2015年1月18日 (日) 掲載

◎工藤氏が再選出馬表明…函館市長選

 函館市の工藤寿樹市長(65)は17日、後援会の会合で、4月に行われる函館市長選(19日告示、26日投開票)に無所属で再選を目指して立候補することを正式に表明した。工藤氏は「1期目に種をまいたことは緒についたばかりで完成の域に達していない。次の4年間は人任せにせず、自分の手である程度形にしたい。今までの流れを止めない」と述べ、地元経済の再生や人口減少対策に取り組む考えを示した。市長選への出馬表明は工藤氏が初めて。

 工藤氏はこの日午後、室田晴康後援会長ら幹部約15人を集めて会合を開いた。20日の定例会見での表明が有力視されていたが、後援会への意思表示を優先した。

 1期目を振り返り、工藤氏は「北海道新幹線の並行在来線問題や新駅の駅名問題、大間原発問題もあったが、経済再生と財政再建を柱に福祉、教育、まちづくりの5つの柱で政策を展開し、いろいろな種をまいてきた」と述べ、中心市街地再開発や函館アリーナと函館フットボールパークの整備、海外観光客誘致などに取り組んだことを説明。

 その上で「即効性のあるイベントも行ってきたが、持続的に函館を活性化させるには抜本的な対策をしていかなければならない」と強調。市財政の改善が進んでいることから、2期目に向けては経済再生の継続を挙げるとともに、人口減少対策の中でも特に子育て支援に力を入れるとし、「子どもが生まれ、若い人が街に残れるための政策が大きな柱になる」と述べた。

 工藤氏は取材に対し、この時期の出馬表明について「衆院選が終わった後の年明けに、落ち着いてできると判断した」と説明。具体的な政策を2月上旬にも示すとしている。

 工藤氏は1949年11月、乙部町生まれ。函館ラ・サール高、早大法学部卒。1973年に旧亀田市に採用され、函館市との合併後は財務部長、企画部長、助役・副市長を歴任。2010年12月に西尾正範前市長の市政運営を批判して副市長を辞任後、11年4月の市長選に立候補し、初当選した。(千葉卓陽)



◎「乳房」供え安産、健康祈願…知内で「おっぱい祭り」

 【知内】「おっぱい祭り」の名で知られる女性だけの祭り「十七夜講」が17日、町元町の雷公神社(大野格宮司)で開かれた。参列者は米粉を練って乳房をかたどった「しとぎ」を祭壇に供え、安産や家内安全を祈願した。

 江戸時代、母乳が出なくて困っている母親が町内にある神木「姥(うば)杉」の乳房に似たこぶに願掛けしたという言い伝えが由来。昭和30年代までは夜間に行われており、この日だけは女性たちが家事や育児を離れて夜通し歌や踊りを楽しんだという。

 この日は朝から氏子の女性8人が乳房の形をしたしとぎを二つ作り、神前に供えた。午後2時に始まった祭りには町内の主婦ら約40人が参列。大野宮司が祝詞を奏上し、参列者が玉ぐしを捧げた。最後に氏子がしとぎを崩してお神酒と混ぜ合わせ、女性たちに配った。

 町森越の女性(42)は「仕事が休みだったので久しぶりに参列することができた。ことし1年の家族の健康を祈った」と話していた。(金子真人)



◎湯倉神社・伊部宮司 遺骨収集 慰霊の旅へ…来月沖縄訪問

 北海道神道青年協議会の会長を務める湯倉神社(函館市湯川町)の伊部宗博宮司(41)らが来月、太平洋戦争の沖縄戦で命を落とした北海道出身者の遺骨収集と慰霊のため、沖縄県糸満市を訪問する。戦後70年を経て戦争を知る世代は減少している。「今後、戦争のことを後世に伝えていくのは我々若い世代の責任であり、義務だ」と伊部宮司。強い使命感を胸に70年前の激戦地に向かう。

 今回の旅は、同協議会が昨年、創立65周年を迎えたことから、記念事業のひとつとして行う。10年前は慰霊祭だけだったが、遺骨が残る壕(ごう)の閉鎖が進んでおり、遺骨収集もすることになった。旅に出るのは道内の若手神職約20人。道南からは伊部宮司を含めて3人が参加する。

 沖縄戦の犠牲者は日米合わせて約20万人。このうち北海道出身者は1万人以上で、沖縄出身者に次いで多いという。本道出身者が多くいた部隊が、太平洋戦争末期にちょうど沖縄に派遣されていたためだ。「神職になる前はこの事実を知らなかった。現在の平和な社会、豊かな暮らしがあるのも命をささげた先人のおかげ。しっかりと祈りを捧げたい」と決意を強くする。

 旅程は2月24〜27日の4日間。北海道神社庁が行う慰霊祭に参列した後、26日に同市に残る壕で遺骨を探す。壕の中は屈んでようやく前へ進める場所。スコップで地面を掘る地道な作業になるという。「壕では火炎放射器で多くの人が焼かれてなくなった。苦しい最期で、1日も早く遺骨を掘り起こさなければならない」と話す。

 作業後には見つけた遺骨と1万柱の北海道出身者のために慰霊祭を執り行う予定だ。「沖縄から帰ってきたら、経験や肌で感じたことを地域の人たちに伝えていく。いろいろな場面で語るつもり。そこから戦争や平和について考えてもらえれば」(松宮一郎)


◎西部地区の魅力向上提案…未来大生が課題作品発表会

 公立はこだて未来大情報デザインコース2年生の課題作品発表会「はこだて未来展2015」が17日、函館市船見町25の喫茶店「ティーショップ夕日」で始まった。同店を学生が利用する初の試みで、2つの授業の成果物16点を展示している。18日まで。

 展示会は今回で5回目。「情報表現基礎3」と「情報デザイン2」という授業で、前者は未来大生が西部地区に行きたくなる移動の仕組みや活動の提案「函館モビリティ」、後者は目に見えない情報に直接触れられる道具や仕組みの提案「タンジブルな○○」がテーマ。学生40人が5人ずつ8グループに分かれ、課題に取り組んだ。

 初日は公開プレゼンテーションがあり、西部地区での遊びを探す携帯アプリを提案した高橋竜次さん(20)は「西部地区での誰かの発見に気付き、実際に何があるのか確かめに行き、新しい発見を誰かと共有することで、西部地区を未来大生の遊びの場としたい」と強調した。

 同店は1885(明治18)年に建設された旧函館検疫所を活用。原田泰教授(情報デザイン)は「これまでは青年センターで開催していたが、市とも相談してこの場所を選んだ。学生が西部地区を理解するという点で大きな意義を持つ」と話した。18日は午前10時〜午後5時。入場無料。(山崎大和)