2015年11月21日 (土) 掲載

◎「のれん」で飲酒運転撲滅 協力店に取り付けへ

 飲酒運転の撲滅に向けて、函館市内の交通安全組織と飲食業関係者が啓発メッセージ入りの特製のれんをつくった。12月から140を超える協力店で取り付けられる予定で、まちの安全づくりに生かす。

 のれんは藍色(90センチ×60センチ)で「飲んだらのれん 飲酒運転根絶キャンペーン」と明記。函館地方安全運転管理者事業主会函館中央支部(鍵谷良一支部長)と函館社交飲食連合会(川村隆夫会長)、函館中央署(堀内巖署長)の3者間による活動で、20日に同署で覚書を交わした。

 鍵谷支部長は「活動の呼び掛けに対して飲食業と中央署が協力してくれたことがうれしい」、川村会長も「のれんを各店舗で活用するなどして飲酒運転を無くしていく」と力を込める。

 同署管内の飲酒運転がからむ人身交通事故件数は、19日現在で前年比8件増の12件。全国でも飲酒による死傷事故が絶えず、堀内署長は「飲酒運転の撲滅には警察のみの力ではなく関係機関の協力が不可欠。この覚書の締結が、さらなる飲酒運転を許さない社会環境づくりの強化になることを願いたい」としている。 (田中陽介) (山崎純一)



◎恵山風力発電 廃止へ 維持修繕費の負担重く

 函館市は恵山地区で行っている風力発電事業を本年度末で廃止する方針を固めた。故障のため稼働を停止している2基の風車の修繕に4000万円が必要となり、来年度以降も修繕費が発生すると試算。廃止の場合は、建設時に受けた補助金の返還義務が生じるが、費用負担が最も少ないと判断した。

 風車は旧恵山町の第三セクターが2002年4月に事業を開始したが、計画した売電収入が得られず、04年3月に自己破産した。同年12月の市町村合併で、市が事業を継承したが、その後も故障が相次いだ。

 05〜14年度の10年間で、単年度収支が実質黒字となったのは10、12年度のみで、一般会計からの繰入金などで歳出超過を補っていた。風車の耐用年数(17年)以内で事業を廃止した場合、独立行政法人「新エネルギー・産業技術総合開発機構」(NEDO)からの補助金(約3億6000万円)に返還義務が生じるため、市は18年度までの事業継続を表明していた。

 風車の1号機は昨年11月に羽根の角度制御機能が故障するなどし、2号機は電力制御基盤の不具合により、今年3月27日から稼働を停止した。修繕費は2基で4000万円、2号機のみの場合は1100万円と試算。16年度以降も継続して修繕費用が生じる。2基とも廃止した場合のNEDOへの補助金返還額は概算で6200万円、2号機のみを存続した場合でも2400万円と算定した。

 過去の稼働実績を踏まえて18年度までの歳入や歳出を試算し、市の負担額を検討した結果、㈰2基を修繕した場合は7292万円㈪2号機のみを存続した場合は7442万円㈫補助金を返還し、本年度で2基とも廃止した場合は6527万円−となり、廃止の場合の費用負担が最少となった。

 市は特別会計に関わる条例改正や返還額の予算計上などを来年2月の定例市議会に提出する考え。風車は倒壊など危険な状態ではないが、撤去費用も必要になるため、当面、現状のまま維持する方針。市経済部工業振興課は「耐用年数も近づき、経年劣化が進んでいるため、維持した場合でも売電収入に見合わず、維持費も掛かると判断した」としている。 (今井正一)



◎黄金色 鮮やか 数の子出荷ピーク

 函館市内の水産加工場で、正月料理に欠かせない数の子の出荷が最盛期を迎えている。市水産加工業協同組合(宝来町16、竹田英二組合長)の従業員約20人が大きさや形を確認しながら、作業に追われている。

 北洋産ニシンの卵は、血抜きや塩水につけるなどの加工を経て、美しい黄金色の数の子に仕上がる。正月用として10月末ごろから、主に道外の卸売市場へ出荷している。

 1ケース300〜500グラムの数の子は、多い時で一日50ケース生産される。手作りで行うため、生産量は限られるという。このうち贈答や正月用は全体の約8割を占める。価格は2000円から高級品で1万円を超えるものもある。

 同組合の営業主任大川智史さん(31)は「数の子はドコサヘキサエン酸(DHA)やエイコサペンタエン酸(EPA)を多く含む。

 伝統的な食べ物でもあり、正月はもちろん年間を通して家族一緒に食べてもらいたい」と話している。  (半澤孝平)


◎飾り付けきらびやか 元町ホテルで点灯式

 日本のクリスマスツリー発祥の地として伝えられる函館市大町4の函館元町ホテル前で20日、記念ツリーの飾り付けと点灯式が行われた。駒止保育園(船見町、加我真佐子園長)の園児20人も参加し、一足早いクリスマスムードを楽しんだ。

 この場所は、初代駐日ロシア領事ゴシケビッチの日記などから、1858(安政5)年に、国内で初めてツリーが立てられたとされている。函館の体験学習を進める「白浜クラブ」(木村マサ子代表)が2011年から毎年ツリーを設置し、点灯している。

 今年はモミの木にトドマツの間伐材を組み立てた高さ約5メートルのツリーを16日に設置した。園児は雪だるまや長ぐつ、スティックなど紙で作った飾り物約60個をツリーに取り付けた。点灯式に移り、電飾が点灯すると園児は歓声を上げ「赤鼻のトナカイ」を合唱。飾り付けのお礼に同ホテルの遠藤浩司代表(55)がお菓子をプレゼントした。

 木村さん(70)は「子どもたちの古里の思い出になればと思いやっている。市民のツリーがあちらこちらで見られるようになればいいですね」と話していた。来年1月15日まで夜間(日没から午後10時半まで)、電飾を点灯する。 (鈴木 潤)