2014年9月2日 (火) 掲載

◎エゾシカが海を泳ぐ

 【上ノ国】町内の海を泳ぐエゾシカが見つかり、「初めて見た。びっくり」と住民の間で話題だ。

 目撃されたのは8月29日午後5時半ごろ。町内大安在と木ノ子地区をつなぐ海岸沖合に現れた。

 近くの農家が見つけて、近所の住民が集まって見守った。現場に居合わせた役場職員の竹内宏さん(43)は「結構遠くの沖合で帰って来られないのではと心配した」と語る。

 目撃者によると、300〜400b沖合を横切るように1〜2`泳ぎ、日暮れとともに姿を消したという。様子を記録したビデオでは、滝沢小学校付近にいったん上陸し、再び海に勢い良く飛び込んで沖合に向かう場面も。映像では左の角に糸かロープらしきものがついているのが確認できる。

 桧山振興局環境生活課の坂村武課長によると、このシカは雄の1〜2歳で「洞爺湖の中島にいる雌をめがけて繁殖時期に泳いで渡る雄がいる。ただ海で泳ぐのは聞いたことがない。なぜ泳いだのか分からないが、若いので奇想天外な行動をとったのでは」という。(田中陽介)



◎脱線現場や車両所視察、JR北再生へ第三者委

 レール幅の検査データ改ざんや脱線事故などJR北海道のたび重なるトラブルを受けて設置した第三者委員会「JR北海道再生推進会議」の委員が1日、五稜郭車両所などを視察した。日本経団連副会長で日本郵船会長の宮原耕治議長をはじめとする委員7人(代理2人)、国土交通省、同社の島田修社長ら約20人が訪れ、作業工程を見たほか、現場管理者と意見をかわした。

 国からの事業改善命令・監督命令を受け、再生に向けての助言、監視などをする第三者委員会による「同会議」を6月に設置し、これまで2度の会合を実施。視察は初めてで、事故が相次いだ道南で行った。

 同社によると、午前中は一連の問題の発端となった大沼駅を視察。脱線現場やコンクリート製枕木の設置状況、レール異常を調べる「トラックマスター」のデモンストレーションを見たという。

 午後は車両の検査・修理を行う五稜郭車両所に移動。同2時ごろ、島田社長が案内し、担当社員から説明を受けながら修繕場や運転整備室で、車両の修理作業や施設状況などを約1時間にわたって見て歩いた。このほか、同所の現場管理者と、保線の管理者と意見を交換した。

 同所視察後に取材に応じた島田社長は「委員に老朽化した設備の状況をインパクトのある形で見ていただけた。安全に対する取り組みについて対処療法に終わらせることではなく、根本的な原因を探る必要があると意見をもらった。意見を集約して、できるだけ生かしたい」と話した。委員は2日午前に青函トンネル内での視察を予定している。(小林省悟)



◎特需の反動が前年下回る、夏の函館観光

 今夏の函館市内の主要観光施設の入り込みや宿泊客数は、全体的に前年をやや下回った。前年にあったロックバンドGLAYのコンサートや函館競馬長期開催の特需の反動が表れたことが要因だ。今年は大規模イベントがなく、大きな落ち込みが懸念されたが、宿泊施設は「特需の分を除けば平年並み」と影響を最小限に抑えた格好。各施設ともすでに秋の行楽シーズンに期待を寄せている。

 主要観光施設の6〜8月の3カ月の利用者数は、軒並み前年を下回った。函館山ロープウェイ(元町)は43万7670人で、前年から約1万5千人減少した。6月が約2万人、8月が約1万人減少。「6月は長雨、8月は台風の影響があった」(同社)。一方、7月は前年から約1万5千人増加。「クルーズ船の客など外国人の利用が好調だった」とした。

 五稜郭タワー(五稜郭町)の利用者は25万7781人。前年から約1万5千人減少。GLAYや競馬の長期開催の反動減を理由に挙げる。ただ、一昨年と比較すると6月や7月は入場者数を上回った。先行きについて「昨年に比べて9月は3連休が1回少なくなるが、豪華客船の入港で利用者が増えれば」と期待する。

 オープンから丸5年を迎えた箱館奉行所(五稜郭町)は5万8170人と低調で、前年から1割ほど減少した。オープン効果が薄れ、毎年入場者は少しずつ減っている。

 ホテル業界も昨年の特需の効果の大きさを実感。ホテル函館ロイヤル(大森町)の山野忠則総支配人は「宿泊者数は特需の分だけ減少したが、観光客の動きは悪くない。秋は期待できる」とする。ロワジールホテル函館(若松町)の岡村匡総支配人は「反動は織り込み済みだった」といたって冷静。「夏場は例年通り、高い稼働率を維持することができ、目標を上回った」とし、「台湾やタイ、シンガポールといった外国人観光客の利用が好調だった」と理由を挙げた。

 朝市にも多くの観光客が訪れた。朝市協同組合連合会の井上敏広理事長は「外国人客の増加が顕著。JRの特急北斗の定期運行再開などもプラス要素になった」と振り返った。(山田大輔、松宮一郎)


◎渡島漁協も大間訴訟支援、函館市に100万円寄付

 渡島管内の14漁協で構成する渡島管内漁業協同組合長会(会長・山崎博康上磯郡漁協代表理事組合長)は1日、函館市の大間原発建設差し止め訴訟に100万円を寄付した。山崎会長(68)は「大間原発で事故が起きたら沿岸の漁業はだめになってしまう」と話し、工藤寿樹市長に目録を手渡した。

 同組合長会は、大間原発建設の公開ヒアリングが行われた2005年から、経過を注視。11年の福島第一原発事故発生後は、建設凍結を求める決議を採択し、電源開発へ建設凍結を申し入れたほか、同漁協組合長会への働き掛け、函館市を中心とした要請行動にも歩調を合わせて活動している。構成団体のうち、函館市内の5漁協でつくる協議会が7月に200万円を寄付し、今回の寄付は8月の組合長会で決定した。

 山崎会長のほか、同組合長会事務局長のぎょれん函館支店の渡部勲支店長らが市役所を訪れた。工藤市長は「大変心強い」と感謝する一方で「福島県の漁業者のひどい状況をみれば、津軽海峡に建てさせるわけにはいかない。原発稼働後は海水温より7度も高い排水が出る。環境調査もせずいい加減なやり方だ」と語気を強めた。

 山崎会長は「道南だけではなく賛同を広げていく。安全かどうか分からない中で建設は中止とすべきだ」と話していた。(今井正一)