2015年11月27日 (金) 掲載

◎冬へ準備万端/ササラ電車試運転

 降雪シーズンを前に、函館市企業局交通部は26日、除雪用車両「ササラ電車」の試運転を実施した。職員による点検後、駒場車庫を出発。改築工事を終えたばかりの五稜郭公園前電停までを往復した。冬場の安全運行を支える特殊車両は今年も健在だ。

 ササラ電車は、全国でも函館と札幌にのみ在籍し、既に札幌では今季の初出動を終えている。函館の車両は、1934(昭和9)年に東京から購入した客車を37(昭和12)年に除雪用車両に改良。当時から構造や仕組みに大きな変更はなく、細かくひご状に割いた竹200本をブラシのように束ねたものを車両前後に計864束取り付け、高速回転させることで軌道上の雪をはねのける。

 軌道の除雪は、ササラ電車と同様の器具を取り付けた委託業者のトラック「軌陸車」が主流だが「急な大雪の日など、緊急時にはササラ電車が必要」とする。昨シーズン(14年12月~15年3月)は計6日間、延べ8両が出動。積雪も少なく、2008年度以降は最も少なかった。

 ササラ電車は進行方向の車道側に雪をはね飛ばすため、同部は作業時の走行に注意するよう呼び掛けている。(今井正一)



◎新幹線特急料金で公聴会

 来年3月26日開業の北海道新幹線の特急料金について、国土交通省運輸審議会は26日、函館市西桔梗町の函館総合卸センター流通ホールで公聴会を開いた。「割高だ」とする3人の一般公述人の反対意見に対し、JR北海道の島田修社長は青函トンネルの維持管理や除雪など、北海道新幹線特有の設備や事情によるコストなど料金設定の根拠を説明した。

 JR北海道は先月、新函館北斗―新青森間(約149㌔)を3930円などとする特急料金を国に申請。審議会は料金設定が妥当かどうか広く意見を募るため公聴会を開いた。

 道教育大札幌校准教授の武田泉さん(53)は「同程度の距離で比較すると全国の新幹線で最も高い」、湘北短大(神奈川)准教授の大塚良治さん(41)は「他路線に比べて運賃が高額な場合、地域や地域間交流の活性化が阻害される懸念がある」、市民団体「海峡同盟」(東京)代表の中尾一樹さん(49)は「青函トンネルの負担があるなら加算運賃で対応すべき」と、いずれも認可に反対の姿勢を示した。

 島田社長は、青函トンネル使用・維持、貨物列車との共用走行や短区間営業に伴う費用など、他の整備新幹線にはない北海道新幹線固有のコストが年間34億円に上るとし、「鉄道法の考えに沿った適正な原価に適正な利潤を加えた料金水準であることを理解していただきたい」と述べた。

 東京から傍聴に訪れた30代の会社員男性は「JRの言い分は理解できるが、やはり料金は高過ぎると感じた。もっと利用しやすい料金にしてほしい」と話し、不満を示していた。

 今後、審議会が公聴会などの意見を参考に国土交通相に答申し、認可、不認可が決定される。(金子真人、山田大輔)



◎利用者1日5000人/島田社長が見込み

 公聴会でJR北海道の島田修社長は、北海道新幹線の利用者が1日5000人になるという見通しを明らかにした。同社は、現在津軽海峡線を経由する列車の利用者3700人が全て新幹線に移るほか、他の交通機関から一部転移するとみている。

 東京―函館間と、所要時間や運行本数が近い東京―山口間、大阪―鹿児島間を参考。両区間の新幹線のシェアが約3割であることから、現在約1割のシェアの函館―東京間が同程度となると見込んでいる。島田社長は「北海道新幹線を利用した旅行商品や需要喚起するキャンペーンなどでさらに多くの方々にご利用していただく努力をしていく」と意欲を示した。

 航空機との関連について、新幹線で利便性が高まる北関東、東北では競争体制になるとしながらも「道南エリア以外にも登別や洞爺、札幌などの道内各地へ広く周遊していただくためには片道新幹線、片道航空機といった組み合わせも働き掛けていく必要がある」とし、「単にお客様を奪い合うのではなく、それぞれの輸送手段の特性を生かし、うまく組み合わせて旅行需要を喚起することで交流人口の最大化を図っていきたい」と話した。


◎函館朝市漁り火がごめ丼 全国ご当地どんぶり選手権に出場

 函館朝市協同組合連合会(井上敏廣理事長)は来年1月に東京ドームで開かれる「全国ご当地どんぶり選手権」に函館の魅力を凝縮した海鮮丼「函館朝市漁り火がごめ丼」で出場する。全国15のさまざまなどんぶりと競うイベントで、井上理事長は「出場するからには優勝を狙いたい」と意気込んでいる。

 どんぶり選手権は今回が7回目。来年1月8~17日の10日間、東京ドームを会場に全国の祭りとグルメを集めたイベント「ふるさと祭り東京」内で開かれる。函館市は、ふるさと祭りを北海道新幹線開業前最大のPR機会として、大型ブースで出展。名物グルメの販売や、青函4市と合同のふるさとステージ出演などを予定する。

 朝市のどんぶりは、ホタテの炊き込みご飯の上に、イカとガゴメ、ウニ、イクラを乗せたぜいたくな海鮮丼。春から試作を重ね、今年9月に行われた予選を突破。本戦では、全国各地の15のどんぶりがハーフサイズ1杯500円で提供され、来場者の投票で優勝が決まる。

 本番を前に井上理事長や船岡聡副理事長らが26日、市役所を訪問。試食した工藤寿樹市長は「函館の食材であるガゴメコンブとイカ、ホタテのご飯もすべておいしかった」と太鼓判を押した。井上理事長は地場産にこだわり抜いたどんぶりに自信をみせ、「北海道の味、函館の味を前面に出した。肉が強いと思うが出るからには優勝したい」と話していた。

 同連合会では来年3月の新幹線開業に向けて、加盟飲食店で「がごめ丼」を提供するよう準備を進めている。(今井正一)