2015年10月14日 (水) 掲載

◎新函館北斗―東京2万2690円 JR北 道新幹線の料金発表

 JR北海道は13日、来年3月26日に開業する北海道新幹線の特急料金を国土交通省に申請した。新函館北斗―東京間(約860キロ)の特急料金(通常期の普通車指定席)と運賃の合計は2万2690円に設定。料金決定を受け、市内の関係者からは「旅行商品造成に拍車がかかる」と期待の声が上がった一方、「想定より高い」と不満を漏らす意見も聞かれた。

 主要駅から新函館北斗駅まで指定席を利用した際の総額料金(通常期)は、新青森7260円、盛岡1万2880円、仙台1万7310円。北海道新幹線は全車指定席となるが、満席の場合は立席特急券、新函館北斗―盛岡間は、普通車の空いている席を利用できる特定特急券を発売。指定席の特急料金から原則520円割り引きする。

 新函館北斗―東京間でグリーン車を利用した際の料金は総額で3万60円、最上級のグランクラスは3万8280円を予定。いずれも申請認可後、同省に届け出を行い、設定する。

 料金決定に対し、市企画部新幹線対策室の田畑聡文室長は「JR、旅行会社含めて具体的な商品の造成が進むだろう。観光客やビジネス客が使いやすい多種多様な商品が出てくることを期待したい」と話す。

 ただ、新函館北斗―東京間とほぼ同距離の広島―東京間(約890キロ)で指定席を利用した際の料金は1万9080円。北海道新幹線の料金が割高に感じるという声も多い。

 北海道新幹線新函館開業対策推進機構の永澤大樹事務局長は「青函区間の大部分を占める共用区間の最高速度は、在来線の特急と同じ140キロなのに、特急料金は現在と比べて2000円以上高くなる。利活用の阻害にならないか心配」と懸念を示す。

 同社は「青函トンネルの維持費などを考慮した」と説明。函館―羽田間の航空通常運賃約3万5000円と比較し、「航空会社との競争力は十分保てる」としている。(山田大輔、今井正一)



◎高田傑建築都市研究室代表のグループ プロポ最適者に 函館駅前イルミ

 函館市は、JR函館駅前広場のイルミネーション業務の最適提案者として、高田傑建築都市研究室(松風町)を代表法人とするグループに決定した。四角すい状に組み合わせた道南スギ製フレームを並べ、函館山の稜線(りょうせん)やいさり火をイメージした空間をつくり上げる。同社の高田傑主宰は「全国どこにでもあるものではなく、函館に来なければ見ることのできないイルミネーションを目指した」としている。

 駅前のイルミネーションは昨年、はこだて冬フェスティバル実行委員会の事業として初めて実施し、「冬場のにぎわい創出につながった」と好評だった。本年度は来年3月の北海道新幹線開業を見据え、駅前の事業のみをプロポーザル方式で公募。5者から応募があり、審査の結果同研究室と平野建業(日乃出町)、都市電気(堀川町)、文字堂(赤坂町)で構成するグループの提案が選ばれた。

 メーンの電飾に用いるフレームは四角錐の形状で道南スギを使用。駅入り口からの80メートル区間に、頂点の高さや位置を変えたフレーム21基を連続して並べる。フレーム内は通行可能で、人が近づくと点灯する仕組みも持たせる。

 真横から見た場合には、「臥牛の背」をイメージした。フレーム内には「いさり火」に見立てた大小大きさの異なる球状の電飾をつり下げ、ゆっくりとランダムに点灯させる。また、花壇部分には青色LEDを使用し、波打つように点灯させて海を表現するアイデアを盛り込んだ。

 高田さんは「道南スギは強度に優れた素材で、昼間も美しく見せることを考えた。市民、来函者に函館の良いところを感じ取ってもらい、何度訪れても違った表情を感じられるイルミネーションにしたい」と話している。今後、提案内容を軸に市と細部を協議し、12月中旬までに点灯を開始する。(今井正一)



◎産業道路の渋滞緩和 函館—赤川IC延伸効果まとめ

 函館開建は13日、今年3月14日に開通した函館新外環状道路函館インターチェンジ(IC、函館市桔梗町)—赤川IC(同市赤川町)間2・4キロの延伸効果をまとめた。この区間の利用により、道道函館上磯線(産業道路)で発生していた朝方の渋滞が約5割減り、夕方の渋滞が解消されたことが分かった。

 産業道路の渋滞長は開通前の昨年9月18日と開通後の今年9月10日を比べたところ、朝方(午前7〜9時)は開通前で250メートルの渋滞が発生していたが、開通後は130メートルに縮小。夕方(午後5〜7時)は開通前が100メートルだったのに対し、開通後はゼロになった。また、産業道路、市道赤川石川線、市道美原学園通では12時間あたりの交通量が計約9000台減り、新外環状道路へ乗り換えたことを裏付けている。

 市道赤川石川線は交通量が約4割減少し、開通前(2010〜14年4〜8月)の人身事故件数(年平均)が2・4件だったのに対し、今年4〜8月はゼロとなり、通学路の安全が高まった。  今月から函館空港〜大沼国定公園間のシャトルバスが新外環状道路を利用するルートとなり、所要時間が7分短縮する効果も出た。

 函館IC周辺のアクセス向上に伴う広域商圏を見据え、今年12月に七飯町に大型スーパーの出店が予定されているほか、スーパーの移動販売車拠点が2店舗でカバーしていたエリア(大沼地区、川汲・鹿部地区)が開通後は1店舗で回れるようになった。

 函館開建は「ほぼ予定していた効果が出た。認知度が高まり、徐々に交通量も増えてきていると思う」(道路計画課)とする。(山崎大和)


◎市椴法華振興公社 本年度で解散へ

 函館市は13日、椴法華地域のホテル恵風と市灯台資料館(ピカリン館)の指定管理を行う市椴法華振興公社(三輪秀悦社長)を、本年度いっぱいで解散し、指定を取り消すことを明らかにした。市椴法華支所は解散の理由に「利益の最も大きいホテル宿泊客が10年前から6000人ほど減少し、同公社の経営に大きな影響を及ぼしている」と説明。同公社の財務状況を精査した上で、今後の経営が厳しいと判断した。市は新たな指定管理者候補の選定を進める。

 同公社は1997年4月、旧椴法華村が観光振興を目的に全額出資して設立。同年、村が国民宿舎「恵山荘」を引き継いで同ホテルを建設、同公社が第三セクターとして管理運営を始め、2006年度から指定管理者に指定されている。

 ホテル利用客は、10年前の2005年度に10万3308人だったのに対し、14年度は7万3686人と約3割減少。利益が大きい宿泊客は05年度比5980人減の1万5534人と、過去10年間で最低となった。経営成績は11年度から4年連続で赤字を計上。昨年度は453万円の純損失で、繰越利益剰余金も初めて287万円の赤字となった。

 同公社の財務状況(3月末現在)は流動負債が流動資産を約590万円上回っており、短期的支払能力が低い状況にある。ただ、市は両施設を「同地域にとって不可欠な存在」として、新たな指定管理者候補を選定する予定。また、露天風呂や運送バスなど同公社の有形固定資産(約8000万円)のうち、市はホテル運営に不可欠な資産を買い取る考えだ。(蝦名達也)