2015年12月20日 (日) 掲載

◎輝く冬のいさり火

 JR函館駅前広場のイルミネーションが19日、点灯を開始した。光の回廊として道南スギを用いたフレームが函館山の背のように連なり、イカ釣り船のいさり火に見立てた大きさの異なる球状の電飾をつり下げた。設置期間は来年3月末までで、北海道新幹線で訪れる観光客も迎え入れる。

 設計、施工は高田傑建築都市研究室(松風町)を代表法人とする市内事業者で構成するグループが担当。市が実施したプロポーザルで決定した。

 メーンのイルミネーションとなる回廊部分は、駅の正面入り口付近から国道に向かって80メートル区間に配置。木材を組み合わせたフレームは、電飾が点灯していない昼間にも楽しんでもらうため、立つ位置によって見え方が異なるように工夫。なだらかな曲線を描いているように見える。

 前後の入口と中間地点にセンサーがあり、人の歩く方向に誘導するよう光が動く仕組みも持たせた。周辺の花壇は海の波をイメージさせる青を主体とした電飾を設置した。

 点灯初日は午後4時半に一斉に点灯し、周囲にいた市民や観光客が写真撮影などを楽しんだ。設計者の高田傑主宰(42)は「函館ならではのイルミネーションをつくろうと設計し、イメージ通りのものができた。どの位置から見ても表情が違うのでいろいろな角度から楽しんでもらいたい」と話している。

 20日以降は日没から午後10時まで点灯する。(今井正一)



◎江差で新幹線開業まで100日突破イベント、ヒバツリー点灯

 【江差】来年3月26日開業の北海道新幹線まで100日を突破したことを記念した「ひやまカウントダウン!!~ひやま巨大ひばツリー点灯式」(桧山振興局、町主催)が19日、江差追分会館で開かれた。約250人が来場し、ツリーの飾りづくりなどのイベントを楽しんだほか、高さ10メートルのツリーの点灯式を行い、新幹線開業に向けて機運を高めた。

 会場では、乙部町のNPO法人ひまわりの就労支援事業所が作成した、道新幹線開業PRキャラクター「どこでもユキちゃん」のぬいぐるみ販売や、五勝手屋本舗(江差町)の名物「丸缶洋かん」の新幹線記念デザインが初お披露目され、先着100人に無料プレゼントされるなど、大にぎわいだった。

 無料体験ブースでは、天然のぶどうのツルや松ぼっくりなどを使用したリース作りを開催。大勢の親子連れが趣向を凝らしながら自分だけの作品を作成。上ノ国小学校6年生の田畑南君(12)は「いろいろ作れて楽しかった。新幹線も早く乗ってみたい」と話していた。

 会館正面の広場に置かれたツリーは、町内でヒバの苗木栽培などに取り組む指導林家、坂野正義さんと江差建設協会の全面協力の下、18日に伐採、設置した。高さ10メートルの飾り付けは同協会が善意で足場を組むなどし完了した。

 点灯式では幡宮輝雄同振興局長が「開業まで100日を切ったが、この桧山から盛り上げていきましょう」とあいさつ。照井誉之介町長も「地域全体で観光客をもてなし、みんなで機運を高めていきたい」と述べ、地域振興の願いが込められたヒバに明かりをともした。

 ツリーは24日まで設置し、午後4~同9時にライトアップする。(蝦名達也)



◎クリスマスファンタジーでひろさきナイト

 クリスマス前最後の週末を迎えた19日、「2015はこだてクリスマスファンタジー」では、青森県弘前市によるスペシャルイベント「ひろさきナイト」が行われた。恒例の巨大アップルパイの配布やステージイベントで盛り上げ、同市の魅力をPRした。

 同市のイベントは5年目で、この日は弘前駅から直通の特急で約400人が来函。函館の関係者や「イカール星人」が「ようこそ函館へ」と乗客を出迎えた。

 点灯式で葛西憲之弘前市長は「ひろさきナイトを継続し、一層結び付きが強まったと感じている。今後も函館と手を結んで成長していきたい」とあいさつ。函館市の片岡格副市長らとともにツリーを点灯させ、ステージでは、ご当地アイドル「りんご娘」や津軽三味線の第一人者渋谷和生さんの演奏が花を添えた。

 また、配布したアップルパイは、市民団体「巨大アップルパイ世界に挑戦する会」が担当。オーブンなど機材を持ち込み、直径2メートルの巨大なパイ1枚に400個のリンゴを使っているという。午後6時半の配布開始前には市民が長い列をつくった。新渡戸洋輔会長(56)は「りんごの街のアップルパイを食べて喜んでもらえる機会。大きい分、おいしさも大きい」と話していた。

 この日は、点灯式に先立ち、函館空港に降り立った中国東方航空の杭州線乗客へのプロモーション、市内スーパーでのリンゴの販促キャンペーンなどを展開。北海道新幹線開業も見据え、例年以上にPRに力を注いだ。葛西市長は「弘前市民にとって函館は思い出の街で、似ている部分やつながりが深い。これまでの交流をベースとして発展させていきたい」と話していた。(今井正一)


◎新幹線開業で東京滞在時間の増加

 来年3月26日の北海道新幹線開業で、函館から東京まで始発の飛行機と最終の新幹線を利用して日帰りすると、現地の滞在時間は8時間55分。これまでの往復航路利用と比較すると1時間50分増加する。ビジネスやレジャーで東京方面を訪れる機会が多い市民は「東京で時間を有効に使える」とし、期待を膨らませている。

 12月時点の航空機ダイヤを基にシミュレーションすると、現在は函館発午前8時55分の始発で東京へ向かい、東京発午後5時半の最終便で戻ると、東京での滞在時間は7時間5分。羽田空港から都心までの所要時間や飛行機の待ち時間なども考慮に入れると、実際は5時間程度となる。

 一方、新幹線開業後は函館に戻る際、東京発最終午後7時20分の「はやぶさ33号」という選択肢が増え、東京の滞在時間が拡大する。東京への出張が多いという老舗レストラン五島軒の若山直社長は「現在は飛行機の最終便に乗るために、仕事を午後3時半には切り上げなければならない。新幹線開業後は、現地で商談をゆっくり進められる」と喜ぶ。

 家族旅行も兼ねて、夏と冬に横浜市の実家に帰省するという函館市の主婦水上洋子さん(45)は「函館に戻る日の午後をゆっくり過ごせるというのは大きい。来年はスカイツリーを見てから新幹線で函館に帰る計画を立てています」と笑顔で話していた。

 JR北海道は10月、新函館北斗―東京間の料金を2万2690円(運賃と特急料金含む)と発表。今後は、同区間の割引切符造成にも注目が集まる。市内の経済関係者は「JRの出方次第で、航空機の値段が下がる可能性がある。価格競争の面でも利用者の利便性が高まることを期待したい」としている。(山田大輔)