2015年12月11日 (金) 掲載

◎新函館北斗駅を報道陣に公開

 JR北海道は10日、来年3月26日に開業する北海道新幹線の新函館北斗駅の内部を報道陣に公開した。新函館北斗開業準備駅の鳴海正駅長が案内役を務め、完成間近となった駅舎内を紹介した。

 同駅は2013年6月に着工。現在、券売機などの設置工事を進めており、完成は1月中旬を予定している。

 この日は関係者約90人が参加。駅舎内では、自動改札機やみどりの窓口を示す案内標識などの設置が完了。在来線に乗り換える際に、平面での移動が可能な11番ホームは、自動改札機の工事を残すのみとなり、開業日が近づいていることをうかがわせた。

 同駅では43人のスタッフが開業に向けた準備を進めており、外国人客への対応として英語や中国語が話せる職員も配置されている。鳴海駅長は「開業を万全の体制で迎え、地元市民に愛される駅を目指したい」と抱負を述べた。

 12日は奥津軽いまべつ、13日は木古内と新函館北斗の各駅で市民向けの見学会が開かれる。(山田大輔)



◎奥尻でホタテ養殖へ試験開始 若手が奮闘

 【奥尻】奥尻の若手漁業者が、まちの新たな特産を生みだそうとこの冬から、ホタテ養殖の試験に取り組んでいる。来夏にも「島育ちのホタテ」として売り込もうと躍起で、イカやホッケなど回遊魚の不漁による漁獲低迷の打破として期待が高まり、「浜の元気がまちの活気につながる。若者たちの頑張りがうれしい」と行政側も全面支援する構えだ。

 奥尻でのホタテ養殖は初めて。道の本年度日本海漁業振興緊急対策事業を活用し、ひやま漁協奥尻潜水部会の川瀬美弘さんら20代、30代の3人を主体に、2日に本格的な作業に入った。

 漁業振興策で役場や桧山振興局などが各地の養殖成功例を漁業者に示す中、川瀬さんらが本腰を入れて臨むことを決めた。

 約24万円の予算で、1組10段のかご20基に、オホーツクや東北への供給実績がある留萌管内の漁協から半成貝(直径6~7センチ)約2000枚を取り寄せた。

 かごの設置場所は奥尻港内と奥尻漁港赤石地区近くの沖合で、来年6~7月の出荷を目標に、穏やかな海域と潮の流れが激しい外洋との成長差を調べる。ホタテは低水温を好むため、夏場を乗り越えられるかが大きな課題だ。

 その中で対岸のせたなと乙部の両町でホタテ養殖が行われている。奥尻沖合でも天然ホタテが少なからず生息していることから、「奥尻でのホタテ養殖の可能性はゼロではない」(関係者)と専門機関が協力して養殖技術の磨き上げに努める。

 奥尻町の漁業生産額は2012年度6億8000万円、13年度6億5900万円、14年度6億4000万円と減少傾向で、町の担当者は「安定したホタテ養殖の成功で、地元漁業を支えてもらいたい」とする。桧山振興局水産課も「次世代を担う若者の意欲を応援したい」としている。  (田中陽介)



◎函館港イルミナシオン映画祭実行委が道地域文化選奨

 道は9日、2015年度北海道地域文化選奨に、函館市の函館港イルミナシオン映画祭実行委員会(米田哲平実行委員長)を選んだと発表した。同会は1995年に「函館山ロープウェイ映画祭」を前身に設立。毎年12月初めに映画祭を開いており、シナリオ大賞では地元を舞台とした受賞作品を映画化している。

 同選奨は、地域に根差した優れた文化活動や支援活動を行い、将来も文化振興への寄与が期待できる個人や民間団体を道知事が顕彰する文化関係で唯一の制度。1993年度創設以来、昨年度までに66団体が受賞している。第23回を迎える本年度は5人の有識者でつくる、道地域文化選奨選考委員会が道内在住または道内に拠点を置いて文化活動を行う個人や団体を対象に地域性、創造性、波及性、継続性、発展性の視点から選考。同選奨1件、特別賞2件を決めた。

 同実行委がプロの講師を招いて、若手映画人育成を行うなどの活動や映画祭へ市民がボランティアとして多数参加している点について「地元の共感が得られており、ユニークで豊かな地域文化の形成に結び付いている。地域に根付いた活動として意義深く、本道の地域文化の振興をけん引していくことが期待される」と評した。

 米田実行委員長は「応援してくれている人たちや会場に来てくれたお客様への感謝の気持ちが先にある。一年一年の積み重ねで20年続けて来られたことや長編6作目の映画『函館珈琲』ができたことに加え、このたびの賞をいただけたことは今後の活動の励みになる」と喜びを語る。

 函館市内の団体が同選奨を受賞するのは、同賞が創設された93年の北海道国際交流センター以来。特別賞を含めると、箱館歴史散歩の会の中尾仁彦さんが個人で受賞した2013年以来。これまでに函館市だけで1個人5団体が受賞している。本年度の同選奨特別賞には、岩見沢市の「文学岩見沢の会」と十勝管内清水町の「せせらぎ合唱団」が選ばれた。 (半澤孝平)


◎函館市、医療系学部設置検討へ

 函館市は10日、医療、福祉分野の人材育成に向け、公立はこだて未来大学を念頭に市内に医療系学部設置の可能性を検討する考えを明らかにした。看護師やリハビリテーション専門職らの需要が高まる中で、養成機関の設置が人材確保や若年層の流出抑制にもつながるなどと判断。市は「看護系大学への進学者動向や卒業後のニーズ把握、既存の看護師養成所へのヒアリングなど、実現の可能性を探りたい」としている。

 第4回定例市議会一般質問で、斉藤佐知子氏(民主・市民ネット)、池亀睦子氏(公明党)がそれぞれ質問した。

 看護師養成機関は市内に複数あるが、看護学科設置大学への進学をはじめ、理学療法士、作業療法士ら専門資格取得を希望した場合、希望者は市外への転居を余儀なくされる。市内にこれらの養成機関を設置することで、地域での専門職の確保、人口流出の抑制と他地域からの人材確保、進学に伴う保護者負担の軽減などの利点を挙げた。

 新大学の開設や既存私立大学への増設、誘致など複数の可能性がある中で、未来大への学部増設について、種田貴司企画部長は「大学新設に比べ、国への認可手続きが比較的短期間で済む。既存学部との連携により、IT化に対応できる医療系人材の養成、ITと医療の融合による新たな取り組み、大学の魅力向上が考えられる」と述べた。

 一方、国が11月末に千葉県成田市内に医学部新設を正式に認めたことにかかわり、工藤篤氏(市民クラブ)は医学部誘致の検討状況をただした。市は「新たな医学部を認める動きはない。状況が変化し、可能性を見いだせる場合には対応したい」とした。 (今井正一)