2014年8月7日 (木) 掲載

◎どつく初のエコシップ

 函館どつく(函館市弁天町)で6日、本年度3隻目の新造船「グローバル・シンフォニー」の進水式が行われた。燃費性能を向上させたエコシップで、同社が名村造船所(本社・大阪)と共同開発し、初めて建造した。晴天のもと大勢の見学客が訪れ、船の雄姿を見守った。

 新造船はパナマの海運会社「ゴールデン・シップホールディング・トゥ・エス・エイ」が発注した全長180メートル、幅30メートルの木材兼ばら積貨物船。エコシップ事業を展開する名村造船所と共同で、6月16日から建造を進めてきた。完成・引き渡し予定は9月下旬。

 この日は夏休み中の親子連れや関係者ら約1060人が見学に訪れた。作業員の「進水作業始め」の掛け声に続いてサイレンが鳴り響き、記念のくす玉が割られた後、巨大な船体がゆっくりと海に向かって進み出すと、歓声と拍手が沸き起こった。

 札幌から家族と旅行で来ていた中学1年生の菊地敬介君は「進水式があるのを偶然知って駆け付けた。すごい迫力だった」と興奮した様子だった。

 同社はエコシップの建造について「初めての試みだったが、次回ははさらに進化させたい」とし、今後も開発を進めていく構えだ。(山田大輔)



◎周遊「千年手形」使い勝手 …木古内中心の2次交通

 【上ノ国】2016年3月の北海道新幹線開業をにらみ、新幹線木古内駅活用推進協議会(会長・大森伊佐緒木古内町長)が進める、定期観光バスと路線バスの3日間乗り放題「江差・松前千年北海道手形」のモニターツアーが先月から行われている。これまでに約40人が参加し、使い勝手の良さを評価する声が多く寄せられている。着地点の9町が用意する体験観光メニューも反応は上々だが、同協議会は今後、旅行者のニーズに合うようさらに改善する考えだ。

 木古内駅を中心とした2次交通の充実と、渡島西部と桧山南部9町へ誘客を図ることが狙い。エリア内で函館バスが運行する定期観光バスと路線バスを3日間、乗り放題で利用できる。また、9町がそれぞれまち歩きや郷土料理づくりなどの体験型オプションプランを用意していることも特徴。

 今年は7、8月の2カ月間の試験販売で、来年度も継続し、開業時の観光商品にする計画。6日現在、103人が利用。そのうち約40人がモニターで、観光や雑誌関係者らがエリアの旅を満喫した。

 モニターの一人、リクルート北海道じゃらんの八木皆実さん(25)は5、6日に江差、上ノ国町を回った。上ノ国町ではまち歩きを体験。観光協会のガイド、笠谷愛美さんの案内で旧笹浪家住宅や上国寺、勝山館を見てまちの歴史を肌で感じた。

 八木さんは「定期観光バスの乗り継ぎは飽きずに楽しむことができた」と使い勝手を評価。体験メニューについては「ガイドが魅力的で、まち歩きの満足度は高い。各町の売りがどこなのか、しっかり打ち出せている」と感想を語った。

 周遊切符、体験メニューともに評価は高いが課題も多い。八木さんは「いかにPRしていくかが課題」と指摘。協議会事務局を務める木古内町新幹線振興室の中尾敦室長は「体験時間や組み合わせなど改善が必要」とし、「旅行者のニーズに合っているかを検証しながら、開業に向けてブラッシュアップを続けたい」とした。(松宮一郎)



◎函館市 地域審5年間延長へ…条例改正案 9月提出

 函館市は東部4支所管内に設置している各地域審議会の設置期限を、2019年度まで延長する方針を固めた。法改正で合併特例債の発行期限が5年間延長されることが決まり、市でも合併建設計画の変更に向けた道との協議を進めている。市は9月の第3回定例市議会に計画の変更案と、設置期限延長にかかわる条例案を提出する。

 2004年12月の東部4町村との合併時に策定した合併建設計画は、本年度までの10年間が計画期間。特例債発行期限の延長により、市は19年度までの財政計画を盛り込んだ同計画変更案をまとめた。計画の執行状況、地域課題について検討する地域審議会も5年間延長し、20年3月末までとする方針。

 7月末から開かれている各地域審議会で、市企画部は「引き続き合併建設計画を検証する機能が必要」などとし、15人以内とする委員数や2年間の任期に変更がないことを説明した。

 7月30日に開かれた戸井地域審議会(松田正志会長)では、議論を活性化させるため、改選時に若手の委員就任を求める意見が出た。6日の南茅部(熊谷儀一会長)では「10年間で地域審議会が果たした成果を検証する必要がある」との提言があった。同部は「さまざまな機会を含め、住民の意見を聞く場を設けていく」とした。(今井正一)


◎江差商工会 商店街振興策次々白紙に

 【江差】江差商工会(飯田隆一会長)が事業実施者となり国から調査事業の一部採択を受けていた商店街振興策について、同商工会が補助申請を取り下げていたことが6日、分かった。7日に任期を終える浜谷一治町長が選挙公約の柱としていた事業だが、町の支援を凍結する浜谷町長の強い意向を受けて飯田会長が判断した。

 浜谷町長公約の商店街振興策は、旧江光ビル解体と跡地活用、防犯街灯のLED化などが柱。経済産業省の「まちづくり補助金」活用を想定し、採択されれば国が費用の3分の2を補助し、町が残りの3分の1を支援するとしていた。7月末に国から調査事業の採択を受けていた。

 支援凍結について、浜谷町長は「町民に私の主張が受け入れられなかった」と選挙結果を理由としている。また議会側と一切協議していないため、新町政に引き継ぐ事案でないとする。町幹部は「町としてかなりの多額財政負担にもなる」と説明している。

 申請取り下げは5日付。飯田会長は6日までに商店街関係者に対し、現町政から支援の確約がないことと、自己負担の財源確保が難しいと取り下げを事後報告した。飯田会長は「現町政の判断であり、これ以上前に進んでも仕方ない。迅速に(申請取り下げ)対応した」と話している。(田中陽介)