2014年9月19日 (金) 掲載

◎スルメイカ不漁続く…水揚げ量 前年の4割

 函館近海のスルメイカ漁の不漁が続いている。6〜8月の累計水揚げ量(釣り漁業)は前年同期の4割にとどまり、9月に入っても漁獲が安定しない。道東の釧路や羅臼沖でもここ数年続いた豊漁にはなっておらず、道沿岸のイカの分布状況が分からなくなっている。

 函館港近海釣りイカ(冷凍船、トラック便除く)の水揚げ量は、6〜8月の累計で前年比40%、過去10カ年平均(2004〜13年)の3分の1以下。9月に入っても17日現在40トンと低迷、不振だった昨年9月のトータル(127トン)、過去10カ年平均の9月分(212トン)と比べても大きく下回るペースだ。

 漁期前半(6〜8月)は、特に太平洋側を北上する群れの漁場形成がうまくいかなかった。そこに8〜9月に起こる夏枯れ≠フ長期化も加わったことが不漁の要因とみられる。比較的水温の低い道東ではここ数年、豊漁が続いていたが、今年はさほど多くないため「イカがどこにいったのか分からない」(道総研函館水試)。

 函館市中島廉売内の紺地鮮魚(紺地慶一社長)は「漁模様が安定しない。店頭では、いけすイカが17日は1キロあたり(3〜5匹)1500円、18日は数量が少なく同2000円」という。函館市漁協(橘忠克組合長)も「漁模様が上向いてこないので、秋イカ(道東からの南下群)に期待するしかない。燃油の高止まりもあり、漁業者は困っている」と漏らす。

 同水試の澤村正幸研究主査は「南下群が、いずれ津軽海峡へやって来て漁獲が上向く可能性はあるが、漁期前半の不漁を挽回できるかは分からない」としている。(山崎大和)



◎ホッキセットで大妻高生出場…チャレンジグルメコン

 高校生が地元の特産を利用して開発した創作メニューを競う「高校生チャレンジグルメコンテスト2014」(20日・札幌)に、函館大妻高校調理クラブ(加我のぞみ部長、部員19人)が出場する。生徒たちは、本番に向け意欲を高めている。

 実行委の主催。同校は2年連続の出場で、今年は道内8校11チームが札幌市内の会場で、自慢のメニューを販売しながら、審査を受ける。

 同校は、北斗市特産ホッキ貝のおいしさを広めようと、「地元Hoッと!ホッキセット」を考案。ホッキが具の「カレー風味焼きおにぎり」2個と、ホッキのひもでだしをとったミネストローネ(野菜スープ)「ホッキローネ」のセット。250食を準備し、1セット300円で販売する。

 焼きおにぎりは、コンソメスープで炊き上げた北斗産「ふっくりんこ」に、ボイルしたホッキをふんだんに使用し、アクセントのネギを加えた。表面にカレー粉と米粉をまぶし、鉄板でカリッと焼き上げた。スパイシーなカレー風味がホッキのうま味を引きだしている。ホッキだしが絶妙なミネストローネも北斗産のニンジンやキャベツなどの野菜がたっぷりで、ヘルシーな仕上がりだ。

 5月下旬から試作を繰り返し完成させたメニューは、ホッキを提供した上磯郡漁協の応援や生徒たちの努力が詰まった逸品。加我部長(17)=3年=は「どの世代でも手軽に楽しめる味になった。グランプリを目指すのはもちろん、ホッキのおいしさを全道に広めたい」と意気込んでいる。(虎谷綾子)



◎基準地価 渡島23年連続下落

 道は18日、7月1日現在の基準地価(本年度地価調査)を発表した。渡島管内の1平方メートル当たりの平均価格は2万6400円で、1992年度から23年連続で下落した。下落率は3・4%。桧山管内は1万1900円(下落率3・6%)で、2002年度から13年連続の下落。渡島・桧山の全地点での地価上昇地点は無かったが、商業地の「松風町9の14」など函館市内4地点で横ばい。道南の最高価格は、「函館市本町7の21、第一マルカツビル」(商業地)で9万7500円(同2・5%)だった。(鈴木 潤)

 渡島管内は商業地、住宅地の上位5地点はいずれも函館市が占め、同市の平均価格は、商業地が6万1400円(下落率2・5%)で6年連続、住宅地が3万4800円(同1・9%)で17年連続の下落となった。

 同管内で下落率の高い市町は木古内町や松前町、長万部町で、住宅地、商業地とも5%以上の下落率。特に商業地で北海道新幹線木古内駅周辺の「木古内町本町551の6」が8・1%で、全道8位の下落率となっている。

 桧山管内の最高価格は、商業地が「江差町中歌町59の2」の3万3000円(同7・6%)、住宅地が「同町豊川町106の1」の1万5300円(同5・0%)。

 全道平均は住宅地が1万8100円(同2・1%)、商業地が5万7700円(2・8%)で、それぞれ7年連続、23年連続の下落。札幌市を中心に需要の回復がみられ、価格の上昇地点は、住宅地は前年度の36地点から48地点に、商業地は24地点から25地点にそれぞれ増えた。

 調査は国土利用計画施工例に基づき道が実施。国土交通省が1月1日現在で判定する「地価公示」とともに一般の土地取引の指標として活用される。今回、渡島全11市町73地点、桧山7町29地点で調査した。


◎道南の野菜価格一服

 台風や長雨の影響で、8月から続いていた野菜の高値状態が一服しつつある。函館市内のスーパーでは、キャベツやナスなどが通常の倍近くまで高騰した時期もあったが、今週に入って値が下がり始めた。ただ、関係者によると一部の野菜は今後高値が見込まれ、予断を許さない状態が続いている。

 市農林水産部企画調整課によると、青果物の市場価格は11日以降、値が落ち着き始めているという。1〜10日のナスの平均単価は1キロ約410円と昨年の2倍近くになっていたが、18日は216円まで下落した。

 コープさっぽろの農産物のバイヤーは「本州で品薄状態が続いていたが、供給量が増え、道内の相場も安定に向かっている」と話す。一方で、函館市や北斗市で生産する、漬物用の白菜や大根などについては「長雨が続き植え付けが遅れた。気温が下がり、今後霜の心配もしなくてはならず、値が上がる可能性がある」と懸念を示す。

 野菜の高騰が続いたことから、大手スーパーのダイエー(東京)は18日、「野菜・果物大放出セール」を全国約280店舗で開始した。

 ダイエー上磯店(北斗市七重浜)では21日までの4日間、日替わりで約30品目を前週の平均価格に比べ、1〜3割安く提供している。この日は玉ねぎ1玉を18円、長ネギは1本38円、ほうれんそうは1袋128円で販売した。野菜コーナーは開店から多くの客が詰め掛け、目当ての品を買い求めていった。

 買い物に訪れていた北斗市内の主婦(50)は、「安い時に買って、キュウリは塩漬けにして保存している。少しでも早く値段が下がってほしい」と話していた。(山田大輔)