2015年12月22日 (火) 掲載

◎はこだてライナー 報道関係者に公開

 JR北海道は21日、来年3月26日の北海道新幹線開業と同時に運行を始める新函館北斗―函館間を結ぶアクセス列車「はこだてライナー」(定員439人)の車両を報道関係者に公開した。

 車両は札幌圏で主に通勤、通学客向けに運行している列車をベースとした「733系1000代」を使用。3両編成が基本で4編成12両を投入、繁忙期は最大6両で運転する。側面には新幹線車両「H5系」と同じ紫色の帯をデザイン、新幹線との一体感を持たせている。

 座席は、10~13人が座れるロングシート。車両内部は一部機器を削減して空間を拡大し、大きな荷物を持った旅行客が快適に乗車できるようにした。このほか、乗降口のステップをなくし、車いすでも利用できる大型トイレを設置するなど、バリアフリー仕様となっている。

 同社によると、同列車の試運転は今後運行開始日までほぼ1日置きに行われるという。車両部計画課主席の山口義貴さん(31)は「新幹線で本州からやってくるたくさんの方々を函館まで安全に送り届けるため、万全に準備したい」と話している。

 同列車は快速や普通列車として、1日16往復運転。全ての新幹線と接続し、同区間17・9キロを最速15分で結ぶ。(山田大輔)



◎「事件、風化させない」タクシー運転手強殺から9年

 北斗市のタクシー会社「しんわ交通」の八木橋朋弘さん(当時42)が殺害された「タクシー運転手被害強盗殺人事件」は、21日で発生から丸9年を迎えた。函館西、中央署などは同日、函館西署函館駅前交番付近と函館昭和タウンプラザ内で街頭啓発を実施、早期解決に向けて情報提供を呼び掛けた。

 事件は2006年12月21日早朝、函館市港町3の函館港でタクシーのトランクから、刃物で刺されて死亡した八木橋さんを同僚が見つけて発覚。売上金約2万円もなくなっていた。

 これまでの捜査では、八木橋さんは同日午前3時50分ごろ、北斗市七重浜1付近で前日の勤務から16番目の客を乗せて、国道227号を七飯町方面へ走行。同4時20分ごろ、同町峠下周辺で停車していたことがGPS(衛星利用測位システム)で分かっている。

 さらに、峠下では八木橋さんの血痕や携帯電話が見つかっており、殺害現場となった可能性が高い。犯人は犯行後、タクシーのトランクに遺体を運び、自ら運転して函館港に向かい、到着後に逃走したとみられる。

 この事件では9年間で捜査員延べ9万7500人を投入するも、有力な情報がなく捜査は難航。これまでの情報提供件数は160件で、昨年9件、今年5件と減少傾向にあり、捜査関係者は「事件を風化させることなく捜査を進める」とする。

 函館駅前交番前での街頭啓発では函館西署員12人が、通行人に捜査本部の電話番号などを記したポケットティッシュを配り、捜査への協力を求めた。

 同署の中田政利刑事・生活安全官は「どんなささいな情報でもいいので協力をお願いしたい」と話している。合同捜査本部のフリーダイヤルは0120・004・179。(田中陽介)



◎函館市14年度生活保護 不正受給、過去10年で最多

 函館市の2014年度の生活保護費に関し、市が不正受給と判断した件数が前年度比17件増の206件に上り、過去10年間で最多となったことが分かった。一方で金額は同1940万円減の6124万円、1件当たりの受給金額も29万7000円で、同約13万円減少した。

 市は受給者の納税に関する情報などから収入調査を行い、不正受給かどうかを判断している。

 206件の内容は稼働収入(働いて得た収入)の未申告・過少申告が最も多く、同1件増の127件。年金など公的給付の未申告も同1件増で39件だった。残る40件は、仕送りなど稼働収入に当てはまらない収入の未申告・過少申告などで、保護の要件を満たさず受給していたケースもみられた。

 市の14年度の受給者数は、前年度比87人減の1万2914人と2年連続で減少。一方で、人口減少や一人暮らしの高齢者世帯が増えていることなどから、人口1000人当たりの受給者数を示す保護率は通年平均で47・4と、道内でも2番目に高い水準となっている。

 生活保護に関する相談を受け付けている市民団体「函館生活と健康を守る会」の担当者は「不正受給の中には子どものアルバイト収入に気付かなかったり、事情による急激な貧困に適応できなかったりするケースもある」とし、「生活保護制度の制限により、保護を受けても苦しんでいる人たちはいる」と説明する。

 市生活支援第1課によると、不正受給1件当たりで100万円以上のケースは12件、少額だと2~300円台もあったといい、「今後も不正受給の早期発見に取り組み、金額が膨らむ前に適切な対応を行う」としている。(蝦名達也)


◎市民ら夜景スポット満喫 函大生考案モニターツアー

 函館大学の2年生グループが商学実習の中で考案した、夜景スポットを巡るツアーが21日夜に行われた。市民ら約50人がモニターとして参加、函館山をはじめ3カ所の夜景を楽しんだ。

 佐藤元治准教授(54)が指導する商学実習のグループが5月からJTB北海道函館支店のサポートを受けながら、来年3月の北海道新幹線開業を見据えた着地型観光のプラン作成を進めてきた。今月上旬、同支店が5つのアイデアの中から夜景ツアーなど2つのプランをモニターツアーとして実施を決めた。

 ツアーは日没後の午後5時すぎにスタート。参加者はバス2台に分乗し、市熱帯植物園付近からいさり火や街並みを見る「横夜景」と、市青函連絡船記念館摩周丸付近から港の風景を眺める「下夜景」を見学した。その後、函館山山頂からの夜景を眺め、あらためてその素晴らしさを実感していた。山頂では市内の夜景の魅力を伝える映像も観賞。ツアーを考案した学生5人がガイドを務めた。

 山口和香子さん(55)は「普段見ることのない素晴らしい景色を見ることができて良かった」と満喫した様子。このツアーを考案したメンバーの一人、前田陸さん(20)は「アイデアが形になり、さらにこんなに参加してくれてうれしい」と喜び、佐藤准教授は「お客さんの反応や直接の声を聞けたことが学生にとって良かった」と話していた。もう一つのモニターツアーは来年2月に行う予定。(鈴木 潤)