2015年11月13日 (金) 掲載

◎恵山地区「高原コース」 廃道を再整備

 活火山「恵山」(618メートル)や「海向山」(570メートル)に続く函館市恵山地区側の登山ルートで、長く廃道となっていた「高原コース」を再開する作業が進められている。来年6月にも登山会を開催する計画があり、市恵山支所や道南の山岳関係者らが下草刈りなどを実施。気軽に山歩きを楽しみ、津軽海峡を見下ろすこともできるコースとして、観光客らにも周知を図りたい考えだ。

 恵山の登山道は、椴法華地区側には八幡川コースなど2本あるが、恵山地区側は高原駐車場へのルートのみ。高原コースは、旧恵山小近くの登山口から、海向山コースと合流するまでの全長約2・5キロで、津軽海峡や下北半島を望むことが可能だ。登山口周辺のリゾート開発が進んだことや、ウマやシカの被害への懸念などを理由に、1990年代には事実上の廃道となっていた。

 11日に行われた作業には関係者14人が参加し、海向山ルートとの分岐点から登山口に向かい、草刈りや枝払い、登山者への目印となるテープ付けを実施した。コースの魅力について、函館植物研究会の工藤光信代表は「エゾイソツツジやムラサキヤシオなどツツジだけで十数種は見ることができる。季節ごとにいろいろな植物に出合える」とした。

 ただ、長期間、登山客があまり訪れていなかったことでシカの獣道が点在し、真新しいふんや泥あびをする「ヌタ場」も確認できた。自然倶楽部(駒場町)代表の鎌鹿隆美さんは「登山道を歩く人が増えることによってエゾシカへの圧力にもなる」と話す。

 一方、同支所は10月に海向山コースの老朽化した丸木橋をスチール製に交換。高原コース上にも案内板などを整備する費用を、新年度予算で要望する方針だ。さらに、関係機関との調整やルール作りが必要としながらも、不整地を走る「トレイルランニング」愛好者向けにコースを紹介することを検討している。寺沢輝義産業建設課長は「衝突回避や植物の保護など課題はある。他の登山ルートを含めて恵山全体のゾーニングが必要」と話している。  (今井正一)



◎「ゾーン30」に協力を 市内で街頭啓発

 生活道路の安全策として、通行車両の最高時速を30キロに規制する「ゾーン30」の取り組みを周知する街頭啓発が12日、函館市柳町と五稜郭地区で行われた。同市と近隣の町会、函館中央署など計約30人が参加し、ドライバーらに啓発品を手渡して協力を訴えた。

 同規制は、住民や学校などの要望を踏まえ、歩行者らの通行を優先する地区で車両の速度と交通量を抑制するなどし、交通事故防止を狙う。同日から規制が始まったのは、柳町1〜8番と五稜郭町39〜42番の市道で、要所に「ゾーン30」の路面表示と制限速度を伝える標識を設置した。

 近隣には函館五稜郭病院や函館五稜郭支援学校、同市芸術ホールなどがある。近所の住民によると、通学通勤の時間帯に主要道の渋滞を避けようと、通り道として行き交う車両が目立ち始めているという。

 街頭啓発に参加した、柳町町会の本谷行則会長代行(75)は「通学の子どもたちのほか、病院に通う高齢者らが多い地域なので、この安全策はとても心強い。町会としても広報活動に協力していく」。函館中央署の矢吹眞佐文交通第一課長は「住民を守る施策『ゾーン30』を多くの人に知ってもらい、ドライバーと歩行者ともに交通安全に努めてほしい」としている。



◎道南太平洋 スケトウ漁大不振

 10月に解禁された道南太平洋(渡島、胆振、日高管内)での、今季のスケトウダラ刺し網漁が大不振だ。10月の渡島はしけ多発で操業回数が減ったことに加え、群れが薄く漁獲も伸びなかった。11月も10日現在、水揚げは好転していない。渡島は来遊が見込める年内が勝負だけに、今後の巻き返しを願う声は強い。

 渡島総合振興局によると、渡島の10月の漁獲量(速報値)は前年比48%減の1583トン。操業回数は前年(23回)の7割となる16回にとどまった。水産課は「台風・低気圧の影響でしけが多く操業回数が少なかった。また、操業1回当たりの漁獲も伸びなかった」と説明する。

 漁協別水揚げ量は砂原84トン、鹿部536トン、南かやべ714トン、えさん249トンと総じて少なかった。11月以降も渡島の漁獲量は386トン(10日現在)と伸び悩んでいる。

 一方、渡島の10月の平均単価は1キロ116・3円(速報値)と数量減単価高で推移。11月1〜10日も145・3円と3桁を維持しており、同10日には181・4円の高値を付けた。

 10月の渡島、胆振(1452トン)を合わせた道南の漁獲合計は3035トン。渡島、胆振の10月採捕量上限8000トンに対し、消化率は37・9%。スケトウの資源量自体に問題はなく、同課は「漁業者によると、近くまでは群れが来ているようだが、深い場所に魚がいるので、網が刺せない状況。今後の好転を願うばかり」としている。

 不振の原因について、道総研函館水試の武藤卓志主査は「水深約200メートルの水温が平年より1〜2度高く、魚が深みにいるためではないか」と話している。 (山崎大和)


◎電線地中化へ共同溝 函館開建

 函館開発建設部は、函館駅前通(国道278号)の無電柱化に向けた電線共同溝工事に着手する。本年度は建設中の再開発ビル「キラリス函館」(若松町20)前から、美容プラージュ函館店(松風町7)付近の140メートル区間が対象。20日ごろから夜間主体で工事を実施する。

 函館駅前・大門地区は市中心市街地活性化基本計画(2013年4月〜18年3月)に基づき、にぎわい創出に向けて重点的に施策を展開している地域。無電柱化に向けて、8、9月には函館都心商店街振興組合(渡辺良三理事長)が老朽化したアーケードを撤去した。

 同開建によると、駅前通の800メートル区間を無電柱化する。地震発生時の電柱倒壊の恐れがなくなることから、緊急輸送道路としての安全性確保や災害による断線がなくなること、景観の向上に寄与するなどと事業効果を想定。総事業費は9億円で、本年度は1億2000万円の予算が付いた。

 工期は16年3月4日までを予定。上下水道事業者、ガス事業者が地下の支障となる管路を移設し、電話線や電力線を収容する共同溝を設置。工事中は、午後9時〜午前6時に歩行者や車の通行を一部、規制する。

 全区間の整備完了は数年を要する見通しで、電線類埋設後に、地上部からは電柱が撤去される。市交通部は、新たに整備する街路灯を利用して、路面電車に電力を供給するトロリー線の吊架(ちょうか)方式を直接式からシンプルカテナリ式に転換して、吊架線を最小限とする。

 市経済部中心市街地再生担当は「キラリス函館の建設が進み、駅前通りの整備も動き出した。美しい街並みとにぎわい創出に拍車が掛かることを期待したい」としている。  (今井正一)