2015年12月31日 (木) 掲載

◎Xマスイブに幼児保護した大木さん 家族の安心と幸せもお届け

 クリスマスイブの24日、函館市内で家族が目を離したすきにまちへ飛び出した幼児2人を、函館中央郵便局の配達員、大木聰士さん(37)が見つけ、家族へ無事届けるお手柄があった。親子は「郵便配達のサンタクロースさんありがとう」と感謝している。

 保護されたのは、市内の亀田凌功(りく)ちゃん(3)と勇羽(ゆう)ちゃん(2)。母親の育代さん(43)が函館新聞に「いつも我が家に来てくれる配達員の男性が子どもを助けてくれた」と投書を寄せた。

 育代さんによると、24日正午ごろ、3人で昼寝をしていたが「私が目覚めた時には子どもの姿がなくて…」。兄弟はジャンパーとリュックを背負い、玄関の鍵を開けてマンション6階をエレベーターで降り、2人だけの初めての“散歩”へ出掛けていた。

 午後2時ごろ、バイクで配達業務中の大木さんが、マンションから約200メートル離れた幹線道路の対岸の歩道にいる2人を目撃。「いつもはお母さんと一緒にいるのにおかしいな」と思い、声を掛けた。市電が大好きな2人は車両を見るなり大はしゃぎ。交通量も多く、大木さんは「これは危ない。交通事故に遭わせられない」と機転を利かせて近くのコンビニエンスストアに2人を預け、住所を知るマンションに急いだ。

 育代さんは1時間ほど2人を探し回っていた。行き違いで1回目の訪問時は会えず、「2回目のチャイムで涙目のお母さんが出てきた」(大木さん)と育代さんが署員に捜索を依頼しているところだった。

 同郵便局では地域の見守り活動に力を入れている。大木さんは「私にも同世代の子どもがいて、親が子を愛する気持ちが分かる。当然のことをしただけ」と職場に報告をしていなかったが、亀田さん家族が「あらためてお礼に伺いたい」と、30日に同郵便局を訪問。兄弟手作りの折り紙のメダルを大木さんに手渡して感謝を伝えた。

 大木さんは「お母さんたちの言うことをしっかり聞いてね」と2人と握手。育代さんは「子どもの姿が見えなくなった時は不安でどうしようもなかった。無事であることを知り、大木さんが本当のサンタクロースに見えた」と頭を下げていた。(田中陽介)



◎そばやうどん、おせち フル回転で用意

 年末年始の食卓に並ぶそばやうどん、おせち料理の製造がピークを迎えている。函館市内の飲食店やホテルなどでは従業員がフル稼働し、趣向を凝らした商品の準備に追われている。

 ○…そば処さんてい・柏木店(柏木町7、池田幸久店主)では、約150食を受注。道産と北米産を7対3で混ぜた香りの良いそば粉を使用し、池田店主(48)と父・幸次郎さん(77)が機械で打つ。家庭でゆでた時にくっつかないよう、池田店主の妻・由紀子さんが多めの打ち粉とともにパックに詰めていた。

 池田店主は「1年の締めくくりに当店のそばを食べてもらえることがありがたい。1年の感謝を込めて打っている」と話す。

 31日も店頭で年越しそばを売るほか、営業は午前11時~午後3時、同5時~同7時半。エビやカニ、穴子などの天ぷらがついた「大晦日(おおみそか)そば」(税込み980円)を限定50杯販売する。

 ○…手打ちうどん そば 上野(湯川町1、上野亨店主)では、鍋焼きうどんセットが好評。よく練り込んだコシのあるうどんのほか、餅やホッケのすり身、豚ロースなど食材12品、カツオやサバ節など数種類をブレンドしただしが入っている。だしは1976年の創業以来変わらない、こだわりの味だ。

 今年は年越しそばと合わせ、常連客を中心に約200食の予約を受けた。上野店主(60)が心を込め、全て手打ちで提供する。

 同店は「鍋に残っただしに白米と卵を入れておじやに、最後にチーズを入れて和風リゾットにして3度楽しむのがお薦め」とする。

 31日の店頭営業は午前11時~午後4時。(稲船優香)



◎ペットも年末慌ただしく

 函館市内や近郊のペットホテルでは、年末年始の旅行や帰省などに伴い利用する飼い主からの予約が相次いでいる。ペット専門の美容室も、すがすがしい気持ちで新年を迎えてもらおうと、作業を本格化させている。

 ラブリードック(美原1)では20日以降、1日25~30頭を手掛け、7人のスタッフが手分けしてシャンプーや爪切り、カットなどをてきぱきと施している。

 森内潔社長は「頭数は例年並みだが、12月だけで550~600頭と、1年で最も忙しい時期」とする。また、エゾ鹿肉のステーキなど道産食材をふんだんに使った犬用おせち(税込み3680円)も好評だという。

 トリミング専門店のティーカップ(五稜郭町28)は20日から年末の予約が入り出し、29日の20頭がピーク。年内の営業終了日となる30日は、早めに予約した常連客で混み合った。

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 ペットホテルの「わんこのおやど」(本通3)は、クリスマス時期後から混み合いはじめ、新年を前に満室となった。同ホテルは「昨年よりも連休が短く、海外旅行などに伴う長期泊は少ないが、その分1泊で利用する飼い主が多い」とみる。例年通りの予約が入っている「函館畜犬」(八幡町21)は「毎年年越し直前に申し込むケースがあり、まだ受け入れは可能」としている。

 留守中の飼い主の自宅に出向き、ペットの食事やトイレなどのお世話を行う「ペットシッターサービス・ポップコーン」(北斗市本町3)も忙しさを増しており「予約で埋まっているが、相談は受け付ける」という。(稲船優香、蝦名達也)


◎函館の元日は曇り

 函館地方気象台によると、向こう1週間の渡島・桧山の天気は、気圧の谷や寒気の影響により曇りで、雪や雨が降る日が多くなるとしている。

 31日は曇りで、朝から昼すぎまでは雪が降り、吹雪となる所もある。1月1日は曇りで、初日の出がきれいに見られるかは微妙だ。5日ごろから晴れ間が見えてくる。気温は最高、最低ともに平年並みか平年より高くなる。

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 海上保安庁第一管区海上保安本部によると、道南各地の初日の出時刻は次の通り。

 ▽函館山展望台午前7時▽恵山岬同7時1分▽五稜郭タワー同7時2分▽松前町白神岬同7時4分▽長万部町同7時7分▽奥尻町青苗岬同7時9分