2015年1月21日 (水) 掲載

◎北斗夏祭り山車行列に「北斗の拳」黒王号が参加

 【北斗】人気漫画「北斗の拳」の版権会社「ノース・スターズ・ピクチャーズ」(東京)が所有する、主要登場人物「ラオウ」の愛馬「黒王(こくおう)号」の等身大模型が、7月に北斗市内で開催する「北斗市夏祭り」の山車行列でお披露目される見通しだ。「北斗」つながりを生かして町おこしを進める市民有志の会「北斗市に黒王号を呼ぶ会」(会長・木村圭介市商工会青年部長)が19日に市内で開いた役員会で、使用に関して同社の内諾を得たと報告。模型に合わせた山車を製作して、行列に参加することを決めた。

 同会は昨年6月から署名を集めるなどして黒王号の誘致活動をしていた。役員会では、山車の引き手を全国各地から募集することを決めたほか、行列に合わせた旅行ツアーやTシャツなど、記念品の販売も合わせて企画することを申し合わせた。今後詳細を詰めていく。

 夏祭りは旧上磯町時代から続く夏の一大イベントで、市役所から上磯駅前までの中心街を練り歩く団体の山車行列が呼び物の一つ。

 黒王号の模型は台座を含め高さ4㍍。同社は町おこしを考慮して無償貸与するという。4月にも市と共同で搬入依頼書を提出し、搬入後、照明や看板などの飾り付けをしていく。

 役員会ではこのほか、来年3月の北海道新幹線開業に向け、漫画に関するモニュメントの製作も提案された。木村会長は「夏祭りで盛り上げ、開業に弾みをつけたい。北斗市を知ってもらうきっかけになればいいですね」と話している。(鈴木 潤)



◎旭岡中リコーダー部が2年連続全国へ

 函館旭岡中リコーダー部(八木麗菜部長、部員12人)は、9日に札幌で開かれた「第29回全道リコーダーコンテスト」(北海道リコーダー教育研究会主催)の合奏部門で最高賞の金賞に輝いた。2年連続となる全国大会への切符も手に入れ、3月29日に東京で開かれる大会に向けた練習に熱がこもっている。

 昨年11月の道南地区予選では、道南の中学校で唯一のリコーダー部として出場し、全道大会へ駒を進めた。

 曲目は金子健治作曲「飛鳥の里へ」。ところどころに、雅楽といった“和”の響きを感じさせる曲調だ。曲のイメージを練るため、部員たちは図書室の本で飛鳥時代の人々の生活様式を調べるなど工夫を重ねた。

 週6日間、3時間にわたり顧問の近藤基子教諭による熱心な指導を受けて練習に励んだ。近藤教諭が所用で不在のときは、副顧問の中谷貴和子教諭がサポート。八木部長(14)を中心に部員同士で話し合いを重ね、意識を高めていった。

 全道大会本番では、アルトからコントラバスまで7種類のリコーダーを使った重厚な表現で演奏した。「緊張したけど一番良い演奏ができた」と八木部長。指揮をした近藤教諭は「それぞれの思いが伝わり、指揮をしているのが楽しかった」と振り返る。時間の都合で表彰式に出られなかったため、結果はバスの中で聞いたが、車内は喜びの歓声とうれし涙であふれかえったという。

 昨年の全国大会は惜しくも銅賞。八木部長は「今まで支えてくれた人に感謝を込め、ことしこそ金賞を獲りたい」と語る。

 全国大会の「第36回全日本リコーダーコンテスト」(全日本リコーダー教育研究会主催)は3月29日、東京・江戸川区総合文化センターで開かれる。(斎藤彩伽)



◎大間原発の審査開始

 【東京】原子力規制委員会は20日、電源開発(東京)が建設中の大間原発(青森県大間町)が、新規制基準に適合するかどうかを判断する審査の初会合を開いた。建設中の原発の審査は初めてで、初回は電源開発側が申請の概要を説明。委員からは厳しい指摘も寄せられた。

 電源開発は昨年12月16日に適合審査を申請し、2021年度の運転開始を目指す方針。同社は初会合で、使用済み核燃料から出たプルトニウムとウランを混合して再利用するMOX燃料を、最終的に全炉心に装荷する「フルMOX」の計画と安全対策について説明した。

 地震・津波対策では基準地震動を従来の450ガル(加速度の単位)から650ガルに引き上げ、想定する津波の最大値(基準津波)も現行の4・4㍍から6・3㍍に見直すとしている。また、過酷事故に備えて、新規制基準で義務付けられたフィルター付きベント(排気)の設置方針とともに、非常用の所内電源としてディーゼル発電機3台、蓄電池7台を配備すると説明。

 一方、一部専門家が指摘する海底活断層に対しては存在を否定したほか、想定される航空機墜落による火災についても「原子炉施設の安全性に影響を及ぼさない」との見解を示した。

 規制委は、大間原発が世界初のフルMOX商業炉となることから慎重に審査する方針。初会合では今後の審査に向けた論点を1〜2週間以内に提示することを明らかにした。

 更田豊志委員長代理は「電源開発にとっては最初の原発。要求レベルをクリアするにとどまらず、可能な限りより高い安全レベルを実現する姿勢を見せてほしい。10年前や20年前に設計されたものと同じレベルの安全性を満たせばいいという姿勢では困る」などと指摘した。

 会合は動画サイトを通じて生中継された。函館市は国と同社を相手に、同原発の建設差し止めを求めて提訴している。(千葉卓陽)


◎江差町、農家交付金支払い遅れる

 【江差】町役場が事務局を担う国の農家所得安定対策の一部で、昨年12月に支払われるはずだった町内の農家4戸への交付金計1000万円が、役場職員の不手際で交付が遅れていることが20日、分かった。手続き期間は年度内までと違法ではないが、同町では慣例として毎年12月に支払われてきただけに、「お金を必要とする年越し前に支払われておらず、町民の生活にかかわる問題。いち早く対応し、町民の生活を守るのが役場の仕事だ」と厳しい声が出ている。

 同日開かれた議員協議会で照井誉之介町長が報告し、現状を「非常事態」と声を張り上げ、一連の不祥事に対して謝罪した。

 不手際があったのは麦農家の手続きで、1戸当たり最大500万円の交付が遅れ、今月中に支払われるよう進めている。

 町によると、昨年11月下旬の決裁の際、職員が手続きの遅れを上司に伝えていなかった。12月22日に該当農家から「口座に入っていない」と問い合わせがあり、上司が初めて問題を把握。担当課によると、関連する280件の事務処理を抱え、制度内容が複雑なため手続きが遅れたという。また「(職場内の)コミュニケーション不足を指摘されても仕方がない。今後このようなことがないようにしたい」(担当課長)とする。

 既に関係者が該当農家に謝罪。町は大きな混乱は起きていないとし、年間の所得申告に影響が出ない措置をとるという。

 一方、議会側は2013年に発覚した給食費の不正流用事件をはじめ、相次ぐ不祥事に不信感と反発の姿勢を強めている。議員は一様に役場内のチェック機能の甘さを指摘し「おわびだけでは済まされない」という厳しい声もあった。

 照井町長は取材に対し「指摘されるコミュニケーション不足などを含めて対策を講じたい」としている。(田中陽介)