2015年11月24日 (火) 掲載

◎蜃気楼 海上に建物出現 函館氷点下2・1度

 北海道の上空に寒気が入り込み、放射冷却が強まったため、道南の23日は最低気温が12月上旬並みに冷え込んだ。函館地方気象台によると、長万部氷点下3・9度、北斗市同3・4度、八雲町八雲同2・5度、函館市同2・1度、木古内同1・8度、江差0・7度と今季最低となった。

 気温の低下に伴い、道南の海岸では、対岸や遠方に見える市街地が光の異常な屈折により、地上の建物が浮き上がったり、ゆがんで見える蜃気楼(しんきろう)現象が見られている。浮島現象とも呼ばれ、暖かい海水温と冷たい外気温の関係などで発生する。

 同気象台によると、24日の道南の天気は、午前中は雨または雪で、昼過ぎから曇りとなる見込み。(山崎純一)



◎高次脳機能障害への理解を 来月4日トークライブ

 函館市栄町のライブカフェ「マーキーズカフェ」は12月4日午後7時から、高次脳機能障害への理解を深めるトークライブを市芸術ホールリハーサル室で行う。高次脳機能障害を抱えた小林春彦さん(東京)が「18歳のビッグバン—見えない障害を抱えて生きること」と題し講演する。

 同店オーナーで高次脳機能障害を持つ真島輝(あきら)さん(34)と妻章子さん(36)が企画。章子さんがフェイスブック上で小林さんと知り会ったのがきっかけで、小林さんの新刊「18歳のビッグバン—見えない障害を抱えて生きるということ」の出版記念として函館でのトークライブを開催する。

 小林さんは18歳のとき脳梗塞で倒れ、身体障害となった。現在は東大先端科学技術研究センターに従事する傍ら、全国で〝見えない障害〟の啓発活動を行っている。

 輝さんも2013年3月、交通事故で右半身まひの後遺症を負った。今は自力歩行ができるまで回復し、音楽活動に力を入れている。トークには輝さんと章子さんも参加し、同じ当事者を抱える家族の立場から話をする。

 章子さんは「高次脳機能障害は世の中であまり知られていない障害なので、当事者の生の声を届けたい」と話す。入場料1000円。会場で小林さんの新刊も販売予定。問い合わせは同店(TEL0138・76・7870)へ。(山崎大和)



◎エゾシカ被害65%減 14年度道南700万円

 エゾシカによる2014年度の渡島、桧山管内の農林業被害額が前年度比65%減の700万円だったことが、道のまとめで分かった。被害額が最も多い函館市が大きく減少したためで、電気柵や金網柵の導入が進んで成果を上げていることに加え、自己防衛のため狩猟免許(わな)を取得する地元住民が増えていることが背景にある。

 被害額の内訳は渡島が600万円、桧山が100万円。13年度の被害額(渡島1800万円、桧山200万円)に比べ大きく減った。このうち、函館市は13年度の1450万円から14年度は300万円まで減少した。

 函館市農林水産部によると、市東部の鶴野町や米原町、白石町でのエゾシカ被害が多かった。被害対策として国の交付金を受け電気柵4キロ、金網柵3・8キロ(いずれも総延長)を整備した。また、わな猟免許の取得者も13年度は70人だったのに対し、14年度は76人となり、自己防衛に取り組むケースが増えている。市は「被害額は対策を講じて減ったが、シカの生息数が減っているとは言えない」(農林整備課)と指摘する。

 道内の被害額は11年度にピークとなる約64億円に達した。事態を重く見た道が捕獲に力を注いだ結果、推定生息数は10年度の63万頭が14年度には48万頭まで低下。被害額は3年続けて減り、14年度に約46億円となった。振興局別では桧山が最も少なく、次いで渡島の順だった。

 ただ、道南でも生息数が増加傾向にあると判断、道は12月から来年2月まで道南部(後志、渡島、桧山管内)での生息数を推定する調査を行う。南部は情報不足から実態が把握できていなかったが、今回はヘリセンサス、自動撮影、GPS(衛星測位システム)追跡を実施。調査結果に基づき、推定生息数を算出し捕獲目標を設定する考えだ。(山崎大和)


◎「函館ものづくり産業アンバサダー」企業版PR大使に7人

 函館市は、函館の企業立地環境を広く知ってもらう取り組みとして「函館ものづくり産業アンバサダー(大使)」制度を創設し、民間企業経営者ら7人に委嘱した。それぞれの企業活動などを通じて、市の経済施策や産学官連携の環境などを紹介してもらう。市はPR機会を増やすことで、地域の振興につなげたい考えだ。

 アンバサダーは、市内のIT企業や製造業などの経営者ら3人、これまでの企業誘致活動などで函館に進出し、事業拠点を構えた経営者、首都圏の企業経営者ら計7人。地元企業と首都圏などの企業との連携機会の創出を図るため、昨年度から市と広域連携推進事業を進める都圏産業活性化協会(TAMA協会)の役員にも委嘱した。市工業振興課は「函館のために一肌脱いでくれるような、思いを持った人を選定した」とする。

 大使にはアンバサダーの肩書きが入った名刺などを支給。それぞれの業務や商談展示会の場などで活用してもらう。市は大使からの情報提供やアドバイスを受けて、経済振興施策に役立てる。大使の活動を通じ、函館に関心を持った企業関係者がいた場合は、市が函館に招請する費用を負担。ニーズに応じて市内の各学術研究機関や工業団地などの見学をしてもらう。

 市は、今後も適任者がいれば、随時、就任を依頼する考え。同課は「アンバサダーの肩書きを話題のひとつにしてもらい、函館に関心を寄せてくれる企業があればうれしい」としている。(今井正一)