2015年11月10日 (火) 掲載

◎図書館などに宇江佐真理さん追悼コーナー

 7日に乳がんで亡くなった函館在住の小説家宇江佐真理(うえざまり)さん(享年66)をしのび、函館市内の図書館や書店では、宇江佐さんの作品を紹介する追悼コーナーが設けられた。

 函館市中央図書館(五稜郭町26)では、8日からサービスデスク横に、宇江佐さんのコーナーを設置。

 同館が所蔵する493点のうち、貸出可能な約150冊を用意。訃報が届いた後から多くの来館者が借りている状況で、丹羽秀人館長は「函館の方々にとても愛されている作家なのだとあらためて実感した」と話す。

 宇江佐さんは江戸庶民の暮らしを恋愛など情感豊かに描く時代小説で、多くの読者を得た。同コーナーは1カ月ほど設ける予定といい、丹羽館長は「図書館は古い本をずっと保管する場所。宇江佐さんを忘れないで、末永く読んでもらいたい」と願いを込める。

 市内の書店でも特設コーナーが設けられ、棒二森屋(若松町17)内のくまざわ書店函館店では、在庫品の約50作品を並べ、追悼コーナーを開設。道垣内大祐店長は「もともと人気のある作家で、購入客が多い」と話し、今後スペースを広くして1カ月程度コーナーを開設する考え。

 テーオーデパート(梁川町10)の文教堂書店でも一角に開設。8日には最新刊の「髪結い伊三次捕物余話」シリーズの「竈河岸(へっついがし)」が品切れになり、急きょ再入荷する状況となった。 (蝦名達也、鈴木 潤)



◎ドサンコ災害救助デモンストレーション

 道南発祥の北海道和種馬(ドサンコ)の重量搬送能力などを災害時の救助活動に役立てようと、北海道和種馬保存協会(札幌、近藤誠司会長)は8日、函館市東山町の函館どさんこファーム一帯で災害救助デモンストレーションを行った。人馬一体で人命救助と物資搬送の対応を詰めた。

 ドサンコの背にロープ1本で荷物を積む駄載(だんづけ)は、地域の発展を支えた伝統技術。同協会によると最高200キロの運搬ができ、災害時の活用が注目されている。

 訓練は昨年に続き2回目で、同協会道南支部(長谷川繁支部長)と北海道災害救助騎馬隊(池田茂代表)が協力し、10頭と25人が参加。土砂災害で孤立集落ができ、車両とヘリコプターによる救援活動が困難な状況下を想定し、泥道や急こう配の山林で行った。

 騎馬隊が災害状況を把握し、その情報を基に負傷者の救助と搬送、まきと救援物資に見立てた荷物を届けた。

 前足と後ろ足を同時に前に出すことで揺れが少なくなるドサンコの「側対歩」も披露され、大きな拍手が起きた。

 近藤会長(65)は「課題を探り、ドサンコの能力の活用とその素晴らしい伝統を守っていく。災害時にドサンコの存在は、多くの人を励ます存在になる」。長谷川支部長(69)も「今後も訓練に協力して、万一の際の救助活動に生かしたい」と話していた。

 同協会は来年も同訓練を行う予定。  (田中陽介)



◎外国人観光客に対応

 道は9日、急増する外国人観光客に対応できる人材を育成しようと、タクシードライバーなどを対象とした研修会をサン・リフレ函館(大森町)で開いた。市内でタクシーや市電の運転に携わる35人が参加、外国人客のガイドを務める観光ドライバーらによる講演やロールプレイング形式の演習を行い、接客のスキルを学んだ。

 個人の外国人客が増加する中、交通事業者の受け入れ態勢を支援しようと初めて企画。函館のほか、札幌・旭川・釧路の全4会場で実施している。

 タクシーで年間約40組の海外客を案内した経験を持つグリーンガイドの形浦秀篤さんは「不安を取り除くために、まず自分なりのあいさつパターンを持って」とアドバイス。通訳案内士として外国人観光客のガイドを行う遠藤昌子さんは、英語表現の基本を伝授。「笑顔を作り、キーになる単語を大きな声でしっかり伝えることが大事」と強調した。

 続けて参加者は5つのグループに分かれ、外国人留学生を相手に模擬演習を実施。指差し会話シートを使用しながら、乗車から降車までの流れを体験した。研修を受講したモーモータクシーの運転手、武田隆志さんは「台湾の客を中心に利用は増えている。研修を生かし、おもてなしの質を向上させたい」と話していた。 (山田大輔)


◎はこだて検定に310人挑戦

 函館の歴史や文化、産業などの知識を問う「第10回函館歴史文化観光検定(はこだて検定)」が8日、北大水産学部(港町)で行われ、初級・上級の合計で310人が挑戦した。全体では前年比9%減となったものの、上級受験者数は82人と過去2番目に多い数字となり、主催する函館商工会議所は「新幹線開業を契機に、検定に高い関心が寄せられた」と手応えをつかんでいる。

 同検定は、北海道新幹線開業を見据え、地域への愛着を深め、魅力を発信できる人材を育てようと2007年にスタート。今回を含めた累計受験者数は4610人に上る。今年は10の都道府県から申し込みがあり、15歳から80歳までの受験者が検定に挑んだ。

 同会議所は昨年、受験者数の減少に歯止めを掛けようと、市内の観光施設を複数で利用した場合、上級合格者の入館、利用料が無料になる制度を新たに設置。竹内正幸企画情報課長は「特典が好評で、初級合格者が上級を受験する動機づけにつながった」とする。

 上級合格者の有志でつくる「はこだて検定合格者の会」が昨年始めた受験相談会も好評だった。同会によると、前年の33人に対して今年は51人が利用。このうち半数は上級受験者だという。同会の北条護さんは「新幹線開業をきっかけに、郷土について勉強しようという人が増えた」と話す。

 ただ、同会議所が目標に掲げる全体で400人の受験者数にはあと一歩足りなかった。竹内課長は「受験者が少ない若年層への働きかけなど知恵を絞りたい」としている。 (山田大輔)