2015年10月22日 (木) 掲載

◎自然、景観、魅力 再構築を 恵山観光考えるWG発足

 活火山恵山(618メートル)と山麓の恵山つつじ公園を中心とした地域の観光資源の掘り起こしを図るワーキンググループ(WG)の初会合が21日、市恵山支所で開かれた。同支所は来年度、恵山つつじまつり(5〜6月)以外に集客イベントを企画・実施する考え。津軽海峡を一望でき、登山可能な活火山の魅力再発信に向けた方向性を探った。

 WGは、老朽化が進んでいる同公園の再整備を視野に地域の活性化につなげようと発足。地域の自然や環境に精通した委員7人と渡島総合振興局、道森林管理局の職員計3人がアドバイザーに就き、函館高専の奥平理准教授を座長に選任した。松塚康輔支所長は「春はツツジ、秋は紅葉がきれいな場所。だが、恵山つつじ公園は老朽化し、魅力を出し切っていない」と課題を示し、奥平座長も「恵山の存在が希薄になっているのは否めない」と述べた。

 活性化案として来年から祝日となる「山の日」(8月11日)の制定を記念した登山会の開催、廃道となっている高原コースの再整備、エゾイソツツジなどつつじまつり後に見ごろとなる植物の情報発信、遊漁船を活用した海上からの野鳥観察などの提案があった。

 課題では、景観を阻害している旧恵山モンテローザ敷地(市有地)の構造物の撤去、登山コースや自然の見どころを網羅したパンフレット製作、道の駅「なとわ・えさん」の機能の拡充などが上がった。

 また、近年、不整地の山道を走る「トレイルランニング」の愛好者が恵山でも増えつつあるとし、自転車の持ち込みもあるという。委員の鎌鹿隆美さんは「トレイルランニングはそのうち市民権を得る」と指摘し、激突事故の防止対策など早期の議論が必要と提言した。(今井正一)



◎みそぎ浜に展望台デッキ 町が観光客向けに整備

 【木古内】町は来年3月26日に開業する北海道新幹線に伴う整備事業として、国道228号沿いのみそぎ浜に津軽海峡を眺める展望デッキを、木古内駅前交差点に休憩できる小公園を設けると決めた。両事業とも開業日までに完成予定で、駅周辺を快適な空間に整える。

 展望デッキは、みそぎ浜に常設している交通監視塔と鳥居の間に整備。高さ1メートルで再生木材を使用。床の面積は28平方メートル。2段構造で鉄製の転落防止柵も整備する。町内で1月13〜15日に開催する伝統神事「みそぎ祭り」で、行修者4人がご神体を抱えて厳冬の海に飛び込む「海中みそぎ」を観覧する席の一部にもなる。また、鳥居周辺もブロック舗装にして手水鉢を設置する。みそぎ祭り以降に現地着工を予定している。

 駅前の小公園はブロック舗装で129平方メートル。備え付ける円形のベンチなどは約20人が休める。道南スギを活用したモニュメント(高さ2・6メートル)のほか、ツツジやヒバも植栽する。11月に発注を予定している。

 両施設とも町有地で、合計事業費は2000万円。町は観光客に向けた体感型の観光事業やまち歩きに施設の利用を考えている。町建設水道課の若山忍課長は「みそぎ浜の展望台はイベント以外でも自由に立ち寄ってもらいたい。また、小公園は町中の散策の休憩所としてくつろげる場所にしたい」と話している。(斎藤彩伽)



◎湯川海水浴場廃止が正式決定 安全確保困難

 函館市は21日、根崎町の湯川海水浴場を廃止すると正式決定した。同海水浴場に設置している敷ネットの傷みが激しく、安全性を確保できないことに加え、ネットの更新、設置に概算で2億4000万円以上の経費を要するため。市は来年度内に同海水浴場の設備環境を撤去し、遊泳禁止区域の周知に取り組む考えだ。

 市は同海水浴場のネットを繰り返し部分補修しながら使用。ただ、最も痛みが激しい陸側敷ネットの使用可能年数は、2010年の強度調査で本年度までと診断されていた。毎年シーズン後のネットの補修業務を受託する中外製網(石川県)は「網地の破れと(ネットを張る)筋ロープの破断箇所は例年を大きく上回り、補修は大掛かりなものになる」と、部分補修では安全な強度を保てないとしている。

 また、ピーク時5万人を超えた入場者が13、14年で2万人を割り込んだことや、新しいネット購入でも2億円、設置・維持に毎年4000万円かかり、開設の継続は困難だと示した。

 入舟町の前浜海水浴場は来年度以降も継続して開設。市は湯川のシャワー、トイレを設置するための基礎や分電盤設備などを撤去するとともに、水難事故防止として監視員の配置を検討中。また、例年小中学校、高校などに配布される、遊泳に関する注意事項などが記されたちらしや、市内各所に設置している看板を通じ、禁止区域周知に努める。(蝦名達也)


◎「大間」凍結の必要性訴え 函館市民総決起集会

 函館市町会連合会(新谷則会長、182町会)は21日、市亀田福祉センターで、大間原発建設凍結函館市民総決起集会を開き、市民約500人が参加した。市が国と電源開発(東京)を相手に起こしている大間原発(青森県大間町)建設差し止め訴訟を担当する海渡雄一弁護士を講師に招き、大間原発の危険性や建設凍結の必要性を訴えた。

 23日の住民訴訟(函館地裁)にある口頭弁論の前に、市民の関心を高めるとともに、原発建設凍結に向けて14万6184筆を集めた署名活動(昨年12月〜今年3月)の成果を風化させないようにと企画した。

 新谷会長が「危険な放射能を出す原発を近くにつくらせない」とあいさつ。来賓の衆議院の逢坂誠二、前田一男両議員が激励を述べた後、工藤寿樹市長からのメッセージが読み上げられた。

 海渡弁護士は「大間原発建設差し止め訴訟の現場から私たちと原発」と題して講演。同訴訟の状況や、過去に携わった訴訟の事例を紹介しながら、「東京電力は大津波を予想していたが、防潮堤のための数百億円の工事費と地元住民の批判を恐れて建設を中止していた」と説明。大間原発を止めるためには①「原子力ムラ」の論理に打ち勝つ知識を得ること②福島で起きた被害を知り、これを繰り返してはならないと心で感じること③この戦いは勝てるという確信を共有すること−の3つのポイントを挙げ、「知情意の統合で大間原発は必ず止められる」と強調した。