2015年1月17日 (土) 掲載

◎大物ニシン、好漁に沸く…江差姥神大神宮に献上

 【江差、上ノ国】江差と上ノ国両町で16日、大ぶりのニシンがまとまって水揚げされた。この時期では異例の豊漁に浜は活気づいている。「ひやま地域ニシン復興対策協議会」(会長・工藤昇上ノ国町長)は同日、魚体を江差姥神大神宮に献上し、資源の復活と一層の漁業振興を願った。ニシンが大群で産卵し海面が白く濁る「群来(くき)」が途絶えたのは1913年ごろ。1世紀を越えて資源復活へ機運が高まりつつある。

 上ノ国では刺し網漁で15日に42㌔、16日も44・5㌔(各日300匹ほど)の水揚げがあった。江差では16日に23・9㌔(101匹)だった。

 体長は平均30㌢。魚卵と白子も熟した魚体が目立ち「これだけあれば立派」と関係者。江差の漁師菊地勲さん(71)によると、例年2月中旬ごろに群れが濃くなるとし「こんなに早く獲れるとは驚いている。何の魚でも水揚げが早ければ早いほど豊漁になるので幸先がいい」と声を弾ませる。

 桧山各町と八雲町熊石、ひやま漁協で組織する同協議会は近年、種苗生産と調査事業に年間計500〜600万円の予算を組む。放流は2013年が10万匹、14年は親魚の確保ができず4万匹にとどまったが、今年も10万匹以上を目標とする。桧山地区水産技術普及指導所によると、熊石から上ノ国におけるニシンの水揚げは13年が180・4㌔、14年は240・7㌔。

 姥神大神宮とニシンは縁深く、古くに前浜で不漁が続いたとき、老婆が白い水を海へ注ぎニシンの群れが押し寄せて地域を救ったという伝説が残る。

 工藤会長は「『まかぬ種は生えぬ』の精神で地域一丸で臨む成果だと思う。ニシンの姿が、漁業者の意欲をかきたててくれる」とする。(田中陽介)



◎越冬メークイン掘り出す

 【厚沢部】厚沢部町社の山の板坂農園(板坂阡一社長)の圃場(ほじょう)で16日、越冬メークインの掘り出し作業が行われた。雪の下で低温貯蔵することで鮮度が良く、甘みも増す。選別して箱詰め後、19日に東京へ出荷する。

 板坂さんのメークインは、見た目がきれいで甘くて味が濃いのが特徴で、道内外の料理人や百貨店のバイヤーから引き合いがある。秋の通常出荷に加え、越冬によって糖度がのった商品も供給している。

 昨年12月初めに専用の容器に入れたメークインを土中に並べて土をかぶせる。凍結しないよう温度はプラスに保っており、約10㌧を出荷する。

 重機で丁寧に雪や土を取り除くと、容器の中からみずみずしいメークインが現れた。この日は5㌧を掘り出した。板坂社長(62)は「測ったことはないが、秋に掘り出したばかりのジャガイモより糖度が3〜5度高いのではないか。手間は掛かっても、甘みのある芋を出荷したい」と話した。(山崎大和)



◎今春高卒 内定率好調

 今春卒業し、就職を希望する高校生の内定率が好調だ。函館公共職業安定所によると、昨年11月末時点で就職が決まった管内の生徒は約8割に上り、過去最高を記録。就労支援を目的に毎年秋と冬に開く就職面接会(同職安など主催)は内定者が多数出ていることから、本年度は昨年秋の1回のみとなる見通しだ。函館市内の高校で就職指導を行う担当者も手応えをつかんでおり、高校生の雇用環境が一段と改善している傾向がうかがえる。

 昨年11月末時点の内定率は、前年同時期を11・3ポイント上回る78%。求職者950人(前年同期比1・6%増)のうち、741人が内定を決めた。就職先は渡島・桧山管内が342人、道内が197人、道外が202人となっている。

 内定率はリーマンショック後の2009年(47・1%)を底に、5年連続で上昇。同職安は「景気回復の影響とまではいえない」としながらも「早めに優秀な人材を確保したいという企業が多く、結果として内定率の高さにつながっている」と説明する。

 管内企業の求人数は898人で、リーマンショックの影響を受けた2009年(425人)と比較すると倍増。求人倍率は過去10年で最も高い0・95倍となっている。

 就職面接会について同職安は「ここ数年で1回のみの開催としたのは初めて。それだけ雇用情勢が上向いているということ」としている。昨年10月の面接会では、66社259人分の求人が出され、渡島・桧山管内の高校生101人が来場した。

 函館市内のある高校の進路担当部長は「職種としては建築・土木系、資格のいらない介護助手や看護助手などの求人が増えている印象」と語る。

 また、市内の別の高校の進路担当は「9〜11月までは例年に比べスムーズに内定が出た」と話し、「売り手市場を感じているが、ミスマッチが起こらないよう今後も生徒の希望に沿った仕事を紹介していきたい」と気を引き締めていた。(山田大輔、稲船優香)


◎効果的な防災教育学ぶ、函館気象台が教員対象に初の研修会

 函館地方気象台は16日、効果的な防災教育を実践することで、子供たちや家庭へ防災知識の普及・啓発につなげてもらおうと「学校防災教育の研修会in函館」を同気象台で開いた。函館を中心に14小学校などから21人が参加し、実践報告やワークショップを通じて防災教育の仕組みづくりなどを学んだ。

 道内の気象台が学校関係者を対象とした防災教育の研修会は2011年度に札幌で始まった。昨年度に旭川で開催したことが好評だったことで、本年度は函館で初開催した。

 始めに5年前から防災教育を実践している札幌南白石小学校の安達正博教諭が「命を守る防災教育が生き方を教える教育につながる。教職員として何を、いつ、どのように行うかを知ることが大切」と学校防災教育のあり方を解説。

 続いて安達教諭が5年生社会における「緊急地震速報の実践」や、札幌真駒内公園小学校の渋谷宜和教諭が5年生理科で、児童が雲など天気の変化を観測し、防災の視点に取り入れた実践を紹介した。

 の後、参加者は4つの班に分かれ「教科における防災教育のあり方」をテーマにワークショップを行った。津波からの避難訓練ばかりでなく、冬など季節によって発生する災害やその避難方法を想定することや、防災の視点で地域を歩いて調べること、子供たちが興味を持ち、適切に判断して主体的に行動する力をつけることの大切さなどが発表された。安達教諭は「今日話したことは各校の職員室で話し合ってほしい。教師が防災を意識していることが子供に伝わり、学校や家庭に広まってくれれば」と期待した。

 函館桔梗小学校の高坂耕治教諭は「避難訓練で児童が速やかに整列する大切さなど学べることが多く、今後の課題として取り組みたい」と話した。(山崎純一)