2015年1月10日 (土) 掲載

◎本年度閉校の早川小校舎を活用し野菜栽培工場

 【上ノ国】スーパー・トライマートなどを経営する加藤卓也氏(57)が農業法人「寅福」を立ち上げ、本年度末で閉校する町石崎の早川小学校を活用し、葉物野菜栽培工場とする計画を進めていることが9日、分かった。年末にも改築を終えて海外を中心に出荷を始める見通し。同法人はこのほか町内でトマトハウス建設も計画しており、今春には合わせて45人程度の地元雇用を図りたい考え。

 加藤氏によると、閉校後の4月にも校舎の改築に着手、体育館と教室などを完全無菌室とし、ライトと水耕栽培によるレタスを中心とした葉物野菜工場とする。ライトの排熱を生かした乾燥野菜の製造にも取り組む。12月にも改築を終了させ、1~2週間程度で出荷できるという。

 出荷先は中国・香港やロシア・サハリン、ウラジオストックへの輸出を中心に、道内も視野に入れる。稼働当初、15人の雇用を見込み、半数を正社員にする方針。

 町は校舎と土地を無償提供したい意向で、議会側も協力的な姿勢を示している。稼働のめどがつき次第、町が必要な手続きを踏む見通しだ。

 一方、同法人は町内の天の川付近にトマト栽培ハウス34棟の建設も計画。3月ごろの稼働、5月の初出荷を目指す。30人ほどの雇用を予定し、こちらも半数以上の正社員を採用するという。

 加藤氏は取材に対し「地元雇用の創出を図りたいと強く思い計画した。古里で安定した収入がある職場を求める町民が多い。IターンやUターンにも応じたい。ことしは2つの計画を軌道に乗せ、今後事業を拡大できれば」としている。



◎地域活性化協力隊24日にセミナー なべ祭りにも出店

 【江差】地域の発展に向けて、まちと若者世代のつながりを深めようと、町内の若者有志の「江差地域活性化協力隊」がことしもさまざまな活動に力を入れる。24日には20代の講師を招くセミナーを開くほか、2月の江差なべ祭りにも出店する予定。メンバーは、歴史伝統を重んじる江差の保守的な考えに敬意を示したうえで「出る杭は打たれるが、それなら打たれないくらいに出てしまおう」と意気込んでいる。

 同会は昨秋に発足、メンバーは町内の会社員や公務員ら20〜30代が中心の16人。既存の催しなどに若者世代が距離を置き始めていることを危ぶみ「まちとの関係を希薄にしてはならない」と、昨年7月の初顔合わせから定期的に集い、9月には情報交換の「ヤングパーティー」を開いた。

 1世紀前にニシン漁でにぎわった前浜の写真を組み込んだ名刺も作成。「活気あるまちづくりをしたいという思いを込めた」という。

 立花謙二桧山振興局長も取り組みを応援。メンバーの中川芽衣さんと奈良学さん、久米早苗さんがこのほど訪れた際には、「着実に活動をすれば応援も増えてくる。初めは成功事例をヒントにしてもいい。環境は変わるので、その中からオリジナリティが生まれる」と激励した。

 地元で起業し実績を残している年配者もメンバーの活動を見守り、「興味を持って連絡をくれたり、応援の言葉をもらったりするのがうれしい」と中川さん。奈良さんと久米さんも「マイナス思考ではなく、次につながることに取り組みたいと考えている人がたくさんいる。1人ではできないことでも力を合わせれば乗り越えられるはず」と声を張る。

 全国最年少の首長として昨夏に就任した照井誉之介町長(30)が注目を集める中、一般の江差の若者世代も奮闘している。 (田中陽介)



◎道南自治体間に温度差 新幹線札幌開業5年前倒し

 与党の整備新幹線に関する作業部会が、北海道新幹線新函館北斗—札幌間の開業を5年前倒しし、2030年度の開業を決めたことに関し、沿線自治体や経済団体からは「道南経済の底上げや地域活性化につながる」と歓迎の声が上がった。一方で新函館北斗の終着駅効果短縮や、並行在来線の経営分離も時期が早まる面もあることから、自治体間には少なからず温度差も出ている。

 札幌延伸で新たに駅ができる自治体は歓迎ムードが強い。八雲町の岩村克詔町長は「開業後の地元経済への波及効果はさらに高まることが予想され、大いに期待している」、長万部町の木幡正志町長も「長万部駅は広域の拠点駅となるため交流人口の増大が想定されており、いかに地域経済活性化に結び付けるかが重要。スケジュールを少し早めながらまちづくりにおける計画策定を進めたい」と力を込めた。

 雇用や観光振興に期待する声も。七飯町の中宮安一町長は「函館総合車両基地がフル稼働するタイミングが早まり、雇用の受け皿として期待している」とし、森町の梶谷恵造町長は「札幌を含めた北海道の観光地化がますます加速する。道内全体のメリットにつながるので、応援を続けていきたい」とコメントした。

 延伸前倒しは一方で、新函館北斗駅(北斗市)が終着駅となる期間の短縮を意味する。函館商工会議所の松本栄一会頭は「オール北海道として見た場合、経済の底上げにつながり、歓迎すべきこと。道央と新幹線で結ばれることは道南観光にも相乗効果がある」とする一方で「北関東、東北と札幌の中間として道南、函館の位置付けをしっかりとしたものにしていかなければならない」と課題を挙げた。

 函館市新幹線対策室は「前倒しは事実として受け止めるが、まずは来年3月に迫った新函館北斗開業の準備に力を注いでいきたい」との姿勢。開業に向けてのまちづくりや新駅からの2次交通など、現下の課題を重視する考え。

 また、JR函館線の函館—小樽間の経営分離も5年早まることになる。岩村八雲町長は「地域住民の足の確保など、解決すべき課題に早めに取り組む必要性も強く感じている。諸課題解決のため今後も関係機関と連携し、国への要請活動を継続していく」と話した。


◎函館山登山道8コース 来年度からペット同伴禁止 

 函館市は、来年度から函館山(334㍍)の登山道のうち、旧登山道コースと千畳敷コースを除く8コースで、犬などのペット同伴を禁止する方針だ。道幅が狭く、登山者のすれ違いが困難なコースでの事故を未然に防ぐのが目的。今春からコースの入り口などに順次看板を設置する考えだ。

 市緑化推進課によると、ペット同伴が禁止されるコースは、道幅30㌢ほどで傾斜の大きな場所があるといい、「すれ違う時に、登山者やペットが登山道から滑り落ちる危険性がある」(同課)と説明。昨年開かれた「緑のパートナー会議」(番匠勲座長)で議題となり、市は先月開かれた同会議で禁止する方針を示した。条例に基づいた措置ではなく、罰則はない。

 禁止を知らせる看板はA4サイズほどで、犬の絵に日本語と英語で「ペット持ち込み禁止」と記される。既存の看板などの柱に取り付ける予定で、函館山の自然や景観を損なわないために、設置数や大きさを最小限に抑えるという。

 登山者の多くが道幅2㍍ほどの旧登山コースと千畳敷コースを利用し、ペットを連れて登りに来る人は少ないという。同課は「時期によってダニが多く発生する場合もあるので、事故防止とともに、ペットの安全を守ることにもつながる」と話している。  (蝦名達也)