2015年11月6日 (金) 掲載

◎正岡さん Vリーグ特別審判に

 国内最高峰Vリーグ・プレミアリーグ(1部)の女子大会が12月5、6の両日、函館アリーナで開かれる。審判団には地元・函館バレーボール協会の正岡卓審判員(33)も招集された。昨年からは同リーグの特別審判員にも選出され、最終目標の国際審判員資格取得に向けて着実に歩みを進める中で射止めた大役に正岡さんは「緊張感はあるが、しっかり確実に与えられた使命を全うしたい」と意欲をみせる。

 正岡さんは国内審判員資格で最高位となる日本A級審判員を4年前に取得。以後はプレミアリーグで主審として笛を吹くことができる国際審判員を目指して、日本バレー協会が主催するIスクールに2012年から所属し、東京や大阪などで年に数回開講される審判の実技や語学を学ぶ研修を続けてきた。

 プレミアリーグの審判は基本的に国際審判員の資格が必要だが、正岡さんはこれまでの活躍などが評価され、異例の抜てきとなった。「まったく想像もしていなかっただけに驚きと重圧が大きかった」と話すが、目標とする先輩審判員から「自分たちが支えるから」という言葉をもらい、「心強かった」と笑顔を浮かべる。

 幼少から競技に親しみ、中学時代を除く小、高、大学までは選手としてバレーボール一色だった。特に道教大函館校時代は170センチと小柄ながら、最高到達点が320センチに達するほどの自慢の跳躍力を生かしてアタッカーとして活躍。道1部では2年秋と3年春に猛打賞を獲得した実力だ。

 競技から一線を退いた大学卒業後、「別な角度からもバレーを見たい」と思い立ち、大学卒業後の2007年に日本B級、11年に日本A級を取得した。現在は特別審判員としてVリーグ・2部のチャレンジリーグでも主審を務めるなど精力的に活動している。

 語学の習得には苦戦することが多いというが「審判の資格の勉強をするようになってから、以前よりも積極性が身に付いてきた」と実感している。また、選手経験があることにより「プレイヤーの気持ちが分かり、試合の展開が読めるようになると余裕を持って一つ一つの動作を見られる」と話す。

 夢は選手としてオリンピックやVリーグの舞台に立つことだったというが、それはかなわなかった。立場は違えど国際審判員の資格を取得することで審判員として同じフィールドに立つことが今後の目標だ。ただ、その道は険しい。日本協会からの推薦が必要となり、それも年に1、2人が選ばれるだけと狭き門だ。「道内の審判はVリーグなどで笛を吹く人たちも多い。その中で経験を積めるのはとても大きなこと。数年以内には夢を実現したい」という。

 その第一歩となるプレミアリーグ地元開催での審判に「日ごろお世話になっている職場の人たちなどに感謝の気持ちを伝えられるよう、精いっぱい頑張りたい」と意気込んだ。

 8月に開館した函館アリーナオープン記念として実施されるバレーボールV・プレミアリーグ女子函館大会。5日は午後2時からNECレッドロケッツ対トヨタ車体クインシーズと久光製薬スプリングス対上尾メディックス、6日の午後1時からはNEC対上尾、久光製薬対トヨタ車体戦がそれぞれ行われる。チケットは指定席が完売し、自由席のみの扱いとなる。詳しくは同アリーナ(TEL0138・57・3141)へ。(小杉貴洋)



◎市内でお歳暮商戦スタート

 11月に入り、函館市内・近郊の百貨店や大型スーパーでお歳暮商戦がスタートした。個人消費の回復を背景に、高価格帯の品ぞろえを強化する店も。高級ワインや地元特産品などこだわりの品を並べ、売り上げ増を狙う。各店ではピークを今月下旬から来月上旬とみている。

 棒二森屋(若松町)は5日、本館7階にギフトセンターを開設。開店前には恒例の出陣式を開き、約50人の従業員が菊田弘美副店長の音頭で「ガンバロー」を三唱。力強くこぶしを掲げた。

 首都圏を中心に展開する高級スーパー「成城石井」とタイアップしたオリジナルのワインセット(5000円、8000円)など670種類を用意。担当者は「9月のリニューアル以降、ワインの売り上げが伸びているので今年の目玉に据えた」としている。

 丸井今井函館店(本町)は12日に特設コーナーを設置し、昨年と同じ約1900点を並べる予定。来年3月26日の北海道新幹線開業を見据え、地元産品を集めた「函館・道南ギフト」を展開する。担当者は「地域のおいしいものを買い求める客のニーズに応えたい」と話す。

 テーオーデパート(梁川町)は7日から。海産物を中心に約700種類を取り扱う予定という。売れ筋は4000円前後とみており、「景気回復を見込んで1万円前後の品ぞろえも強化した。単価が上がることを期待したい」とする。

 イオン北海道は道内40店舗で「函館・道南ギフト」を特集。人気のハムやラーメン、銘菓などを紹介している。上磯店(北斗市七重浜)では10月末から店内にカタログと商品を並べており、3000~3500円のビールや食品の売れ行きが良いという。 (山田大輔、金子真人)



◎国際頭足類諮問会議シンポ 10日開幕

 国際頭足類諮問会議(CIAC)のシンポジウムが10日、函館国際ホテルで開幕する。12日に一般市民向け講演会を開くほか、10~13日にダイオウイカの魚拓などを含む「科学者たちのイカタコ・コレクション展」、イカ画家宮内裕賀さん(鹿児島市)による展示即売会を行う。14日まで。

 国内開催は1991年の静岡県清水市(現静岡市)以来2回目。道内では「イカのまち」函館が初開催となる。実行委を組織し、桜井泰憲北大大学院水産科学研究院特任教授(海洋生態学)が委員長を務める。今回は「頭足類科学の最新の進歩」をテーマに、約240人の研究者が集う。

 市民講演会は12日午後1時半から、桜井特任教授や米ミネソタ大美術学部の中島隆太准教授ら4人が登壇する。入場無料。11日までに函館国際水産・海洋都市推進機構へファクス(0138・21・4601)またはメール(office@marineーhakodate.jp)で申し込む。

 イカタコ・コレクション展、宮内さんの展示即売会はいずれも午前10時~午後5時。ダイオウイカの魚拓は12日のみ一般公開する。

 シンポに先立ち、6~9日に市国際水産・海洋総合研究センターでワークショップも開かれる。

 頭足類の専門分野は分類や生態、行動、発生、寄生虫、生理、養殖、漁獲方法、漁業資源、資源管理、加工・流通など多岐にわたり、国際シンポはイカ研究者の〝サミット〟とも言われる。

 5日に市役所で記者会見した桜井特任教授は「期間中天気が良く、函館の魅力を存分に感じてほしい」と話した。 (山崎大和)


◎北海道・東北地域連携促進 新幹線利活用策探る…地域活性化フォーラム

 函館商工会議所主催の「第9回北海道新幹線地域活性化フォーラム」が5日、ロワジールホテル函館で開かれ、同会議所会員や行政関係者ら約100人が出席した。今回は道内と東北のシンクタンク4団体でつくる「新幹線ほくとう連携研究会」との共催で、同研究会のメンバーがこれまで取り組んできた北海道・東北地域連携促進のための新幹線利活用策について発表した。

 同フォーラムは、来年3月26日の北海道新幹線開業に関する地域の課題について、関係団体が意識の共有を図り、一丸となった地域づくりを目指す目的で、2008年から開催している。

 札幌医科大医学部細胞生理学講座の富瀬規嗣教授は「地域の救急搬送ツールを増やす必要がある中、新幹線車両に救急ベッドを設置することで都市部の総合病院への患者輸送がスムーズになり、救急車不足に対応することができる」と医療面での活用を提案。東北大大学院情報科学研究科の河村和徳准教授は、北陸新幹線の事例を挙げ「開業効果といえば観光面だけを考えがちになるが、新幹線は地域住民の通勤や進学などにも大きく影響を与える。生活する人たちの日常の部分にも注目をしてもらいたい」と説いた。

 このほか、北海道二十一世紀総合研究所の高橋功主席研究員が「北海道新幹線開業による効果と課題」、室蘭工業大学地域共同研究開発センターの片石温美准教授が「新幹線を活用した新たな荷物輸送」、北大公共政策大学院の石井吉春教授が「北海道新幹線による新たな広域交流の可能性と課題」をテーマに発表した。(金子真人)