2015年11月30日 (月) 掲載

◎寒中みそぎ祭り 加藤君、夢の行修者に

 【木古内】町内の佐女川神社で来年1月13〜15日に行われる伝統神事「寒中みそぎ祭り」の新しい行修者が、函館大学附属柏稜高3年の加藤之康君(17)=北斗市在住=に決まった。来年から4年間務め、祭典期間中は昼夜を問わず水ごりして祈りをささげる。

 寒中みそぎは1831(天保2)年に始まり、来年で186回目を数える。行修者は4体のご神体を持って佐女川神社の境内と津軽海峡に面した「みそぎ浜」で冷水を浴び、1年の豊漁豊作を祈願する。

 加藤君は祖母の家が木古内町にあるため、寒中みそぎは毎年見に行っていた。初めて行修者を目の当たりにしたのは小学校低学年のころ。極寒の中でも微動だにせず、何度も冷水をかけあう勇ましい若者の姿にあこがれを抱いた。「かっこいい。自分もなりたい」と約10年思い続け、今回ようやく願いがかなった。

 中学校から野球部に所属。高校ではキャッチャーのポジションで体を鍛えてきたため、体力には自信がある。「歴史や伝統を受け継ぎ、幼い時からお世話になっている木古内町に少しでも恩返ししたい」と意気込む。同神社の野村広章宮司(59)は「(加藤君は)誠実で力強い印象。先輩の助言を聞き、これまで温めてきた気持ちで鍛錬に耐え、素晴らしい行修者になると期待している」と評価する。

 加藤君以外の行修者は、高橋駿さん(24)、目時基史さん(24)、新井田真一君(17)。祭典は13日午後6時に参籠(さんろう)報告祭で開幕し、同神社の境内で水ごりを始める。 (斎藤彩伽)



◎サンタ140人練り歩く、函館で慈善イベント

 サンタクロースの衣装でまちを練り歩き、参加費をもとに闘病中の子どもらにプレゼントを贈る慈善活動「函館サンタラン2015」(実行委主催)が29日、函館市内で行われた。約140人が参加し、「メリークリスマス」と市民らに声を掛けて温かな雰囲気を演出した。

 世界各地で行われているチャリティーイベントで、函館では昨年に続いて実施。道教育大函館校の学生らが中心に準備、市電などの関係機関が協力した。

 参加者の大半は一般市民で「昨年に続く参加者が多くてうれしい」と実行委。五稜郭タワーに集まり、市電で西部地区に到着後、歩いて元町公園や八幡坂、クリスマスファンタジー会場に入った。寒空のもと、参加者は軽快に歩を進めて交流を深めた。

 益金は後日、諸経費を除き、市内の病院や児童養護施設の子どもたちのクリスマスプレゼント代となる。

 2年連続で参加した市内の上野いずみさん(32)は「子どもと一緒にすてきな時間を過ごせた」。長女の里鶴(りづ)ちゃん(3)も「クリスマスプレゼントが楽しみ」と笑顔だった。

 実行委員長の道教育大函館校2年、小野寺聖(りょう)さん(19)は「多くの協力に感謝し、来年以降も活動が続くことを期待したい」と話していた。  (田中陽介)



◎本年度函館港客船寄港実績、15隻、乗客乗員3万3624人

 函館市は本年度のクルーズ客船の寄港実績をまとめた。12月4日に予定していた「コスタ・アトランティカ」(8万5619トン)の初寄港が中止となったため、本年度は延べ15隻、乗客・乗員数は3万3624人(うち乗客2万3000人、速報値)となった。昨年度と比べると大幅な減少だが、乗客・乗員数が2000人を超える寄港が8回と半数以上で、大型客船の寄港が地域のにぎわいにつながった。

 昨年度はプリンセス・クルーズ社の道内発着クルーズなどもあり、過去最高の延べ37隻、乗客・乗員数は約6万6000人。13年度の延べ14隻、約1万8000人と比較し、市港湾空港部港湾空港振興課は「客船の大型化で人数が多くなっている」とする。

 今季の15隻のうち、「ダイヤモンド・プリンセス」(11万5875トン)が5回寄港。乗客は計1万6171人、乗員は計6393人となり、同船だけで全体人数の3分の2を占めた。国内発着のクルーズでの寄港だったが、外国人乗客が多いのも特徴的だった。

 9月29日には函館では初となる2隻の客船が同日寄港。このうちの1隻「サファイア・プリンセス」は中国・上海発着のチャータークルーズで、函館が最初の寄港地。2000人の乗客に対応するため、道内他地域からも55台の観光バスが集まったが、夜間までの拘束ができず、夜景のオプショナルツアーが中止となった。同課は「全国他港でも客船の大型化によってバス確保に苦慮している」とする。

 一方、客船寄港時の遺愛女子高校のボランティア活動が本年度の観光庁長官表彰を受賞。クルーズ振興関連の受賞は初めてで、他港からも取り組みに対する高い関心が寄せられているという。来年度の寄港予定について、同課は「『ダイヤモンド・プリンセス』の7回をはじめ、『飛鳥II』の寄港が増え、20隻以上になる。引き続き丁寧な対応を心掛けたい」としている。 (今井正一)


◎陶芸家の高井さん受賞 道銀芸術文化奨励賞美術部門

 道銀文化財団(藤田恒郎理事長)はこのほど、第25回道銀芸術文化奨励賞美術部門の受賞者に函館市出身・在住の陶芸家高井秀樹さん(58)を選んだと発表した。高井さんは「自分で良いのかという気持ち。ただこれまでの仕事を評価いただいたものと思っている」と話している。

 同賞は、道内芸術文化の進展に貢献する優れた活動を行い、将来が嘱望される個人や団体に贈られる。音楽と美術の2部門があり、音楽部門には札幌市のバイオリン奏者成田達輝さん(22)が輝いた。

 選考委員会は10月5日に開かれ、音楽評論家の前川公美男委員長ら委員5人が答申をまとめた。高井さんについては「若いころに修行した岡山や静岡での研さんをベースに、伝統の中に新しい表現を盛り込む作陶活動を道南地域で展開してきた。質の高い作品を発表し続け、用と美のバランスを保ち、良い意味での伝統性を継承している。次世代に与える影響も大きい」と評した。1968年結成の道内最古の陶芸関連団体「北海道陶芸会」に91年入会後、2006〜09年まで副会長を務め、同会創立40周年記念関連事業に関わったことや日本伝統工芸展(日本工芸会主催)で作品が12年と13年に連続入選するなど活躍も認められた。

 高井さんは「今後も活動の姿勢や培ってきたことを技術指導を通して伝えていければ」と意気込んでいる。贈呈式は来年3月8日に道銀本店ビル(札幌)で開催予定。 (半澤孝平)