2015年12月25日 (金) 掲載

◎大妻高3年・野田さん、ネイリスト検定1級合格

 函館大妻高校家政科3年の野田うららさん(18)は、公益財団法人日本ネイリスト検定試験センターが主催するネイリスト技能検定試験1級に合格した。来年春に市内のネイルサロンへの就職も内定し、「女性をきれいにでき、幸せな気持ちにできるネイリストになりたい」と目を輝かせる。

 試験は実技と筆記で行われた。実技は1時間半以内にスカルプ(人工爪)7本と3Dアートネイル1本を仕上げる。スカルプはアクリル樹脂を爪に塗り、ファイル(やすり)などで長さや硬さをそろえ、ツヤを出す技術が審査され、筆記では爪の構造や病気など100問が出題された。

 小さいころからネイルが好きで、高1のときネイルサロンアリュール(松陰町)に通いはじめた。試験日が近づくと深夜まで手の模型を使って練習に励み、高1で3級、高2で2級に合格。今年春に1級の試験を受けたが合格できず、10月に再挑戦し今月、認定書が届いた。「合格したと分かったときはとてもうれしかった。次はジェルネイルの上級試験に向けてサロンで働きながら技術を磨いていきたい」と意気込みを語る。

 同サロン代表と講師を務める新本冬子さん(38)は「ここのスクールから高校生で1級に合格したのは初めて。今後はコンテストにも出場してもっと上を目指してほしい」とエールを送る。

 同センターによると、10月開催のネイリスト技能検定試験1級の受験者数は4487人、合格者数は1511人で合格率は33・7%。(能代俊貴)



◎道ユニバーサル映画祭実行委 国交相表彰

 函館や北斗市民らで組織する北海道ユニバーサル上映映画祭実行委員会(島信一朗代表)が、国土交通省のバリアフリー化推進功労者大臣表彰に輝いた。同省が24日、今年度の受賞者3団体を発表した。道南地域の団体が同賞を受賞するのは初めてで、道内では5件目。来年1月22日に同省特別会議室で表彰式が行われる予定。

 同会は2006年、映画のユニバーサルデザインを目指して発足。今年で第10回を迎えた上映会は、北斗市や函館市内で開かれ、ボランティアらの手によって字幕や音声ガイド、同会独自のミュージックサイン、補聴援助システム、手話通訳、要約筆記、車いす席などを整え、誰もが一緒に映画を楽しむことができる。同会が映画祭を市電車内で継続的に実施していることや地域の小中高生に対するバリアフリー啓発の取り組みなども評価され、今回の表彰につながった。

 同表彰は、06年12月施行の「バリアフリー法」(高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律)の趣旨を踏まえ、07年からバリアフリー化の推進に多大な貢献が認められた個人・団体に贈られている。第9回となる本年度は19件の候補のうち、11月の最終選考で中央大教授の秋山哲男選考委員長ら4人の有識者が選んだ。

 橋本和幸事務局長は「10周年の節目に、私たちの活動が認められる賞をいただけたことはうれしい。今後の活動の励みにしたい」と喜びを語った。(半澤孝平)



◎バス路線再編案、「3幹線+市電」で利便向上

 函館市生活交通協議会(会長・奥平理函館高専准教授)が24日、市企業局庁舎で開かれた。バス路線網の再編に向けた検討で、3つの幹線バスと市電を組み合わせた新たなシミュレーション結果を提示。合わせて、交通拠点となる五稜郭、美原、湯川の各結節機能の想定規模や課題を示した。

 バス再編の新たな検討案は、市が3月に策定した生活交通ネットワーク計画で示した3案から、営業キロが最も短く、効率性が高い「大循環パターン」をベースにした。

 拠点間を結ぶ幹線バスは「昭和・美原・湯川」「美原・昭和・五稜郭・市立函病・五稜郭駅」「美原・五稜郭・函館駅前」の3つを設定。市電(湯川・五稜郭・函館駅前)も幹線の一つと見なし、バス路線との重複をなくした。各交通拠点からは周辺地域に向かう支線バス、郊外地域への路線が加わる。すべてのバスは函館駅前、五稜郭、美原、湯川の各拠点のいずれかに接続するようにした。

 この結果、目的地に乗り換えなしで到着できる割合は63%(幹線のみ37%、支線のみ26%)、乗り換え1回は33%となった。従前案より乗り換えの回数を抑制し、利便性が改善された。

 一方、五稜郭、美原、湯川の各交通拠点の整備検討案で、五稜郭と湯川は複数のバス停を近接して設置する「ターミナル型停留所」、美原は亀田福祉センターなど亀田地区の統合施設建設に合わせて、函館駅前のような「交通広場型」とすることが示された。

 それぞれ、乗り継ぎ移動距離の短縮、自動車の混雑緩和、定時制確保などの視点から計12項目で評価。五稜郭は本町交差点の8地点のうち、本町交番前など3地点が高評価だった。一方、電停との連携が求められる湯川は、幅員も狭く、用地確保も困難であることなど、課題が多い結果となった。3拠点ともに今後、整備に向けて複数案を作成して検討を進め、来年度に実施計画を策定する予定。(今井正一)


◎患者の容体を遠方で把握、函病がシステム導入

 市立函館病院(港町、木村純院長)は、心臓ペースメーカーや植え込み型除細動器(ICD)などを利用する患者の状態を把握する「遠隔モニタリングシステム」の導入を始めた。脈拍の状態やペースメーカーのバッテリー残量などを、電話回線を通じて病院側へデータ送信するもので、道南の医療機関では初めての試み。同院循環器内科の蒔田泰宏科長は「患者の不安を和らげ、適切な診療に役立てたい」と話している。

 ペースメーカーは脈が遅い人などの皮下に埋め込み、心筋に電気刺激を与えて正常な心拍を補助するもの。ICDは致死性の不整脈などを察知すると、電気ショックを発生させ突然死を防ぐ装置で、これらの機器を同院で新規に植え込む患者は年80~100人に上る。

 モニタリングは2008年から日本に導入されており、同院では国内での使用が認められている4社ほどの機種に対応。患者の自宅にデータ送信機を設置し、ペースメーカー内に蓄積された心臓や機器の状態を示すデータが、電話回線を通じて医師のパソコンや携帯電話、専用サーバーに送られる仕組みだ。

 1日分のデータは毎日午前2~4時に自動送信され、病状悪化やリード(導線)の断線などの植え込み機器の不具合が生じた場合は、即座に通知される。心不全によって血液中の水分が肺にたまっていないかどうかも同時に確認できる。

 手術後には年2~4回程度植え込み機器の定期検診を受ける必要があるが、モニタリングによって年1回に負担を軽減。患者の中には松前や奥尻、青森県在住の人もおり「天候が悪く、どうしても来院できない患者の精神的負担も軽減できる」。また、同院ではこれまでバッテリー切れなどが要因で急変し、救急搬送されてきた患者もいるといい、導入によるトラブルの早期発見が期待される。

 送信機の患者負担はなく、旅行などにも携帯可能。今後新規に機器を植え込む患者を対象に、モニタリングの導入を進める考えだ。(蝦名達也)