2015年1月22日 (木) 掲載

◎函館でも台湾中心に増加、訪日外国人が過去最高

 日本政府観光局(JNTO)が20日に発表した2014年の訪日外国人旅行者の推計値は過去最高の1341万人を突破した。円安やビザ緩和が後押しし、アジアを中心に大幅な伸びが目立ち、函館でも台湾からの入り込みが好調だ。一方で多言語対応やインターネット環境整備、免税店の拡充など、受け入れ態勢の充実が急務となっている。

 JNTOのまとめでは、昨年の訪日外客数は13年比で29・4%(約300万人)増加。国別では台湾が最も多く282万人、韓国275万人、中国240万人と続く。東南アジアではタイ65万人、マレーシア、シンガポールも伸び、アジアの11国・地域からはいずれも過去最高を記録した。

 函館でも外国人客増加は顕著で、函館空港の国際線利用者は昨年1年間で16万人を突破。エバー、復興航空が運航する台北線がほとんどを占めた。函館市がまとめた外国人宿泊者数は14年度上期(14年4〜9月)だけで14万人を超え、年間30万人台も視野に入った。

 ただ、全国同様に外国人対応の充実に課題は多い。観光庁の訪日外国人消費動向調査では、昨年の消費額は1人当たり15万1374円で、年間2兆円の巨大市場に成長。地域にも大きな経済効果をもたらすことが裏付けられた。昨年10月以降、市内でも免税店の開設が目立つが、今年4月からは免税手続きを第三者に委託する一括カウンター設置が可能になるなどの制度拡充が決まり、外国人客をターゲットにした商店街全体での取り組みも必要だ。

 外国語対応では、昨年、JNTO認定の外国人観光案内所に、函館空港総合案内所が加わったが、近郊ではJR函館駅内の観光案内所、七飯町の大沼国際交流プラザの3カ所のみ。市観光部は観光案内所の対応強化を検討中で「宿泊施設でも従業員のスキルアップに努めることも市内全体の充実につながる」とする。

 このほか、観光施設での公衆無線LAN「Wi−Fi(ワイファイ)」整備も進める考えで、同部の伊与部隆次長は「外国人客の経済効果は大きく、函館に1日でも多く滞在してもらう取り組みが必要。受け入れ態勢充実に課題は多いが、行政だけではなく民間の取り組みも期待したい」と話している。(今井正一)



◎高穂神社の神職ら、京都で松前神楽奉納へ

 函館市上湯川町の高穂神社(澤口廣宮司)の神職らでつくる高穂神社松前神楽会が25日に京都市左京区の赤山(せきざん)禅院で開かれる大祭で神事芸能「松前神楽」を奉納する。2009年9月に続く2度目の奉仕で、澤口宮司は「松前と京都は慶長年間から深い関わりがる。大役を任されて光栄」と話し、研さんを積んでいる。

 赤山禅院は天台宗比叡山延暦寺の塔頭(別院)で、神仏混合の寺院。平安時代、慈覚大師円仁(えんにん)が唐に渡り、天台教学を納めた。その行程を守護した赤山大明神に感謝し、赤山禅院建立を誓い、円仁の遺命を受けた第四世天台座主安慧(あんね)が創建したと伝えられている。

 松前と京都の関わりは、松前藩成立後、蝦夷地の交易品が北前船(弁財船)で京都へ輸送されたことや、慶長年間に青年公家・花山院忠長らが、幕府から流刑された際、五世・慶広が万福寺で厚遇したことで密接な関係となった。以後、松前氏には京都公家から6人の女性が嫁入りしている。

 赤山禅院鑑定士の井上象英さんと澤口宮司に縁があり、昨年7月、井上さんから2回目の松前神楽奉納の依頼を受けた。約30分の出演が2回で、榊舞、二羽散米(にわさこ)舞、福田舞などを各回3〜4座奉納する。今回の奉納に向け、尻岸内八幡神社(函館市大澗)の荒木力弥宮司が指導し、澤口宮司、荒木宮司ら8人が向かう。

 澤口宮司は「神さまに奉仕の心をお伝えし、大祭の参拝者に松前と京都のつながりを知っていただきたい」と気を引き締める。(山崎純一)



◎キャラバンで北方領土返還訴え

 北方領土の日(2月7日)の特別啓発期間が21日から始まったのを受けて、北方領土復帰期成同盟渡島地方支部(村上幸輝支部長)は、管内市町を巡る啓発活動「返還要求キャラバン」を始めた。初日は同支部の吉澤慶昭顧問ら3人が函館市役所と市内7支所を訪れ、北方四島の返還要求運動に対する協力を求めた。

 スタート地点の函館市役所では、吉澤顧問らがのぼりやパネルを持って総務部の小山内千晴次長と松浦眞人総務課長を訪問。吉澤顧問は「領土問題を我々の世代で何とか解決させたい」と述べ、小山内次長も「運動に協力していきたい」と応じた。

 キャラバンは23日まで行い、22日以降は渡島管内10市町を訪問する。合わせて、30日まで企業や団体も約50カ所も巡る予定。2月7日には七飯町大沼公園で開かれる「大沼函館雪と氷の祭典」の会場とイトーヨーカドー函館店(美原1)で、翌日の18日も五稜郭タワーアトリウムでそれぞれ署名活動を行う。

 同支部の工藤孝幸事務局長は「期間中、若者世代を中心に運動を周知し、運動の輪を広げていきたい」と話した。(鈴木 潤)


◎川汲に認定こども園新設へ

 函館市内で保育園や病院などを運営する社会福祉法人函館共愛会(福島安義理事長)は、川汲町(南茅部地区)に幼稚園と保育所の機能を併せ持つ「認定こども園」を新設する。3月に着工し、来年春の開園を目指す。同法人が認定こども園を運営するのは初めて。

 施設は南茅部支所近隣に建設を予定。鉄筋コンクリート2階建てで、面積は1054・2平方㍍。5室程度の保育室や遊戯室などを配置する。定員数は100人で、保育園児として80人、幼稚園児として20人を予定している。

 函館市は保育環境の整備や保育サービス充実のため、公立保育園の民営化を進めている。尾札部保育園と臼尻保育園の統合民営化に伴い、市の移管を受けた同法人が認定子ども園を新設することとなった。

 尾札部保育園は海岸沿いにあるため「津波を心配する保護者の声もあった。子どもの安全を考え、津波に備えて尾札部と臼尻の中間地点となる川汲の高台に建設を決めた」と佐藤輝雄事務局長。「お母さんたちが安心して働けるようサポートしていく」と話す。

 市によると、現在、市内には5カ所の認定こども園があるが、2015年度に始まる「子ども・子育て支援新制度」に伴い、4月から太陽の子幼稚園と第二太陽の子幼稚園がこども園に移行する。国は保育所に入れない待機児童の解消を目指し、同制度で認定こども園の支援を拡充する考えだが、11の保育園を運営する同法人は「幼稚園教諭と保育士の両資格を持つ教諭の確保が難しく、課題も多い。今後の動きを見ながら移行するか考えていきたい」とする。(平尾美陽子)