2015年10月30日 (金) 掲載

◎大間原発「函館の懸念は当然」…小泉、細川元首相が来函

 原発ゼロを目指す活動を進める小泉純一郎、細川護煕の両元首相が29日、来函した。工藤寿樹市長が国と電源開発を相手取った大間原発建設凍結を求める訴訟に至った経過を説明した。懇談後、小泉氏は「話を聞けば聞くほど、函館の懸念や反対は当たり前だ。大間の建設を阻止するよう頑張らないとならないという気持ちを強く持った」と述べた。

 細川氏が代表理事、小泉氏が発起人代表を務める一般社団法人自然エネルギー推進会議の取り組み。函館市の大間原発訴訟の代理人を務める河合弘之弁護士、中川秀直元官房長官らが同行した。正午すぎに市役所に到着し、工藤市長や佐古一夫市議会議長が出迎え、居合わせた市民からも拍手が起きた。

 懇談は非公開で約20分間行われた。市総務部によると、市長は避難計画策定を義務付けられながら函館には同意権もなく、実効性のある避難計画策定も困難な状況などを説明。懇談後には、庁舎8階から津軽海峡を挟んだ大間原発を双眼鏡で視察し、工藤市長が「山もなく遮るものがない」と述べ、テロへの懸念や対岸との周辺人口の違いなどを伝えた。

 視察後、記者団の取材に小泉氏は「大間原発は日本全体の問題であると再認識した。函館こそ原発問題の核心的問題をはらんででいる」と強調。細川氏も「原発ゼロ、自然エネルギー普及にさまざまな努力をしている。いろいろな形で、あらゆる角度から頑張っていく」とした。

 また、小泉氏は核燃料サイクルの実現性について否定的な見解を示し、「原発を容認した時と同じ。いずれ放射能の害を少なくする技術を確立するといって50年、60年もできていない。原発推進論者は大いなる危険があるのにやろうとしている」と述べた。今後の活動については「国民一人一人が危険性を感じてもらえるよう活動を続けなければならない。ひるんでもあきらめてもいけない」と訴えた。

 工藤市長は「心強く、ありがたい。強力なお二人の応援は市民も関心を持っている。裁判を戦うだけではなく、世論を盛り上げるため、私も発信をしていく」と力を込めた。(今井正一)



◎新幹線PR動画 GLAYがBGM…道が公開

 函館出身のロックバンド「GLAY」がBGMを担当する北海道新幹線開業PR動画が完成し、29日に道の公式サイトで公開された。12月中旬に道内や東北、北関東でテレビCMとして放映されるほか、開業イベントや映画館などでも流れる予定だ。

 道は「北海道新幹線特任車掌」のタレント鈴井貴之さんをメーンとした開業PR動画を5本制作。撮影は函館山山頂、函館漁港、札幌道庁赤れんが前の3カ所で行われ、鈴井さんが地元の漁師や子どもたちと一緒に開業を待ち望む姿をビデオレター風に仕上げた。

 BGMはGLAYのリーダーTAKUROさんが書き下ろした「Supernova Express 2016」。道や沿線自治体、JR北海道など35団体でつくる「北海道新幹線開業戦略推進会議」が開業イメージソングとしてGLAYに制作を依頼していた。

 GLAYの所属事務所は「古里である北海道への思いをはせた歌詞と、新幹線をイメージさせる壮大なメロディーが印象的なPOPロックチューン」と説明している。

 動画は道の新幹線開業PRサイト「北海道新幹線開業NAVI」(http://hokkaido-shinkansen-navi.jp)で見ることができる。(金子真人)



◎函水高水産食品科が優秀賞…道高校水産クラブ研究発表大会

 【北斗】第36回北海道高校水産クラブ研究発表大会が29日、北斗市七重浜住民センターで開かれ、道内4校(函館水産、小樽水産、天売、厚岸翔洋)の10チームが日頃の研究成果を披露した。函館水産の水産食品科が最高賞の優秀賞に輝き、12月に福井県で行われる「全国水産・海洋系高校生徒研究発表大会」への出場を決めた。

 同科は「外販企画コーディネート~水高生が考える缶詰販売企画~」と題し、3年の米谷翔生(かい)君が登壇。学校祭や外部のイベントなどでサンマの水煮やサバの味みそ煮などの缶詰販売実習を行う傍ら、缶詰が売れるメカニズムを調べて実践し、魚食普及につなげていくことを最終目標に据えた。

 事前にチラシやSNSなどでPRして臨んだ初回の販売(6月、函館市内のデパート)では、1時間足らずで1350缶が完売。その後の販売でも順調に完売させた。

 9月末の学校祭で取ったアンケートでは、味で高評価を得ていることなどが分かり、「缶詰は、味でリピーターを作り出す力を持っている。函館では宣伝方法が鍵を握り、それ以外の地域では、初めて購入する顧客を多く獲得し、諦めずに継続した販売にチャレンジする必要性がある」と力を込めた。

 同科の優秀賞受賞は3年連続。また、同校海洋技術科の「函水ミニチュア博物館プロジェクト」が努力賞に入賞した。(稲船優香)


◎森港埋立地 「水産物普及拠点施設」3日オープン

 【森】森水産加工業協同組合(木村俊一組合長)が魚食文化を継承、普及しようと港町森港埋立地で建設を進めていた「地域水産物普及拠点施設」が、11月3日午前10時にオープンする。生鮮魚介類や水産加工品の展示、販売を行うほか、地元の若い世代や観光客を対象に、料理講習会が行える調理スペースを設置。新たな観光名所を目指す。

 施設は来年3月26日の北海道新幹線開業や、新たな交通ルートとして期待されている、森港と室蘭港を結ぶ「噴火湾横断航路」をにらみ、総事業費2200万円をかけて、6月下旬から建設を開始。魅力ある水産資源などを、町内外へ発信する拠点としての役割を果たす。

 木造平屋建てで延べ床面積は106平方メートル。内部には展示スペースと調理スペース、事務室を設け、同組合が管理、運営する。

 展示販売スペースでは、その時期旬の魚介類や水産加工品を置くほか、水槽を設けて活魚を展示、販売する。同組合によると「シーズンを通じて100種類以上の商品が並ぶ予定」。調理スペースでは森漁業協同組合女性部や町などと連携し、魚のさばき方などを含めた料理講習会などのイベントを実施する計画だ。さらに未利用魚介類を活用した、新商品の開発拠点としても期待されている。

 11月2日午後1時半からは落成式を行う予定。同組合は「今後観光客が増加することを見据え、拠点施設を核に森町のおいしいものを提供していきたい」と話している。