2014年8月9日 (土) 掲載

◎野外劇 今季あと2回 NPO来場呼び掛け

 第27回市民創作「函館野外劇」(NPO法人市民創作「函館野外劇」の会主催)の8回目公演が8日夜、国の特別史跡・五稜郭跡で開かれた。天候不良や舞台の変更などから、来場者数は例年より伸び悩んでいたが、同日は800席の客席が満席となった。残す公演は9、10日の2回で、同NPOは来場を呼び掛けている。

 今年の来場者数は、7月27日の7回目公演までで3090人と例年に比べ1000人ほど少なくなっていた。同NPOによると、舞台変更に伴うチケット販売の遅れや上演日に雨が続いたため、来場者数が落ち込んだとみている。8日の盛況ぶりに安堵(あんど)の表情を見せていた。

 この日は、例年使っていた水上舞台の新たな設営方法を提案した「室蘭産学交流プラザ『創造』」の会員22人も訪れた。同会の北山茂一代表(69)は「今年は水舞台が中止になってしまったが、今後復活することになれば、連携して盛り上げていきたい」と期待。

 同NPOの里見泰彦事務局長は「来年以降の上演が不透明なこともあり、今年ならではの野外劇を多くの人に見てもらいたい。最終週の公演は混雑するので、客席を増やして対応したい」と話す。

 9、10の両日は、午後6時45分開場、同7時半に開演。10日の最終公演が雨天中止の場合、11日に追加公演を行う。(虎谷綾子)



◎函館市の大間訴訟で全国から視察相次ぐ

 函館市が国と電源開発を相手に起こしている大間原発(青森県大間町)建設差し止め訴訟に関し、原発周辺に位置する地方自治体の議員が函館市役所を視察に訪れるケースが相次いでいる。函館市が提訴に至った経緯や、市議会が全会一致で提訴を可決した過程などを、熱心に聞く姿が目立つ。

 市総務部によると、市への視察は5月上旬に鳥取県議5人が訪れたのが最初。島根県との県境を挟んで中国電力島根原発(松江市)の30キロ圏内に県内の一部が含まれるため、工藤寿樹市長らと意見交換した。

 その後も、中部電力浜岡原発(静岡県御前崎市)の30キロ圏内にある同県袋井市や、福島第一原発の50キロ圏内に一部が入る同県須賀川市など議会の会派単位で訪れており、7月までに5件の視察があった。同部の三原克幸原発担当参事は「再稼働に対して意見が言えなかったり、立地自治体との格差が生じていたりと、原発に対する不安を抱えた中での視察ではないか」としている。

 8日には、浜岡原発から40キロ離れている静岡県浜松市の市議2人が函館を訪れた。三原参事が対応し、訴訟に至る経緯を説明しながら「反原発・脱原発ではないことを明確にし、大間に対象を絞って無期限凍結を訴えることで議員側も賛成できた」としたほか、7月から始まっている裁判の状況などを伝えた。

 視察した浜松市議会の北島定議員(66)と小黒啓子議員(61)は「原告適格など難しい問題もある中で、そこまでして住民の生命や財産を守ろうという覚悟に感激した。議員それぞれの立場がある中、全会一致で可決したことに驚いている」と話していた。(千葉卓陽)



◎「一緒に汗流して」 全国最年少の首長 照井町長初登庁

 【江差】元会社員で7月の町長選で初当選した照井誉之介町長(30)が8日、初登庁した。全国最年少の首長。町職員に「まちのために汗を流してほしい」と協力を呼び掛けた。

 照井町長は午前8時半ごろに自宅から役場に歩いて入り、玄関前では大勢の支持者らから花束を受けるなどの激励を受けた。職員60人を前にした訓示では、「失敗を恐れないで、責任は私がとる。一緒にまちをつくっていくために、どんどんアイデアを提案してほしい。今日から4年間どうぞよろしく」と述べた。

 記者会見では、学校給食費の不正流用問題の刑事告訴の推移を見守り、町立養護老人ホームの民設民営化の白紙については再度民間法人側に協議を持ちかける「選択肢を持ちたい」とした。また、江差商工会長が商店街振興策の国への申請取り下げを決断したことについて、「状況を把握した上で対応する」とした。

 照井町長は、桧山振興局に出向き、立花謙二局長らとあいさつ。午後からは役場内で打ち合わせなど早速公務を精力的にこなしていた。(田中陽介)


◎マコンブ 種苗生産工程改良へ  函館水試3カ年計画

 道総研函館水試(金森浩一場長)は本年度から3カ年計画で、マコンブ養殖に欠かせない種苗生産工程の基礎研究(採苗技術改良試験)に乗り出した。種苗生産は40年以上変わらぬ技術が受け継がれてきたが、海の環境変化に対応した技術改良が求められている。安定生産できるような新しいマニュアル作りを目指す。

 函館市からの委託を受け、事業費は3カ年で計450万円。同水試は本年度からコンブ研究を強化、1人増員し3人体制となったことから、種苗生産の研究開発に着手した。

 促成マコンブの養殖技術は、1960年代に水産庁北海道区水産研究所が開発し、函館市南茅部地区で本格的な生産が始まった。

 作業工程は人工種苗生産、種苗糸の仮養殖、本養成を経て収穫される。種苗生産は施設内で行われるが、種苗が順調に育たない場合があり、苦労することも多い。

 研究では、天然マコンブ母藻の成熟状況を把握するとともに、人為的に成熟をコントロールする技術開発を行う。現場では、2012年の夏から秋にかけて発生した異常高水温が原因とみられる母藻の成熟遅れが問題化したため、成熟を促進する技術を開発する。成熟遅れは本養成の遅れにつながると指摘されている。

 また、マコンブの種苗保存や増殖技術の開発にも取り組む。研究成果を現場に普及し、海洋環境の変化に対応した安定した養殖マコンブ生産を進めたい考え。

 赤池章一研究主幹は「種苗生産現場で起きている問題点を把握、整理し、改善策を検討したい」としている。(山崎大和)