2014年9月15日 (月) 掲載

◎ガゴメのぬめり医療分野で活用 道立工業技術センターと防衛医科大学校

 道立工業技術センター(函館市桔梗町)と防衛医科大学校(埼玉県所沢市)の研究グループが開発したガゴメコンブに含まれる成分「フコイダン」を利用した創傷被覆保護材(傷あてパッド)が、特許を取得した。医療分野(外科、形成外科)での実用化に向けての第一歩で、食用以外の需要が開拓できれば、地域の産業振興につながりそうだ。

 同センターの青木央(ひろし)主査、同大学校の石原雅之教授ら4人が発明したもので、権利は函館地域産業振興財団が持つ。認証日は9月2日。特許出願して5年がかりで登録された。

 この創傷被覆保護材は直径¥70¥_、厚さ1_程度の円形シートで、傷の大きさに合わせて切って使う。傷口に貼って固定すれば、傷が早くきれいに治る効果があるという。創傷被覆材には主にセルロース、ポリウレタン、アルギン酸カルシウム、キチンが使われており、新たにフコイダンの利用が加わる可能性がある。

 フコイダンは海藻のぬめりのもとになる成分で、ガゴメにはマコンブより2倍程度多く含まれる。研究では、フコイダンが細胞の成長因子の活性化による治癒効果を促進するという作用を利用して創傷被覆材を開発した。

 青木主査は「製品化に向けて企業や大学などの協力が必要。フコイダンの高度利用はガゴメの高付加価値化への道筋で、生産振興に結び付くことが期待できる」としている。 (山崎大和)



◎大神輿 準備万端 亀田八幡宮例大祭始まる

 函館市八幡町3の亀田八幡宮(藤山豊昭宮司)で14日、例大祭が始まった。露店には大勢の市民が集まったほか、15〜16日に行う「神輿渡御(みこしとぎょ)」に向け、2基の神輿が準備された。

 神輿は、箱館戦争が終結する際、旧幕府軍の榎本武揚らが新政府軍の黒田清隆らと降伏の誓約を交わしたとされる旧拝殿に置かれていて、この日は神輿渡御を取り仕切る豊明会(松山茂会長)の会員約25人が社務所前で担ぎ棒を用意した後、旧拝殿から神輿を慎重に移動し、バランスを整えてさらしを巻き、神輿を組んだ。

 大神輿は高さ約1b50a(鳳凰をのぞく)で、男性約50〜60人が担ぐ。小さい方は同じく約90a(同)で、約20人が担ぐ女神輿。

 15日は八幡通、桐花通、昭和会館通、国道5号、亀田港町会館、国道228号、ときわ通を練り歩く。16日は白鳥橋、東山基園線、中道、亀田橋、赤川通、東富岡会館、旧亀田病院、八幡小を通る。ともに出発は午前9時。

 松山会長は「沿道に出てお参りしてくださる人のため、神輿渡御は続けなければならない。安全に巡行し、八幡宮に戻ることを心掛けたい」と話していた。 (山崎純一)



◎買い物難民 支援必須 高齢化進む谷地頭 スーパー閉店

 函館市内で買い物難民≠ェ増える可能性が出てきた。高齢化が進んで一人で買い物に行けなかったり、交通手段を持っていなかったりするためで、地元のスーパーが閉店した谷地頭町など一部地域では不安の声が上がり始めている。高齢者の買い物サービスに参入した団体もあり、受け皿づくりに向けた動きが今後加速しそうだ。

 8月31日、谷地頭町のスーパーが閉店した。同町の80代女性は「野菜や総菜など生鮮食品が買えなくなって困っている」と漏らす。同町の土産店店長の60代女性は「スーパーが閉店した後は、人の流れが変わった。高齢者は大変そうだ」と現状を訴える。一方、「これをきっかけに谷地頭町商盛会を中心に、本来の活気のある商店街づくりに取り組んでいきたい」(同町会の塚本守会長)との意見もある。

 函館のボランティア団体「地域支援グループくりの木」(赤川町120)は今月から、「お買いものサロン」を開始した。毎週水曜、買い物に出掛けるのに不便を感じている人たちを集め、まず交流サロンで楽しんでもらい、その後利用者のニーズに合わせて買い物をするためにスーパーなどへ送迎する。自分で買い物ができ、支払い可能な人が対象で、利用料は1回につき300円。送迎範囲は石川、赤川、美原、北美原、富岡、昭和、亀田本町と桔梗の一部。買い物後は自宅まで送ってくれる。

 同グループ事務局の棟方みな子さんは「買い物だけではなく、普段一人でいる高齢者が外に出て、刺激を受けてもらうことが大事」と話す。

 買い物難民問題の解決に民間業者も力を入れる。コープさっぽろの玉熊真治函館センター長は「今後は商品宅配システム『トドック』のサービスの充実や移動販売車の増車を通じ、買い物難民がいる地域をカバーしていきたい」と話す。

 現在は車を持ち、遠くへ買い物に出掛けられる若い世代も高齢化すると、いずれは車を手放し、買い物難民化する可能性も。将来の当事者世代が知恵を出し、問題の解決に向けた地域支援体制づくりが必要になっている。(能代俊貴)


◎サン・プリンセス 最後の寄港

 プリンセス・クルーズ社の豪華客船「サン・プリンセス」(7万7441d、乗客定員2022人)が14日、函館港に寄港した。6月から小樽を母港に展開している道内周遊クルーズの最終週で、この日が函館での見納めとなり、約800人の乗客らが秋晴れの道南を満喫した。市港湾空港部によると、計12回の定期クルーズで約2万1000人の乗客・乗員が訪れ、港のにぎわい創出や地域経済活性に大きな効果があった。

 同船は6月28日から小樽港を母港に「北海道周遊とサハリン」クルーズを12週連続で展開し、定期クルーズ効果で、室蘭、釧路、網走の道内各港も大幅に寄港数が増加。函館には同29日以降、毎週日曜日に寄港した。出港は午後10時以降と夜景観賞が可能な時間に設定され、他港と比べても滞在時間が長く、地域に大きな効果をもたらした。

 函館では、同船の12回だけで、昨年の全寄港実績(計14隻、乗客・乗員数約1万8500人)を上回った。ただ、1回当たりの乗客数は約400〜2000人と変動が大きく、集客には苦戦した形となった。同船は2015年はオーストラリア市場での運用が決まり、各港の客船を中心とした港湾振興施策に与える影響は少なくない。

 市港湾空港振興課は「サン・プリンセスの連続寄港で外国人客を含めて多くの人が函館を訪れたことで、にぎわい創出につながった。日本市場を離れるのは残念だが、再び函館に戻ってくることを期待し、他の客船を含めてこれまで以上の誘致活動に努めたい」と話していた。

 15日は同じプリンセス社の「ダイヤモンド・プリンセス」(11万6000d)が今年6回目の寄港を予定している。 (今井正一)