2015年10月28日 (水) 掲載

◎大沼ルート新設、北都交通の定期観光バス

 北都交通(札幌市)は来年3月26日の北海道新幹線開業を見据え、函館市内で運行する定期観光バス路線を充実させる。開業後は既存路線のコースを一部変更し、新函館北斗駅を出発して大沼へ向かうコースなどを新設するほか、ほぼ全便で新函館北斗駅への乗り入れを実施。午後に新幹線で到着する旅行客の利便性を高め、需要の取り込みを狙う。

 新たに設定する「大沼午後コース(仮称)」は、函館駅前バスターミナルを出発後、新函館北斗駅を経由して、大沼公園やしかべ間歇泉(かんけつせん)公園などを周遊。宿泊施設が多い函館駅前や湯の川温泉まで運行する。

 函館山の夜景鑑賞を目的としたコースは内容を一新。起点を湯の川温泉から同駅に変更し、さらに夕食付きとした。「夜景を見る前に食事をしたいという利用客のニーズに応えた」(同社)とし、五島軒本店や金森赤レンガ倉庫内の函館ビヤホールなど、複数の飲食店から選択してもらう計画だ。

 また、例年4月下旬から運行を開始していた「大沼公園遊ゆうコース」は、新幹線開業日の3月26日からスタート。開業時に見込まれる多数の観光客に対応する。五稜郭タワーや函館朝市など観光名所をめぐる既存のコースも同駅に乗り入るほか、半日コースなど約10路線を運行する予定だ。

 今月28日には、市内の観光関係者を招いてモニターツアーを行い、広く意見を集約する。同社は「新幹線で到着したお客様が、スムーズに観光地へ向かえるよう整備したい。年明けからホームページやパンフレットでPRを始めたい」としている。(山田大輔)



◎恵山郷土博物館廃止へ

 函館市は27日、旧恵山町の歴史的資料を展示する市恵山郷土博物館(柏野町117)を本年度限りで廃止する方針を明らかにした。施設の老朽化が著しく進んでいるためで、展示物の一部はえさん小学校で保管する。市は12月の定例市議会に、市郷土館条例の廃止案を提出する。

 同日、市恵山支所で開かれた恵山地域審議会(東福洲二会長)で、恵山教育事務所が報告した。

 同館は観光名所のつつじ公園に隣接し、1968年に開館。恵山地区にある日ノ浜遺跡で出土された縄文時代の土器や石器をはじめ、クマやエゾシカといった動物のはく製などを展示している。これまで2回ほど改修工事をしてきたが、雨漏りや外壁のはがれなどが進んでいることから、市は昨年度から施設の解体を視野に検討してきた。

 利用状況は例年、恵山つつじ祭りの開催時期をピークに減少傾向で、開館期間を縮小してきた。昨年度は同祭りに合わせて5~6月の16日間だけ開館したが、本年度は通年休館としている。

 市は同小の冬休み時期に手で触れられる土器、石器などの展示物を移動。はく製などは市立函館博物館が管理する。条例廃止により、本年度中で郷土博物館としての機能はなくなるが、建物の取り壊しについては現段階で未定。同教育事務所は「利用者の保全を第一に考えた方針。展示物は郷土史学習のため有効に活用したい」としている。(蝦名達也)



◎市と道労働局、一体で就労支援…コーナー開設

 生活保護受給者や生活困窮者を対象にした函館市就労支援コーナー「ジョブファインかめだ」が27日、函館市亀田支所庁舎内(美原1)に開設された。市と道労働局が一体となった取り組みで、両者が連携を強化し、対象者の自立に向けたワンストップ型の就労支援サービスを提供する。

 同庁舎2階の亀田福祉課奥に開設。パーテーションで区切られた約25平方メートルのスペースに求人情報検索機を2台置き、常駐する函館公共職業安定所の相談員が市のケースワーカーらと連携しながら求人情報の提供や就労に向けたアドバイスを行う。道労働局と自治体が共同で開いた同様の施設は市内で初、道内で5カ所目となる。

 この日同庁舎で開かれたオープンセレモニーで、道労働局の中村正子職業安定部長は「市と労働局で話し合いを密に重ねながら、このコーナーを効果的なものにしていきたい」とあいさつ。市の藤田秀樹保健福祉部長は「来年3月の北海道新幹線開業によって新たな雇用が生まれ、この支援コーナーの活用が広がると考えられる。就労と福祉が深く結び付き、大きな成果になるよう取り組んでいきたい」と述べた。

 今年10月1日現在の市内の生活保護受給世帯は9514世帯。市などでは本年度の利用者目標を400人としている。(金子真人)


◎地方創生 道南は5市町

 政府は27日、人口減少対策として全自治体が策定する「地方版総合戦略」の優良施策を支援するため、先駆的事業に対する交付金(地方創生先行型)を決定した。道内は68件が採択され、交付予定額は約13億円。

 今回は先駆的事業分(タイプI)で、人材育成・移住、地域産業、農林水産、観光、まちづくりの各分野で国の審査会を経て選ばれた。他の自治体の参考となる先進的事業を支援する。

 道内では道と31市町村の38単独事業が採択。このうち道南は函館市(水産海洋GIS活用事業、770万円)、知内町(活力ある地域産業創造プロジェクト事業、3000万円)、七飯町(ICTを活用した訪日外国人対応DMO構築推進事業、3434万円)、長万部町(町と東京理科大の連携による再生可能エネルギーを活用した先進的アグリビジネス事業、3000万円)、厚沢部町(持続可能となる素敵な過疎の町づくりによるCCRC事業、2000万円)が選ばれた。

 広域連携事業では9件が対象となり、道南は上ノ国町、江差町、厚沢部町、乙部町、奥尻町、今金町、せたな町の桧山7町と東京都特別区との連携事業に3514万円が交付される。(山崎大和)