2014年8月8日 (金) 掲載

◎見て食べて研究成果学ぶ…道南農試公開デー

 【北斗】道総研道南農試(北斗市本町、田中文夫場長)は7日、研究内容を解説する「公開デー」を同農試で開いた。130人が道南農業に貢献する技術開発の一端に触れた。

 今年で20回目。田中場長が「どんな仕事をしているのかをじかに見てほしい」とあいさつ。場内見学会では、シンボルツリーで推定樹齢100年を超すユリノキに始まり、農薬や化学肥料を慣行より減らして栽培したトウモロコシ、土の観察、サツマイモの栽培、水稲の世代促進温室、コメの試験圃場(ほじょう)を見て回った。

 サツマイモ担当の高濱雅幹さんは「ホクホク感がある本州産に比べ、道産はねっとりして甘みが強い。菓子用に需要があり、普及を進めたい」と話した。

 試食コーナーでは、水稲「きたくりん」と黒大豆「つぶらくろ」で作った豆ご飯、小豆「ほまれ大納言」の冷やしぜんざい、トマト品種の食べ比べを楽しんだ。ベビーリーフ栽培キットのプレゼントもあり、親子連れらを喜ばせた。

 北斗大野中1年の宗山匠君(12)は「作物の育て方や、いろんな色の土があることが分かって良かった」と話した。(山崎大和)



◎垣ノ島遺跡 盛土遺構良好状態で現存

 函館市教委は8日、南茅部地区の国史跡、垣ノ島遺跡(臼尻町)の本年度発掘調査について公表した。国内最大級とされる盛土遺構について、縄文時代の盛り土がほぼ壊れることなく現存していることが分かり、遺構の幅が現段階で約160メートルに及ぶことなどを明らかにした。

 同日開かれた、垣ノ島遺跡調査検討委員会(会長・菊池徹夫早稲田大名誉教授)で示した。

 市は同遺跡の将来的な整備に向けて、2012〜13年度の2カ年で土地を公有化。昨年度から遺跡の性質を把握するため、発掘調査を行っている。

 本年度は盛土遺構の範囲特定に向けて、6月から遺構と周辺との境目の部分など8カ所で溝を掘り、地質を確認。その結果、駒ケ岳の2度の噴火などで降った火山灰によって遺構が覆われ、縄文期の状態が良好な状態で残っていることが分かった。

 また、これまでに実施した測量調査の結果も公表し、遺構の全体面積が約2万平方メートル、長さ約160メートルに及ぶとした。市教委は縄文中期末(約4200年前)から後期初頭(約4000年前)にかけての短い期間に、遺構が祭祀(さいし)の場などで使われていたとみている。

 市教委によると、遺構の周囲は1929年の駒ケ岳噴火の後に住民が畑を耕し、火山灰が特定の場所に集められていた形跡が残っていたが、大規模なものではなかったという。市縄文文化交流センターの阿部千春館長は「南茅部は漁業のまち。大規模農地を作っていなかったことが、遺構が残る要因になった」と話している。

 会合では各委員から遺跡の保存状態を評価する声が相次ぎ、「今後の史跡整備の青写真も考えながら、国と協議を進めてほしい」などの意見が出ていた。(千葉卓陽)



◎海洋観測システム 光ファイバを利用…エコニクスが開発へ

 函館市国際水産・海洋総合研究センター(弁天町)に入居した環境コンサルティングのエコニクス(札幌市、三上卓也社長)は、光ファイバーケーブルを利用した新しい海洋観測システムの開発に取り組んでいる。センサーで計測した水温や塩分濃度などの大容量のデータを、ケーブルを使って送信。漁業の効率化に結び付けたい考えで、来年度の実用化を目指している。

 海中のデータ計測は、漁業の効率化を図るうえで重要。この技術はすでに確立されており、ブイにセンサーを取り付け、無線でデータを送る方式がある。同社の新システムの特徴は光ファイバーケーブル(有線)を活用する点。光を電気変換してセンサーに電源を供給する仕組みで、安定的なモニタリングが可能。得られたデータはケーブルを使って送り返す。

 また、無線でないことから、ノイズを拾うこともなく、高い精度が期待できるという。水温や潮位を計測する技術は開発済みで、今後は水素イオン濃度や溶存酸素の量を計測できるようにする。

 ケーブルを利用することで容量の大きな映像のやりとりもできることから、システムにはカメラを組み込むことも計画している。同社マリンラボの鹿糠幸雄所長は「定置網の引き揚げのタイミングは漁師の勘による部分が大きかったが、モニタリングとカメラの搭載で海中の様子や網の中を確認できる。漁業の効率化や収入アップにもつながるはず」と期待する。

 9月末には同センターの岸壁で実験を開始する予定で、来年度中の実用化を目指している。鹿糠所長は「水産業だけでなく、潮位の測定は防災、減災にも活用できる技術。さまざまな可能性を探っていきたい」と話している。

 同プロジェクトは国の中小企業・小規模事業者ものづくり・商業・サービス革新事業に採択され、NTT東日本や古河電工、日本コムシスが光ファイバーケーブルや敷設、センサーの技術面で協力した。(松宮一郎)


◎サマースクールに児童・生徒47人参加

 障害のある子どもたちと大学生らが交流する「サマースクール2014in函館」(同実行委主催)が7日、函館八幡小で始まった。今年は47人の児童、生徒が参加し、11日までの4日間、約160人のボランティアと遊びやイベントを通して楽しい夏休みを過ごす。

 道教大函館校の学生が中心となって企画し、毎年多くの子どもたちが参加する恒例行事。今年で17回目を迎えた。開会式では、同大の准教授で同実行委代表の細谷一博さんが、「みんなでたくさん遊んだり、楽しいことをやっていきたいと思っています。サマースクール、頑張るぞ!」と力強く開会宣言。子どもたちも「おー!」と続け、サマースクールの始まりに歓声を上げた。

 開会式後は、グループに分かれて活動をスタート。小学生のグループではペットボトルや紙コップを使った工作を学生たちと協力しながら進め、できあがった作品で遊びながら交流を深めていた。実行委員長の同大4年、藤嶋さと子さん(21)は「子どもたちに参加して良かったと思ってもらえるようなサマースクールにしたい。子どもたちの笑顔に元気をもらって、頑張ります」と意気込んでいた。(虎谷綾子)