「しかべの森あるき」では、喫茶店「夢紀行」などを訪ねながら地域の魅力を探った。

 その後、公民館でワークショップを実施。講師を務める北海道宝島旅行社(札幌)の鈴木宏一郎社長(48)は今回を振り返って、観光に取り組む目的の明確化を強調し、「ツアーの体制づくりと案内役の育成がこれからの課題」と話した。参加したせたな町産業振興課の浜高正明さん(43)は「自分の中で鹿部町の認識が改められた。せたな町でももっと素晴らしい魅力があるはずと感じた」と収穫を話した。(野口賢清)



◎日本海津波予測 大きさや速さに驚き

 国の有識者検討会が26日に公表した日本海地震の津波想定で、道南沿岸ではせたな町で全国最高となる最大23・4メートルの予測が示された。各町は津波の大きさや早さに驚きながらも冷静に受け止め、対応を急ぐ。到達時間が早い町からは「避難経路は新しくできないし…」との不安も聞かれた。

 1993年の北海道南西沖地震で198人の死者・行方不明者を出した奥尻町。最大津波高は18・8メートル、最短到達時間は1分だった。町がこれまで想定していた数値より早いことから、住民への啓発や防災教育に一層力を入れる。「まずは高台に避難することが基本で、一番大事」と防災担当。本年度内に津波ハザードマップを作成し、配布する予定だ。

 津波は入り組んだ海岸で高くなり、地形によって襲う高さが変わってくる。国内最大の津波高となったせたな町は、予測を冷静に受け止めながら「(地形や土地に合った)浸水状況の把握が必要」と語る。道が今後まとめる新たな津波シミュレーションを受けて具体的な対応を考えている。

 江差町は、これまで想定していた10bを上回る最大12・8メートルが示された。せたな同様、道の津波シミュレーションなどを基に防災計画の見直しを図る。

 最大13・5メートル、最短到達時間2分の予想が示された松前町では「これまでの予想をはるかに超える数字に驚いている」(総務課)と漏らす。昨年度に町が作成した津波ハザードマップは最短到達時間を8分と想定しており、「見直しを検討しなければならないが、必要以上に住民の不安をあおることのないよう慎重に進めていきたい」。

 津波が津軽海峡に入ってから押し寄せる形となる北斗市は、到達まで47分の予測。市総務部は「調査報告は冷静に受け止めている。どんな調査結果が出ても市として適切な対応をしていかなければいけない」と気を引き締める。(田中陽介、金子真人、鈴木 潤)


◎ビジネスプラン作るぞ…地域産業振興財団と市、スクール開講

 函館地域産業振興財団と函館市は27日、起業や創業を目指す人らを対象にした「ビジネスプラン作成スクール」をスタートさせた。地元企業の経営者や会計、金融の専門家らが講師となり、受講生を指導。来年2月までの半年間、ビジネスプランを練りながら、起業に必要な知識を身に付ける。

 スクールは、同財団が2002年から5年間継続していた事業で、約160人の卒業生を輩出した。地元で創業、起業し、経営者として活躍している人が多い。新規事業創出の必要性が高まっていることから、今回8年ぶりに事業を再開した。

 受講生として集まったのは、起業を目指す人や創業したばかりの経営者ら42人。参加者は5つのグループに分かれ、それぞれを会社に見立て、本格的なビジネスプランにするための検討を開始。役職や事業コンセプトを決めるため、初回から白熱した議論を繰り広げた。

 また、経営コンサルタントにしざき事務所の西崎康博社長と公立はこだて未来大元教授の鈴木克也さんが講義。西崎社長は「世の中の動きは早い。環境の変化に対応する力を身に付けてもらいたい」とアドバイス。鈴木さんは「新しいつながりや切り口がビジネスになる。これから生きたプランを作って」と語った。

 受講生の一人、能戸圭恵さん(40)は今年6月に創業したばかり。「仲間と学びながら、事業を発展、拡大させるきっかけにしたい」と意気込んでいる。(松宮一郎)