2015年1月30日 (金) 掲載

◎函館の魅力 空の上で発信…来月、日航と市が誘客で連携

 日本航空(JAL)は29日、2月の地域コラボレーション企画「ジャパンプロジェクト」を函館市と連携して展開すると発表した。老舗割烹旅館若松(湯川町)がプロデュースした機内食を国内線ファーストクラスで提供するほか、機内誌や機内で上映する映像でも函館を大々的に取り上げて魅力を発信、誘客を促す。同社の大西賢会長と工藤寿樹市長が同日、若松で記者会見し、「函館観光を盛り上げたい」と力を込めた。

 プロジェクトは、JALと自治体が連携して地域の観光資源をPRする。搭乗客と観光客増加につなげ、地域活性化を図る。函館市が第44弾で、道内ではこれまでに北海道、帯広市で行っている。

 国内線のファーストクラスで提供する機内食は若松の成田正吾総料理長が監修。アワビやイカ、豚など道南産の食材をふんだんに使い、地域の食の魅力を伝えるものに仕上げた。上旬、中旬、下旬でメニューを切り替える予定。会見に参加した成田総料理長は「食べたお客さんが函館に興味を持つようなメニューにした」と自信をのぞかせた。

 ほかに国際線、国内線の機内誌では函館特集にページを割き、五稜郭のサクラや自由市場などお薦めのスポットを紹介している。

 大西会長は「まだまだ発信しきれていない函館の魅力がある。情報に触れていない人に受け取ってもらう機会にしたい」と強調。2016年3月の北海道新幹線開業に関しては「共存共栄を目指しており、利用客が悩むような料金、サービスを提供したい」と述べた。

 工藤市長は「食の魅力で訪問意欲は増加するはず。ゴールデンウィーク、サクラのシーズンに向け誘客に期待できる」と話した。会場に用意されたファーストクラスのシートに座り、機内食を試食。満足そうな表情で料理を口に運んだ。(松宮一郎)



◎函館牛乳 パッケージ一新

 函館酪農公社(函館市中野町、柴田満雄社長)は29日、主力商品の「函館牛乳」など3点のパッケージデザインを2月2日からリニューアルすると発表した。デザインを大きく変更するのは創業約40年で初めて。今後、アイスやヨーグルトなど他の商品も牛乳パックと同じデザインを使用していく。

 牛乳以外の乳製品の売り上げ向上が課題だった同社は、ブランド力の向上を図ろうと、函館市のビジュアルコミュニケーション導入支援事業に参加。市内のデザイン会社「ガーデン」代表の佐賀吉憲さんと2013年から検討を重ね、全商品の絵柄のモチーフに函館山を使用し、統一感を出すことにした。

 函館牛乳のパッケージはなじみのあるオレンジ色を残したまま、これまで水色だった部分を紫色に一新。商品名を明朝体にして拡大し、絵柄は教会から函館山へ変更した。

 同社が手掛ける牛乳「緑と牛と大地」「函館酪農公社」もデザインを変更。函館牛乳と色違いで、パックの下部に函館山と海を描いている。

 今後は順次、他の商品にも同じデザインを導入し、売り上げアップにつなげたい考え。柴田社長は「最初は抵抗感が少なからずあったが、これまで変えてこなかったのが異常だった。新デザインと共に新しい気持ちで歩みを進めたい」と意気込む。(山田大輔) 【写真説明】パッケージを変更した3商品(右側が新デザインの商品)



◎函館—赤川IC 3月14日開通

 函館開発建設部は29日、函館新外環状道路(15㌔)の空港道路(10㌔)のうち、函館インターチェンジ(IC、函館市桔梗町)—赤川IC(同市赤川町)2・4㌔間が、3月14日に開通すると発表した。同区間の開通で函館圏の高速交通ネットワークの形成が一歩前進する。

 函館IC—函館空港IC間を結ぶ空港道路の全体事業費は639億円。2001年度に新規工事着工準備区間となり、道の都市計画決定を受け、07年度に着工。赤川ICの開通に向けた工事は11年度から本格化、橋梁架設や道路改良などを進めてきた。

 外環状道路の整備は、函館空港までのアクセス向上や産業道路(道道函館上磯線)の慢性的な渋滞緩和を図るとともに、函館新道や函館・江差自動車道と一体となった高速交通網の形成を目的としている。赤川ICの開通によって、特に並行する美原地区の産業道路をはじめとする周辺道路の交通量の分散が期待される。

 開通に合わせて式典(日時未定)も予定されており、函館市の工藤寿樹市長は「美原、桔梗地区の産業道路を利用している人にとって、渋滞緩和につながるはず。大変うれしく思う」と話した。

 赤川IC以降の日吉IC、同空港ICまでの開通は16年度以降となっているほか、その先にある古川IC(仮称)まで5㌔(古川道路)の着工は未定。(鈴木 潤)


◎6月から五稜郭の石垣修復開始

 函館市教委は、6月から特別史跡・五稜郭跡内堀の崩落した石垣の修復を行う方針を固めた。堀に沈んでいる石を回収し、積み直して、来年3月までに修復を完了させる見通しだ。

 28日に開かれた「特別史跡五稜郭保存整備委員会」(近藤公夫座長)で報告し、了承された。

 市教委によると、昨年3月27日に郭内南東部の石垣が幅約10㍍、高さ2㍍にわたって崩落したといい、原因は「大雪や雨が降り、石垣内にたまった水が結氷した後、暖気の影響で急激に溶け、石垣にゆがみが生じたため」とみている。4月8日には文化庁や道教委などの視察も入り、現在は立ち入り禁止区域となっている。

 修復事業は、6、7月に堀に沈んでいる石を回収。現況調査や設計も合わせて行い、11月から石の積み直しを行う予定だ。事業費は約6000万円を見込んでおり、国と道に補助を申請し、市教委負担分は1500万円程度とみている。

 1988年から五稜郭跡で開かれている夏の一大イベント「函館野外劇」は昨年、石垣の崩落を受け、舞台の場所を郭内に移して実施したが、開催決定が遅れたことによる周知不足が響き、入場者が減少した。NPO法人市民創作「函館野外劇」の会の里見泰彦事務局長は、来年3月の北海道新幹線開業による観光客の増加を見込みながら「(修復は)会や市にとって非常にうれしいこと。劇の集客回復につなげていければ」と期待を込めている。