2014年9月22日 (月) 掲載

◎江差追分 翔田さん優勝 関西勢初

 【江差】第52回江差追分全国大会は最終日の21日、町文化会館で決選会が行われ、兵庫県宝塚市のプロの民謡歌手、翔田ひかりさん(49)=大阪なにわ支部=が一般の部で優勝し、追分日本一に輝いた。関西勢としての一般の部の優勝は初めて。

 師匠の願いだった関西に優勝旗を持ちかえることができてうれしい—。翔田さんは祖父で地元民謡界の発展に尽力した故・菊川寅吉さんの影響で幼少から民謡に触れ、中学1年のときに全国民謡を学ぶ中で江差追分に出会った。プロ歌手として各地でステージを重ねる中、ファンからの「江差追分を歌ってほしい」という声に応え、12年前に本格的に追分を習い始めた。大会出場は10回目。昨年3位に入り、今年一気に頂点に立った。

 優勝旗を握っての舞台では「涙があふれて目を開けることができなかった」。これまで応援してくれた師匠陣や支部の仲間、そして家族らの姿が脳裏に浮かんだ。自宅では小6の長女が吉報を待っており「江差に連れてきたかったけど、これでいい報告ができる」と母親の優しい表情を見せた。関西ならではの明るい性格の持ち主。「民謡界のタカラジェンヌと呼んでください」と笑顔を見せた。

 熟年大会の優勝は、白老町の堀江孝次さん(71)=白老緑清会=。父親の故・岩蔵さんが農作業のときに口ずさんでいた我流の江差追分が忘れられず「35年前に会社の同僚に誘われ本格的に習い始めた。父もこの優勝をよろこんでくれていると思う」と声を張った。

 少年大会の優勝は、札幌市の石田桃子さん(15)=札幌白石支部=。中3までが出場できる同大会で有終の美を飾った。大会結果は後日掲載。  (田中陽介)

の周知では、10歳前後の子どもが2人組で各玄関先を訪ねて「今夜6時から中歌町のどこそこで、通夜のお参りがありますから参ってください」という口上の風習があったことも詳細に紹介。その際、子どもは早く帰りたいがために「早口で何を言っているのか聞き取れないこともあった。今思えばほほ笑ましくて懐かしい」と松村さん。

 B5判の243n。400部制作し、町内の学校や図書館などに寄贈。23日の同寺の一般公開では、松村さんらが記念誌や貴重な資料について説明する。(田中陽介)



◎洞爺丸事故から60年 26日法要「大惨事の教訓 後世に」

 

 【北斗】旧国鉄青函連絡船洞爺丸をはじめ5隻の連絡船が函館湾で沈没し、1447人が犠牲となった洞爺丸台風事故から26日で60年を迎える。事故の記憶が薄れる中、北斗市七重浜7の海難者慰霊碑と七宝寺の供養塔で同日、慰霊法要が行われる。大惨事の教訓を後世に伝えるため、多くの参列を呼び掛けている。

 1954(昭和29)年9月26日未明、台風15号が北海道を襲い、函館湾にいた洞爺丸、第11青函丸、北見丸、十勝丸、日高丸の5隻が沈没。史上最大級の海難となり、多くの遺体が七重浜に打ち上げられた。

 台風海難者慰霊碑前では26日午前10時から、慰霊法要が開かれる。青函連絡船殉職者遺族会(富樫淳次会長)と函館市仏教会の主催で毎年行われており、ことしで61回忌の法要。

 遺族会によると、記憶の風化とともに海難そのものを知らない若者も増えており、語り継ぎが課題となっている。父親が連絡船の乗組員だったという富樫会長(75)は「犠牲者の遺族は二世、三世が中心となっている。交通に関わる人々の安全を誓う場として、一般の方も大勢参加してもらいたい」と語る。

 慰霊碑は函館方面からの場合、国道228号を進みドン・キホーテ函館七重浜店を越えてすぐ左側。問い合わせは富樫さん(TEL0138・53・7793)へ。

 七重浜7の七宝寺(油井清量住職)は、26日午後1時から同寺に隣接する七重浜共同墓地の寂光塔(荼毘(だび)供養塔)前で供養法要を開く。寂光塔は遺族会や同寺の檀信徒、地域住民が建立し、毎年、法要を続けている。油井住職(62)は「遭難者の冥福を祈ることはもちろん、大惨事の記憶と教訓を後世に伝えていくことが寺の願い」と語る。

 七宝寺は函館方面からの場合、国道228号を進みすき家北斗七重浜店を越えて右側。問い合わせは同寺(TEL0138・49・2042)へ。 (高柳 謙)



◎伝統、歴史育み140周年 遺愛学院26日に記念式典

 東北以北で最古の歴史と伝統を誇る女子校、遺愛学院(函館市杉並町、福島基輝校長)が今年で創基140周年を迎えた。26日には、同学院の遺愛アリーナ(大体育館)で記念式典を開き、遺愛女子中・高校の在校生や卒業生ら約1350人が出席し、節目を盛大に祝う。

 同学院は、1874(明治7)年に函館を訪れた米国人宣教師ハリス夫妻が「日日学校」を開設したのが始まり。82(明治15)年に文部省(現文部科学省)認可の正式な女学校「カロライン・ライト・メモリアル・スクール」として開校、85(明治18)年に「遺愛女学校」と名称を改めた。

 現在は中・高合わせて731人が在籍。高校では生徒の進路や目標に合わせて普通科一般コース、普通科特別進学コース、英語科を設けている。これまでに2万4000人超の卒業生を輩出し、卒業生には元JUDY ANDM ARYのボーカルYUKIさんや女優の叶和貴子さんらが名を連ねる。今春の卒業生には東大理Tや北大医学部への現役合格者もおり、進学面での成果が目覚ましい。また、部活動も活発で、全道大会へ出場する生徒も多い。

 学校行事やボランティア活動も力を入れている。生徒が個性や力を発揮できる環境づくりを心掛けており、充実した学校生活を送ることができる。今春の卒業生を対象に実施した満足度調査では、95・1%と過去最高を記録した。

 学院の敷地内にある旧宣教師館(ホワイトハウス)や本館は1908(明治41)年の建造。国の重要文化財の指定を受けており、卒業生たちの思い出をよみがえらせる貴重な財産だ。

 遺愛の歩みをまとめた140周年記念DVDも1200枚作製。福島校長(57)は「これまで多くの人に支えられ、受け継がれてきた伝統、文化を後世に残していかなければならないという使命感がある。生徒たちが生き生きと学生生活を送ることでき、誇りを持てる学校であり続けたい」と話す。 (虎谷綾子)


◎ヒトハコ市 大にきわい アートとコラボ

 

 まちづくり五稜郭(函館市本町、青田基社長)の起業家支援イベント「ヒトハコ市」が21日、五稜郭町の道立函館美術館と市芸術ホールの前の広場で開かれた。今回はアートとのコラボレーションがテーマ。広場は青空ギャラリーとなり、買い物と作品を楽しむ人でにぎわった。

 ヒトハコ市は昨年9月にスタート。毎月1回開いており、今回で13回目。新規に事業を始める人らが創業、起業を目指してチャレンジ出店を続けている。今回は趣向を変え、地域で創作活動に励むアーティストの発表の場、市民と作品の出会いの場にしようと企画した。

 美術館前から市芸術ホールまで続く100b以上の距離にチャレンジ出店のテントと、アーティスト30組が約100点の作品を並べた。絵画やオブジェ、キャンドルなどジャンルは多彩で、来場者は作品の前で足を止めて見入っていた。チャレンジ出店もこれまでで最多の33店が参加し、飲食店や雑貨店などが人気を集めた。

 七飯町の画家、石川潤さん(31)は、ベニヤに描いた大作の絵画を出品。「普段作品に触れる機会のない人に見てもらえたことが良かった。このようなイベントが増えてほしい」と話した。 (松宮一郎)