2015年11月19日 (木) 掲載

◎15年かけ街並み再整備 工藤市長表明

 函館市の工藤寿樹市長は18日、来春をめどに市の街並み整備を進める15カ年計画を策定する考えを示した。観光客に人気を博している西部地区の街並みのように歩道整備などを行い、各地域の特性、魅力を発信することをコンセプトとする考え。工藤市長は「歩いて楽しいと思われるような美しいまちづくりを進めたい」と述べた。

 同日、市民会館で開かれた市町会連合会との懇談会で明らかにした。

 2017年から10年間のまちづくりの基本姿勢や発展方向を定めるため策定を進めている次期市総合計画とは別に、遅くとも来年初夏までに策定・公表する予定。

 工藤市長は1期目から緑豊かでゆとりのある「ガーデンシティ」の検討を進めてきたが、これまで具体的な事業の着手はなかった。

 懇談会で同市長は、観光客の多くが金森赤レンガ倉庫群のあるウオーターフロントをはじめ、西部地区の街並みを優先的に周遊していると強調。計画は北海道新幹線の開業効果に依存することなく交流人口を継続的に増やす狙いで、各地域の歩道の再整備や街路樹、街路灯の取り換えなどを推進する考え。

 ただ、街路灯などの整備は従前から行われており、市企画部は「西部地区の石畳などをベースに、観光地を中心にデザインやトーンなどの統一、民間企業と連携した事業などが考えられる」とする。

 計画期間は2030年度の新幹線札幌延伸を見込んでおり、同市長は「(函館は)行き来で必ず立ち寄る。また、新千歳空港で飛行機を降りた人が札幌から新幹線で来やすくなるなど、函館にとって大きなチャンスだ」と強調。来年度予算に事業費を計上する見通しだ。(蝦名達也)



◎青函食材でフルコース料理 弘大研究所がメニュー作り奮闘中

 青函の食材を使用したフルコース料理を首都圏や世界へ—。弘前大学食料科学研究所(青森市、嵯峨直恆(なおつね)所長)が来春の北海道新幹線開業を見据え、津軽海峡圏の食のプロモーションに取り組んでいる。産学官金で連携し、将来は東京などで富裕層をターゲットとしたレストランを開業する構想だ。

 同研究所は2013年設立。リンゴやゴボウ、ホタテなど青森県産農林水産物の高付加価値化やブランド化を目指し、食材の機能性などを研究している。

 今年1月には青森県むつ市と共同で、ホタテのマリネやアワビの冷製など地元食材を豊富に盛り込んだ前菜「下北プラッター」を開発。その後もコース料理のメニュー作りに向け、青森近海で捕れた海産物や八甲田牛などを食材としたグルメの試食会を青森市内で数回開いている。

 嵯峨所長は「良い素材をただ買ってと言うだけでは通用しない。視覚や味覚で魅力を訴えたい」と、フルコース料理へのこだわりを話す。目指すのは近畿大(大阪)が東京の銀座や大阪で手掛けるレストラン。同大が完全養殖した「近大マグロ」を素材とした料理を提供し、大人気を呼んでいる。

 来年1月には、東北と道南自治体の首長や有識者らを招いた「青函フルコースサミット」を計画。イカやマグロなど津軽海峡圏の食材を使用したフランス料理や地元のワインを試食してもらい、意見交換を行う予定だ。嵯峨所長は「新幹線開業はチャンス。首都圏進出だけではなく、観光客を呼び込むために青函のグルメを味わってもらう観光ルートの確立も研究したい」としている。(山田大輔)



◎かいせい東川目指せ大賞 障害者のパン・菓子作りコン

 障害者のパン・菓子作りコンテスト、チャレンドカップ2015(実行委など主催)の焼き菓子部門に「道南産かぼちゃのシフォン」でエントリーした「かいせい東川」(函館市東川町1)の利用者チームが2次審査を通過し、28日に横浜市で開かれる決勝大会に出場する。3回目の挑戦で初の大舞台に臨むメンバーは「大賞目指して頑張ります」と健闘を誓っている。

 同コンテストは「障害者の励みに」と、横浜市内のパン、菓子職人や福祉関係者らが中心となって企画し、2003年から隔年で開催。7回目の今回は国内各地から55チームが応募し、パン、焼き菓子両部門で計16チームが決勝大会に進んだ。

 かいせい東川は、函館市内の社会福祉法人「かいせい」(松田由美子理事長)が運営する就労継続支援B型事業所で、パンやシフォンケーキ、クッキーなどを製造、販売している。

 コンテストにはシフォンケーキ作り担当の4人がチームを作って出場した。出品したシフォンケーキは、森町の農家から直接仕入れたカボチャを使用し、ふっくらとした食感に仕上げた自信作だ。サービス管理責任者の山崎和也さん(38)は「たくさんの人に食べてもらいたいとの思いで作った。シンプルかつ味にもこだわった成果が評価されてうれしい」と話す。

 決勝大会は横浜市内の国際フード製菓専門学校で開かれる。各チーム制限時間内に作品を調理し、審査員が工程や作品の出来を審査し、大賞など各賞を決める。メンバーの1人、真田翔子さん(21)は「決勝大会に進めてうれしい。みんなで助け合いながらおいしいシフォンケーキを作ります」と意気込んでいる。(鈴木 潤)


◎上ノ国高 国際支援活動の輪広がる

 【上ノ国】上ノ国高校(鈴木聡校長、生徒74人)が進めている国際支援活動の輪が、町内で広まりつつある。自然災害の支援を呼び掛ける募金活動のほか、今年は大手アパレルメーカー「ユニクロ」の事業に参画、地域の協力を得て世界各地の難民の子どもたちに届ける衣服を大量に用意した。生徒は「多くの協力に感謝したい」と支援活動の充実を誓っている。

 支援活動は同校の英語教育活動の一環で、昨年9月に発足した「KEEP(キープ)プロジェクト」を中心に展開。ユニクロの社会貢献「届けよう、服のチカラプロジェクト」に応募し、本年度の実施校に道南で唯一選ばれた。7月に同社関係者が来校、難民支援の在り方や衣服が果たす役割などの講義で、生徒たちは難民地域の同世代が置かれている貧困などの現状を学んだ。

 これを受け、9月中旬から町内の小中学校に子ども服の無償提供を呼び掛けた。シリア難民の様子などを調べて模造紙で分かりやすく説明し、支援の必要性を訴えた。

 児童会や生徒会の後押しを受けて、今月6日に20キロ容量の段ボール12箱分が集まった。町の広報誌でも紹介され、一般町民が直接高校に服を持ち運んだこともあった。

 服はユニクロを通じて難民キャンプに送られ、来年1月には届け先の様子を収めたビデオメッセージが上ノ国に届く予定だ。

 2年の山本理帆さん(16)は「協力してくれる皆さんの気持ちが本当にうれしい」、3年の斉藤沙知さん(18)と和田蒼士君(17)も「難民支援で直接何かできるわけではないが、小さな積み重ねでも支援の思いを持ち続けたい」と語る。

 KEEPメンバーのほか、ボランティア局や総合文化部など「全校挙げての活動がまちで評価されている」と草瀬みちほ教諭。鈴木校長も「生徒と教諭の頑張りに加え、上ノ国ならではの地域連携の良さが一連の支援活動の支えだと思う」と話している。