2014年9月21日 (日) 掲載

◎阿弥陀寺の歴史一冊に 創建から360年 記念誌完成

 【江差】町緑丘の浄土宗阿弥陀寺(花田恭順住職)は、1655(明暦元)年の創建からの歴史をまとめた記念誌「阿弥陀寺史」をつくった。360年にわたる、地域に根差した寺のあり方や住民の交流などを紹介。記念誌の完成に合わせて23日には同寺で保管する仏像や掛け軸などを一般公開する。

 記念誌は、2005年の建立350年記念にと06年から編さんに取り組んだ。当初の編さん担当者が他界し、檀家の松村隆さん(87)と田畑栄市さん(74)が編さん活動を引き継いだ。

 同寺は明治時代に2度の火災に見舞われるなど、資料の散逸や焼失があった。このため、徹底した住民らへの聞き取りと、寺院の屋根裏に眠っていた貴重な資料類を分析。「本当に本にできるかどうか不安だったが、完成に至るまでの多くの人の協力に感謝したい」と2人。

 昭和30年代後半の花まつりの道路使用許可資料によると、市街地をくまなく巡るコースで「現在の姥神祭なみの熱気が伝わる」と田畑さん。

 新聞のおくやみ記事や折り込み案内がなかった昭和40年代以前の通夜の周知では、10歳前後の子どもが2人組で各玄関先を訪ねて「今夜6時から中歌町のどこそこで、通夜のお参りがありますから参ってください」という口上の風習があったことも詳細に紹介。その際、子どもは早く帰りたいがために「早口で何を言っているのか聞き取れないこともあった。今思えばほほ笑ましくて懐かしい」と松村さん。

 B5判の243n。400部制作し、町内の学校や図書館などに寄贈。23日の同寺の一般公開では、松村さんらが記念誌や貴重な資料について説明する。(田中陽介)



◎シルバー・エクスプローラー函館初寄港 探検船

 シルバーシー・クルーズ社(モナコ)の客船「シルバー・エクスプローラー」(6072d)が20日、函館港に初寄港した。6時間の短い滞在となったが、乗客84人は駒ケ岳など道南の自然を楽しんだ。

 同船は全長107・9b、全幅15・8b、乗客定員は132人。極地クルーズも展開する探検船で、小型の船体を生かして大型船では入港できない地域にも立ち寄ることができる。函館には小樽経由で到着し、三宅島、八丈島などを回りマリアナ諸島に向かう。

 函館には同日正午に入港し、西埠頭(ふとう)に接岸。片岡格副市長や港湾関係者らが歓迎し、初寄港記念の盾や花束などが贈られた。アダム・ボチェック船長は「心温かいおもてなしに感謝している。心ゆくまで楽しみたい」と謝辞を述べた。

 出港時には日本舞踊の「柳紀会」のボランティアグループが和服姿で踊りを披露。8月末に函館市と相互協力協定を締結した函館短期大学の学生や教職員15人も参加し、いか踊りに見送られて、函館港を後にした。保育学科1年生の八田明子さん(29)は「船のお客さんも一緒に踊ってくれて感動しました。またぜひ参加します」と話していた。(今井正一)



◎函館市税など滞納 2013年度81億円 前年比8・4%減 4年連続の減少

 函館市の2013年度決算で、市税や国民健康保険料などの滞納繰越額は、前年度比8・4%減、7億4332万円の圧縮となる81億2338万円で、4年連続で減少した。市では、負担の公平性確保の観点から預貯金や生命保険の差し押さえ実施など、滞納者対策を強化しており、引き続き、滞納額の圧縮に務める。

 市債権回収対策室によると、市税や国保料のほか、各種使用料、負担金などが対象。昨年度の調定額は同0・3%減の705億4120万円で、収入額は同1・1%増の606億5988万円。時効成立などで回収不能となった不納欠損額は同8%減の17億5793万円だった。

 主な滞納状況は、国保料が同6・2%減の37億4456万円、市税が同13・1%減の22億7193万円。保育料は同14・8%減の2億1283万円、上下水道料金は同21・5%減の1億5996万円、病院診察料は同20・1%減の2億2630万円だった。介護保険料は同15・5%増の1億316万円と約1400万円増えた。

 同室は、滞納者と相談した上で、分納計画を立てるなど、債権の回収に努めている。一方で、資力がありながら再三の督促や催告にも応じない、分納誓約を一方的に破棄するなどの「誠意がみられない滞納者」に対し、預貯金などの差し押さえを実施。前年度よりも約400件増の2280件、4億9163万円を差し押さえた。

 高橋哲郎室長は「現年度分を確実に納付してもらうことが滞納額の減少につながる。新たな滞納者をつくらない取り組みを担当部局と連携して進めていく」と話している。(今井正一)


◎わずか7分で完売 おさかな青空市場

 

 函館市南茅部地区で朝一番に捕れた鮮魚の即売会「おさかな青空市場」が20日、臼尻漁港特設会場で開かれた。朝に水揚げされたばかりの新鮮な魚が並び、わずか7分ほどで売り切れる人気ぶりを見せた。

 函南かやべ漁協や臼尻町内会、函館市、水産加工業者などでつくる函館(臼尻)マリンビジョン協議会が主催。2007年から年3回開いており、「毎回5〜15分で完売になっている」(同協議会)という。

 函この日は潮の流れが早かったため臼尻地区の定置網を揚げられず、木直漁港に水揚げされたイカやサケ、サバ、ヒラメなどを用意。午前8時半、約70人が列を作る中、漁協職員の「数が少ないので売り切れ御免です」のあいさつを合図に販売開始。訪れた客が次々と買い求め、あっという間に売り切れた。

 函市内湯浜町から訪れた島本二三夫さん(60)はイカ15杯を800円で購入し、満面の笑み。「本当の捕れたてなので最高。スタートに間に合って良かった」と話していた。

 函今後は10月25日、11月15日にいずれも午前8時半から開催。10月12日には鮮魚や浜鍋などを販売する「南かやべとことん浜味祭り」が黒鷲漁港(尾札部町)で開かれる。 (千葉卓陽)