2015年10月29日 (木) 掲載

◎ヘルプデスク 周知広がる

 在住外国人や海外からの観光客が、けがや病気で医療措置を必要とする場合に、電話1本でその場に通訳者を派遣する函館市の相談窓口「ヘルプデスク」の運用が始まってから11月で半年を迎える。27日現在で派遣実績はないが、医療機関から問い合わせが数件寄せられており、緊急時の対応窓口として周知は広がりつつある。

 同事業は北海道国際交流センター(HIF)が市から委託を受け、5月に開設。派遣までの流れは、始めに同センターのオペレーターが医療機関や宿泊施設などの通報者から患者の国籍や言語を聞き、登録通訳者に連絡。有償で現場に急行してもらう仕組み。対応言語は英語、中国語をはじめ韓国語、フランス語など9カ国語で、29人の通訳者が登録している。

 市企画部国際・地域交流課によると、7月に中国国籍の観光客が受診した際、同窓口へ連絡があったほか、個人病院から同事業の内容への問い合わせが数件寄せられたという。7月の事例は添乗員が同行したことで、派遣には至らなかった。

 市は半年間の経過を踏まえ、緊急時のみの利用から、日常の通院や受診予約を行う際に通訳者を同行できるよう利用範囲を拡大する方針だ。今月、通院時の利用を望む連絡も寄せられており、同課は「ニーズの把握に努め、外国人が安心して函館で過ごせるように改善する」としている。

 今後同事業を進めていく上で重要になるのは、医療用語を含め、患者と医師のやりとりを正確に通訳する技術だ。登録通訳者の多くが医療に関する通訳の経験がないことから、市は来年度医療通訳の講習会を開き、通訳者のスキルアップや支援に取り組む。

 相談は24時間対応。同センターの島香奈未さんは「通訳の人たちはそれぞれ仕事を持ちながら積極的に協力している。遠慮しないでまずは電話してほしい」と話している。

 通訳料は最初の1時間が6000円、以降1時間ごと3000円かかるため、患者の承諾を得た上で利用する。TEL090・2694・7985。(蝦名達也)



◎割引切符造成をJR北に要請

 【札幌】函館・青森の両商工会議所は28日、来年3月26日に開業する北海道新幹線の割引切符造成などを求める要請書をJR北海道に提出した。1989年にツインシティ提携を締結して以降、両商工会議所が連名で要請活動を行うのは初めて。

 函館商工会議所の西村憲人副会頭や青森商工会議所の倉橋純造副会頭ら5人が札幌市のJR北海道本社を訪れ、鉄道事業本部営業部の森下昌副部長に要請書を手渡した。倉橋副会頭は「開業効果を一過性で終わらせないようにするためにも、ビジネスなどに特化した割引切符の造成を早い段階で対応してほしい」と要望。森下副部長は「通勤や通学、通院も含めてニーズを考慮しながら検討したい」と回答した。

 要請を終え、西村副会頭は「北海道新幹線の利用促進が図られるような割引切符が設定されることを期待したい」と述べた。

 同社は今月13日、新函館北斗—東京間の普通車指定席の総額を2万2690円などとする特急料金を発表。1キロあたりの特急料金は東北新幹線の1・52倍で、全国で1番割高となっている。(山田大輔)



◎老人ホームに運営転換 椴法華高齢者福祉総合センター

 函館市椴法華地域審議会(木下恵徳会長)の本年度第2回会合が28日、市椴法華支所で開かれた。同支所は椴法華高齢者福祉総合センター(新浜町188)の運営について、来年度以降、自立から要介護5まで入居可能な混合型介護付有料老人ホームに転換することを明らかにした。これに伴い市は、同センターの施設財産を無償貸与し、運営を委ねる方法での民営化を図る。

 同センターは介護保険制度が施行された2000年に新設。施設内に生活支援ハウス(定員17人)と老人デイサービスセンター(同20人)を設置し、09年以降、要介護2までを入居要件としている。開設当初は椴法華村社会福祉協議会が運営し、04年の合併後から市社協が施設運営を行ってきた。

 06年度から指定管理者制度を導入しているが、14年度の公募で、利用料金制を採用する老人デイサービスの次期期間の収支均衡が困難とのことから応募はなかった。本年度は特例により市社協が引き続き指定管理委託しており、その間、地域住民から要介護3以上の入居を求める声が上がっていた。

 施設転換による今後のサービスは、生活支援ハウスを混合型(定員18人)へ。老人デイサービスは新事業者による任意事業とし、生活管理指導短期宿泊(同1人)と配食サービス(17人利用)を廃止するとした。市は30日まで事業者の公募を行い、12月の定例市議会に同センター条例の廃止案を提出する。

 このほか、同地域のホテル恵風を管理運営する市椴法華振興公社の指定取り消しについて、委員から「どうして赤字経営になったのか、公社自ら説明するべきだ」と意見。木下会長は「プロによる運営が望ましく、期待は大きい」と述べた。(蝦名達也)


◎函館市文団協、白鳳章にアララギ会

 函館市文化団体協議会(文団協、安保天壽会長)は28日、本年度の白鳳(はくほう)章、青麒(せいき)章の受賞者を発表した。白鳳章は、函館アララギ会の1団体と、函館オペラの会の中村勝雄さん(74)、函館邦楽舞踊協会の西坂由美子さん(藤間扇生(せんお)さん、81)の2個人が選ばれた。青麒章は該当がなかった。贈呈式は、11月27日にロワジールホテル函館で開く「市民文化交歓のつどい」で行われる。

 両章は函館市在往者か同市に活動拠点を置く団体、またはその団体に所属する個人が対象。白鳳章は、長年の活動が市の文化・芸術振興に貢献したことを評価。本年度で計113個人・団体が受賞となった。青麒章は、1年間(前年9月から今年8月まで)に行った文化、芸術活動で優れた実績を上げ、今後の活躍が期待される個人・団体が対象。同じく計74個人・団体が受賞している。

 函館アララギ会(山県庸美(のぶよし)代表)は、1936年「ムラギモ短歌会」の後継団体として結成。これまでの月例歌会は732回に及ぶ。道南一円に在住する歌人の創作活動を支え、地域の文化向上に貢献してきた。山県代表は「道内でも有数の長い歴史の中で、携わってこられた多くの方々の尽力のたまもの」と話す。

 中村さん=北斗市向野=は、93年の第3回函館市民オペラ公演で演出を手掛けて以来、本年度までの21回中14回を演出した。同会では舞台監督として活躍し、道南の音楽劇のほとんどを手掛けている。「初期に手掛けた公演の苦労が思い出される。活動を長く支えてくれた家族に感謝したい」と喜んだ。

 西坂さん=七飯町本町=は、6歳で故松本幸枝師匠に入門。68年に藤間扇生の名を許され、これまでに名取りを8人輩出。現在も後進の育成に専念している。「大変光栄なこと。長く続けて来られたのも師匠や社中、協会の方々の支えのおかげ。今後も伝統文化の振興発展に尽力したい」と話した。(半澤孝平)