2014年9月11日 (木) 掲載

◎JR北海道 新駅―函館駅間のアクセス列車に733系

 JR北海道は2016年3月の北海道新幹線開業時に運行開始する新函館北斗駅―函館駅間(17・9キロ)のアクセス列車の車両に、札幌圏の通勤電車で使用している733系(3両1編成、定員439人)の導入を予定している。ロングシートタイプの車両で、新幹線(10両編成、定員731人)の定員の3分の1程度、約240人の乗車を想定。同社広報は「車両の仕様は地元の要望を取り入れられるかどうかを検討している」としている。

 函館市議会の北海道新幹線新函館北斗駅開業に関する調査特別委員会(出村勝彦委員長)が7月28日に同社への聞き取りを実施。9月10日の同委員会で調査内容をまとめた。

 アクセス列車運行区間のうち、新函館北斗から五稜郭駅間の14・5キロは昨年から電化工事中で、新幹線開業までの完了を予定。733系は学園都市線で2012年に導入され、今年7月には小樽―新千歳空港間の快速エアポートにも6両1編成の車両が導入された。

 特別委まとめでは、同社は733系を4編成導入する方針を示し、アクセス列車が突発的に込み合った場合、乗車率150%(600人強)でも「首都圏の通勤電車よりも混雑していない程度」と回答した。新幹線との接続を考慮したダイヤを編成し、函館駅までの想定所要時間は現行の在来線が25分であるのに対し、快速で17分、各駅停車で20分程度とした。

 ただ、特別委が「函館を印象付ける魅力的な車両の導入」を要望したのに対し、同社はメンテナンスやコスト上の課題から、外観は帯部分の塗装変更にとどめ、内装の変更や液晶電子案内板の設置はしない考え。同社は「観光情報掲示などソフト面で観光気分・旅情を醸し出す方法を検討」としている。

 このほか調査では、同社が新幹線の運行本数を現行の函館―新青森間の特急「スーパー白鳥」などの1日10往復を上回る本数とする意向で、ダイヤはJR東日本、JR貨物と調整した上で、開業3カ月前に正式発表する見通しを示した。(今井正一)



◎函館タクシー 子ども送迎サービス 10月から導入

 函館タクシー(函館市日乃出町、岩塚晃一社長)は10月1日から、保護者の代行として子どもの送迎を行う「キッズタクシー」を開始する。事前に登録しておくと、学校をはじめ、保育園、学童保育所、塾などに子ども1人でもタクシーに乗車でき、運行後に精算する仕組み。首都圏を中心に全国で子どもの送迎を行う取り組みはあるが、同社によると「道内ではかなり珍しい」という。

 同社は、陣痛が始まった妊婦をスムーズに病院まで送り届けるサービス「陣痛タクシー」も昨年の8月から行っている。同サービスの登録者から子育て中のタクシー利用について相談を受け、今回の事業に乗り出した。

 登録は無料で、通常運賃だけで利用することができる。キッズタクシーの導入について市こども未来部は「取り組みを歓迎している。運用を見守っていきたい」としている。

 運用開始を前に同社は、自動体外式除細動器(AED)を使って子どもの救命方法を学ぶ「幼児安全法短期講習会」を乗務員全員を対象に実施。10日は33人が参加して、心臓マッサージや人工呼吸、AEDの使用方法などについて学んだ。

 同社の石塚幸一専務は「キッズタクシーが子育て中の皆さんのお役に立てれば」と話している。(山田大輔)



◎超大型ショベル導入 道南初 西武建設運輸

 土木工事、運送業の西武建設運輸(函館市亀田中野町、岸寛樹社長)はこのほど、道南では初となる超大型油圧ショベルカーを導入した。10月から各種解体工事で活用する考え。

 超大型油圧ショベルカーは日立建機(東京)が製造しており、アームの高さを最大約40メートルまで伸ばすことができるのが特徴。西武建設運輸は大型物件に対応するため導入し、岸社長は「工期短縮や効率化につながる」としている。全国では関東中心に約100台が稼働しており、道内でも2台目の導入となる。

 9日には日立建機日本函館西営業所(北斗市七重浜8)で引渡式が行われ、岸社長らが車体に御神酒をかけて今後の安全運用を願った。10月以降、室蘭を皮切りに道内各地で解体工事に活用する。

 日立建機道支社の光延博文支店長は「便利な機械だが、技術力とオペレーターの腕がないと保持は難しい。持っているだけでもインパクトを与えるのでは」と話していた。(千葉卓陽)


◎職員給与削減効果は24億円 4年間で 函館市議会

 函館市議会第3回定例市議会は10日、一般質問を続行。市は工藤寿樹市長就任後、2011年度から継続している給与の独自削減で、本年度までの累計効果額は特別職で7500万円、一般職で約23億4000万円となることを明らかにした。工藤市長は来年度に新たな給料制度を導入し、独自削減を終了する考えを示した。

 北原善通氏(市政クラブ)の質問への答弁。北原氏は給与削減が職員の士気低下や、民間企業の給料引き下げなど地域の経済に影響があると懸念を示した。

 給与の独自削減では、市長が11年8月から50%、その他の特別職が12年1月から20%を減額。一般職は11年1月以降、平均4・5〜6・5%の削減を継続している。削減効果について川越英雄総務部長は「経常経費の削減などで本年度は基金に頼らない予算編成ができた。職員と行財政改革の必要性について認識を共有している」と述べた。

 検討中の新たな給与制度は、6月に給与制度改革検討委員会がまとめた提言書を踏まえ、職責に応じた体系とし、川越部長は「メリハリのある給料表の構造とし、職員が意欲を持って働けるようにする」とした。

 工藤市長は「職員の努力で財政もだいぶ建て直すことができた。一般職は民間給与をより適切に反映し、年功的な給与増をやめる」とし、自身を含めた特別職給与は他都市の状況や報酬等審議会の検討結果で判断するとした。(今井正一)