2015年12月17日 (木) 掲載

◎木古内駅16本停車 新函館北斗―東京、最速3本

 来年3月26日に開業する北海道新幹線の運行ダイヤの概要が、16日までに明らかになった。新函館北斗―新青森間を運行する13往復26本のうち、木古内駅には8往復16本、奥津軽いまべつ駅(青森県今別町)には7往復14本が停車。新函館北斗―東京間を4時間2分で結ぶ最速列車は上下線で3本運行し、函館市の官民トップらが要請していた宇都宮駅の停車は見送られることとなった=別表。ダイヤの詳細は18日に発表される。

 東京まで10往復20本運転する「はやぶさ」の平均所要時間は約4時間20分。最速列車は上り(新函館北斗発)が1本、下り(東京発)が2本で、新青森・盛岡・仙台・大宮のみ停車する。はやぶさは全便、仙台―大宮間の駅を通過。北関東や南東北からの集客を狙い、地元関係者は宇都宮や福島などの停車を要望していたが、速達性が重視された。

 上りの1番列車は新函館北斗発午前6時35分で、東京着は同11時4分。下り最終列車は東京午後7時20分発で、新函館北斗駅着は同11時33分となる。

 宇都宮駅などへの停車が見送られたことについて、工藤寿樹函館市長は「宇都宮や福島、郡山などからあまり函館に来ていなかった方々を呼び込むチャンスだったが、現時点では仕方がないと感じている」と残念がり、「多くの人が新幹線を利用し、増便が可能になった際には改めてJRに要請したい」と話した。

 一方、在来線特急の本数と同じ10往復の停車を要望していた大森伊佐緒木古内町長は「駅やまちの規模を考えると、10往復は高いハードルだったかもしれない。8往復という本数は地元に十分配慮してもらったと受け止め、感謝したい」と述べた。(山田大輔)



◎高橋知事、いさりび鉄道激励

 高橋はるみ知事は16日、来年3月26日に開業する函館市の道南いさりび鉄道本社(小上一郎社長)と、北斗市の新函館北斗駅を相次いで訪れた。

 知事がいさりび鉄道を訪問するのは、本社が札幌にあった時代も含め初めて。小上社長と面談後、社員20人を前に「新幹線の二次交通、地域住民の生活の足、本州との物流の基盤を守るという役割のほか、JR東日本が新幹線開業後も本州と北海道を結ぶ寝台列車を走らせることとなり、皆さんの力によってレールの基盤があることが何より重要。素晴らしい開業を迎えることを心から応援したい」と訓示した。

 小上社長がスタッフジャンパーや開業100日前記念乗車券を手渡すと、知事は「私も応援団の一員です」と笑顔を見せた。

 その後、新函館北斗駅に移動し、高谷寿峰市長の出迎えのもと、駅舎を鳴海正駅長の案内で視察。天井に道南スギを使ったエントランスや、ホームに設置された駅名標などを見て回った。新駅の視察は今年3月以来という。

 視察後、知事は「安全、定時性をしっかり守ってお客さまを北海道に誘客してほしい。4時間を切る時刻表を期待しており、運行状況を見極めながらレベルアップを」と注文した。(山崎大和)



◎観光振興策語り合う 道が100日前記念サミット

 道は16日、来年3月26日の北海道新幹線開業まで17日であと100日となったことを記念し、ロワジールホテル函館で「北海道新幹線サミット」を開いた。「北海道新幹線開業に向けた期待と開業後を見据えて」をテーマにパネルディスカッションを行い、観光振興策などについて語り合った。

 市民ら約150人が参加。パネリストとして、函館山ロープウェイの竹村隆社長や道内ホテル大手、鶴雅グループの大西雅之社長ら5人が登壇した。

 竹村社長は「北海道新幹線は今後、運行時間を短縮するなど段階的に成長する伸びしろがあり、その都度PRするチャンスがある。 その際には、地域の魅力を違った形で発信していく努力が不可欠だ」と強調した。

 大西社長は「年間190万人が訪れる大沼エリアは宿泊地として過小評価されており、成長の可能性がある」と述べ、来春七飯町に開業する「大沼鶴雅オーベルジュ エプイ」について「館内のジオラマや多彩なランドスケープ(庭園造景)で、大沼のシンボルとなるようなホテルにしたい」と抱負を語った。

 また、北海道体験観光推進協議会の代表理事を務める坂本昌彦さんは「関東から修学旅行の誘致を考えた際、道南にはクラス単位で行える体験学習メニューが少ない」と指摘。「集客のためには観光コンテンツの開発が急務だ」と力を込めた。(山田大輔)


◎ガソリン5年ぶり120円台…値下げ競争に拍車

 国際的な原油価格の低下によるガソリンの値下がりが加速している。函館市がまとめた11日現在の石油製品小売価格調査結果によると、レギュラーガソリンの平均価格は前月比4・15円安の1リットル127・79円となった。同調査で130円台を割り込むのは5年ぶりで、通勤で車を使う市民や建設、製造業者などは燃料費抑制が家計、利益につながる一方、石油販売業は売上高の低下に悩まされている。

 市の調査で120円台を示したのは、直近で2010年10月の129・74円。ガソリン価格の下落は、中国など新興国の景気後退で原油価格が下がっていることが背景にある。さらに石油輸出国機構(OPEC)が減産を見送ったことで供給過剰感が生まれており、函館地方石油業協同組合は「今後も小売価格が値下がる要素はある」とする。

 市内小売業者は7日から16日現在で、フルサービスのスタンドで1リットル124円で販売。別のセルフスタンドでは会員対象に110円台を割り込むなど、低水準が1週間ほど続いている。

 ただ、小売価格の下落は業界の低価格競争に拍車を掛け、売上高の低下を招いている。同組合によると、石油元売りの系列会社と余剰在庫製品を業者間転売品として、安価で購入する商社の間に1リットル当たり10円ほどの差があるため、競争が生まれやすいという。同組合は「年末にかけて競争が進むと、市況はより悪くなる」と危惧する。

 このほかの石油製品では、家庭用灯油(1リットルホームタンク用)は平均73・14円(前月比0・58円安)、軽油1リットルで同108・6円(同4・37円安)、重油1リットルで同72・65円(1・1円安)と値下がった。

 一方でプロパンガスは上昇し、5立方メートル平均で5929・74円(同6・85円高)、10立方メートルで9664・16円(同13・63円高)だった。

 調査は卸、小売を兼ねる14店、小売販売の計29店で、今月11日に行った。(蝦名達也)