2015年1月26日 (月) 掲載

◎ドクターヘリ機材到着 あすから実機訓練

 道南ドクターヘリで使用する最新のヘリコプターが25日、函館空港に到着した。運用する鹿児島国際航空(鹿児島市)によると、中型クラスのヘリでは世界最高水準の安全機能や寒冷地での運用を考慮した機器を搭載。27日から実機を使用した訓練が始まり、2月16日の運用開始に備える。

 機体はイタリアの航空機メーカー、アグスタウェストランド社製の「AW109」の最新型で、全長は14㍍、全幅2・3㍍(ローター直径10㍍)。最高時速約310㌔、航続距離は550㌔と長く、函館と奥尻を30分程度で移動できる。

 従来機よりも自動操縦機能が優れ、防氷システムの搭載、デジタル無線にも対応。キャビンも広めにつくられており、患者のほか、医師や看護師4人分の座席があるが、シートアレンジによって大きな医療機材を搭載することも可能。ドアの開放部分も広く、患者の収容が容易にできる。

 この日は、鹿児島国際航空の関係者5人が搭乗し、午前8時に鹿児島を出発。途中3カ所の給油を挟み、午後3時20分ごろ、函館に到着した。同社の榎田和也専務は「北海道の厳しい環境での運用になるが、地元の方々の不安を払しょくし、安心に変えるよう努めたい」と話した。

 27、28の両日には市消防本部による東部4地区での訓練、2月3〜5日には市立函館病院以外の医療機関関係者が参加する訓練などが予定されている。(今井正一)



◎活動15年 集大成の音色 市芸術ホール管弦楽団最後の演奏会

 地元の弦楽器奏者育成を目的とした「弦楽クリニック」の受講者でつくる「函館市芸術ホール管弦楽団」は23日、市芸術ホールで最後の演奏会を開いた。約700人の来場者でほぼ満席になった観客席からは、フィナーレを飾る華やかなハーモニーに、惜しみない拍手が送られた。

 1999年から市文化・スポーツ振興財団が続けてきた同クリニックは、本年度で活動に一区切りをつけることになった。

 この日は「15年の集大成“未来への創造”」と題し、ベートーベン作曲「交響曲第9番二短調 作品125『合唱付き』」の全4楽章を演奏。遠藤幸男さんの指揮の下、オーケストラ約60人の情熱的で美しい響きと、国内外で活躍するソリスト4人がと市内の合唱団員80人が絶妙なアンサンブルを繰り広げ、会場をひとつの世界観に引き込んだ。

 市内在住の笹浪貞子さん(83)は「素晴らしかった。最後にふさわしい曲目が胸にしみて涙が出た」と感動の様子。長きにわたり同団を指導してきた遠藤さんは「皆さんの技術や音楽性は格別に上達しました。素敵な演奏を聴かせてくれて、感謝の気持ちでいっぱいです。これまで積み重ねてきた全てを発揮できました」と熱く語った。(斎藤彩伽)



◎1年生3人 伝統受け継ぐ 函中部高校内誌「学叢」最新号編集

 2015年度に創立120周年を迎える函館中部高校(千原治校長、生徒701人)で、校内誌「学叢(がくそう)」最新号の編集作業が終わった。学校創成期の1899年(明治32)年に創刊。同校の総合文化誌として、戦前は論文や研究文、現在は創作作品を中心に掲載し、地域の教育史資料としての側面も持つ。編集を担う学叢局には1年生3人が在籍し「学びの草むら」を意味する誌名の伝統を受け継いでいる。

 同校は1895(明治28)年、函館尋常中学校として開校。学叢は校友会の機関誌として創刊し、生徒だけではなく教職員も数多くの作品を残す。文芸評論家の亀井勝一郎(1907|66年)も在学中に論文「文明と道徳」(学叢29号、21年)などを発表している。戦時体制下でも発行を続けたが、43年3月の51号で休刊。戦後は変革期を挟んで、56年3月に復刊した。今年2月末発行の最新号が復刊後の52号で、累計で103冊目となる。

 ただ、近年は予算縮小による㌻数の減少、担い手不足に悩まされている。学叢局員は、昨年4月時点で3年生の前局長1人のみだったが、現在は1年生の石井春佳さん(16)が局長、青田飛鳥さん(16)と三橋由葵乃さん(16)が副局長を務める。同7月の学校祭では特別号を発行するなど、新たな取り組みも始めたが、「『何をする部活なの?』とよく聞かれる」と校内での知名度不足も課題だ。

 最新号には、局員らの創作文をはじめ、読書感想文全道コンクールの入賞生徒作品、ESS部員による昨年着任した英国人ALTへの英文インタビューなどを掲載予定で、2月末に全生徒に配布する。

 新年度は創立120周年の記念号としたい考えで、学叢局を経験したことのある卒業生への取材、学校の歴史をたどる内容とすることなど、構想を練り始め、節目を契機に学叢局を再び盛り上げようと意欲的。3人は「過去の学叢をたどると教科書にはない歴史を知ることができ、私たちのつくる1冊もいずれは学校の歴史に加えられる。120周年に向けて局員を増やして、興味を持って読んでもらえる内容にしたい」と話している。(今井正一)


◎冬観光にの目玉へ 夜市 2月14日に函館朝市協同組合連合会

 2月11〜15日に行う「函館海上冬花火」を盛り上げようと、函館朝市協同組合連合会(井上敏廣理事長)は2月14日夕方から「夜市」を開く。朝市ひろば周辺をワックスキャンドルで彩るほか、参加店舗では海鮮丼などを特別価格で提供する。同連合会では今回の開催をテストとして位置付け、2015年度末に迫った北海道新幹線開業に向け、夜市を冬の恒例イベントとしたい考えだ。

 冬花火に合わせて市民が朝市に足を運ぶきっかけを作るとともに、観光客にも夜景を楽しむ前に立ち寄ってもらおうと企画した。当日はワンコインセールを実施。500円で自慢の丼などを提供するほか、物販店では限定の詰め合わせ商品を用意する。現在は加盟する約150の店舗から出店者を募っているという。

 同組合は冬場観光の目玉として、夜市の定着化を視野に検討している。北海道新幹線開業で駅周辺ホテルの宿泊客が多数見込まれることから、夜景観賞までの夕方の時間に朝市への集客を図る狙い。ことしの結果をふまえて改良を加え、団体ツアーなどに組み込んで需要を呼び起こしたいとしている。

 また、同組合は本年度、地元住民向けの企画も手がけており、昨年12月に実施した「年末市民感謝フェアー」は好評を得た。日曜・祝日に函館市内、近郊から無料送迎バス「朝市号」を運行し、のべ650人ほどが利用。松前や江差などからは町会ぐるみで住民が乗車し、バスが満席となったほか、増便の希望も出るなど大人気だった。来年度も期間限定で継続運行を予定しており、アンケート結果などをもとに、運行時期やルートなどを決定する見込みだという。(山田大輔)