2015年12月5日 (土) 掲載

◎函館港イルミナシオン映画祭開幕

 「第21回函館港イルミナシオン映画祭」(実行委主催)が4日、開幕した。函館市末広町の金森ホールで開かれた開会式には駆け付けた大勢のファンが映画の魅力を満喫した。

 開会式に先立って今夏、市内でロケが行われた映画「函館珈琲」を上映。その後、同作品の監督を務めた西尾孔志さんや主演の黄川田将也さんらが登場し、撮影時のエピソードや映画への思いを語った。

 西尾監督は「いろんな意見を聞きたい。この作品を応援して」と客席に呼び掛け、黄川田さんは「撮影では毎日楽しく向き合え、大切な作品になった。皆さんとともに大きく育てていけたら」と話した。

 開会式で米田哲平実行委員長は「また函館の宝物が生まれた。これからも皆さんと一緒に歩んでいきたい」とあいさつ。

 シナリオ大賞表彰式では、グランプリの函館市長賞を獲得したよしおよしたかさん、準グランプリの太田野歩(のっぽ)さんらに賞状などが送られた。

 同祭は1995年に「函館山ロープウェイ映画祭」としてスタート。6日まで。金森ホール、函館山山頂クレモナホール、函館市公民館の3会場で約30作品が上映される。有料で一般券1300円など。問い合わせは事務局(0138・22・1037)へ。(半澤孝平)



◎福島商高存続へ支援強化 町が来年度予算化

 【福島】町は入学者が減少している福島商業高(阿部公明校長)の存続に向け、来年度から支援策を強化する方針を固めた。町外からのホームステイや下宿に対する補助、普通自動車運転免許を取得する際の助成金など6つの支援が柱。手厚い支援を打ち出し、生徒確保に全力を挙げる構えだ。

 来年度の募集学科は商業科で定員は40人。これに対し、本年度の入学者は22人(町外4人)にとどまった。入学志願者が20人を下回る年が2年続くと、翌年度から募集停止となり、廃校が決まる。町は、同高を存続させる検討委員会(会長・鳴海清春町長)を立ち上げ、これまで入学奨励金10万円の支給や町外からの通学交通費の全額補助などの支援策を行ってきた。

 新たな支援策は①町外出身の生徒がホームステイや下宿などを利用して通学する場合、月額5万円を限度に補助②町内在住の祖父母宅から通学する場合、同2万円を限度に補助③3年生で運転免許を取得する場合、1人当たり10万円を限度に補助④国家試験・資格を取得した場合、受験料は全額補助⑤高度な検定・試験の受験料への補助⑥部活動の地区大会への参加・出場経費の全額補助―など。必要経費を来年度の当初予算に盛り込む。

 同校は普通科目が科目全体の3分の2を占め、残りが商業に関する学習を行う。また、町のゆるキャラ「するめ~」をモチーフにしたキューピーストラップの開発や、全商検定で全九種目の合格者(2014年度で全国33人、道内4人)を出すなど、特色ある教育を展開している。(斎藤彩伽)



◎函病 来年度からプロパー化検討

 函館市病院局は4日、本年度7億~12億円の大幅な赤字が見込まれる市立函館病院について、来年度から順次、同局管理部への市職員派遣を止め、病院経営に詳しい民間病院経験者などを採用する「プロパー化」を進める意向を示した。これに伴い、管理部職員の育成と長期雇用の支援を目的に、本州などの民間病院への派遣研修を行う考えだ。

 同日開かれた市議会民生常任委員会(池亀睦子委員長)で明らかになった。

 函館病院は道南ドクターヘリ導入の改修工事による入院制限などの影響が長引き、当初想定していた2億6000万円の赤字が大幅に上回る見通しだ。市は現在、函館、恵山、南茅部の市立3病院に、経理や庶務を行う市職員計約40人を派遣。工藤寿樹市長は病院事業の赤字の恒常化を防ぐため、医療に特化した職員の育成と将来的に全職員をプロパー化する見解を示している。

 同院事務局の医事、医療連携課については、以前から精神保健福祉士などの資格を持つ職員を採用するなどプロパー化を実施。市病院局は「一般部局からの職員は3~5年で異動があるほか、病院の内情を理解した上で仕事を進めるまでには時間がかかる」としており、経験者を採用することで専門的な医療職との対応強化に取り組む姿勢をみせた。

 また同局によると、これまで同局職員が他病院で研修する機会はなかったが、吉川修身同局長は「職員のパーマネント(長期雇用)化の一つに、東京などの優れた民間病院に職員を派遣し、経営のノウハウを習得させたい」と説明し、理解を求めた。

 プロパー化に伴う採用方法や人数などは検討中だが、退職職員や派遣期間を終える職員の人数に応じ、数年かけて進める考えだ。(蝦名達也)


◎函館市、市役所本庁舎 耐震不足

 函館市は4日、本年度実施した市役所本庁舎(東雲町4)の耐震診断調査結果を明らかにした。建物の耐震性を示すIS値(耐震指標)は、庁舎の正面に向かって水平方向(x方向)の揺れに対して、一部の階層で基準を下回り、「耐震性に疑問がある」という結果となった。直ちに危険な状態ではないが、市は改修に向けた検討を進め、2016年度予算で実施設計費用を盛り込む方針だ。

 4日の市議会予算特別委員会総務分科会(工藤恵美委員長)で、小野沢猛史氏(市民クラブ)の質問に答えた。

 市総務課によると、改正耐震改修促進法に基づき、市も今月末までに診断実施結果を報告する義務がある。本庁舎は、鉄骨鉄筋コンクリート造一部鉄骨造で地上8階、地下1階で、延べ約2万8000平方メートル。1980年に着工し、82年に完成した。

 結果によると、建物全体のバランスを示す保有水平耐力指標値は、目標の0・28をクリアした。数値が大きいほど耐震性があることを示すIS値は、本庁舎の場合は0・673が基準で、庁舎正面に向かって前後方向(y方向)の揺れに対しては、いずれの階も上回った。一方、x方向は1~7階の数値が0・502~0・672で、「所用の耐震性が不足している」という結果となったが、大地震で直ちに倒壊の恐れはないとしている。

 改修方法として▽骨組みを強化する耐震工法▽建物の揺れを吸収する制震装置の設置▽地震の揺れを吸収する免震装置の設置-の三つの工法があるとし、来年度に委託する実施設計の結果を受けて、財政負担や施工期間などを勘案して最適な工法を決定する。同課は「市民に不便を掛けないよう、可能な限り、速やかに改修を実施したい」としている。(今井正一)