2015年1月31日 (土) 掲載

◎スナック「栴檀」47年の歴史に幕

 「名残惜しいけど、体が続かなくて。47年やってこれたのも本当にお客さんのおかげです」—。1968年7月から大門地区に明かりを灯し続けたスナック「栴檀」(松風町16)が31日で店じまいする。川内典子ママ(74)は閉店に際して沈痛な表情を浮かべながらも、客への感謝の思いでいっぱいだ。

 北洋漁業と青函連絡船が栄え、活気あふれる大門地区に、典子さんは夫の惇司さん(74)と店を構えた。店内は、客が持ち込んだ絵画や装飾品が美術館のように並び、落ち着いた雰囲気を醸し出している。名物メニュー「いもまんじゅう」のほか、マスターの作るオリジナルカクテル「くれないの土曜日」「氷の妖精」などで人気を博した。

 惇司さんは「月光仮面」の原作や「おふくろさん」作詞などで知られる故川内康範氏のおいで、康範氏も帰郷した際には店に訪れていたという。

 しかし昨年、惇司さんが倒れて自宅療養となり、店に立つことができなくなった。典子さんも懸命に切り盛りしてきたが、自身の体にも限界を感じ、苦渋の決断ながらも47年の歴史に幕を下ろすことになった。

 惇司さんの弟、川内啓弘さん(67)は「とても残念ですが、この夫婦だからこそ続けてこれた。長い間御苦労さまです」と話した。

 「新幹線開業間近なことや、あと少しで50年だったこともあり、続けることができなくて悔しい」と典子ママ。「創業からずっと通い続けてくれる人もいる。お客さんあっての『栴檀』です」と目を細める。最後となる31日の営業時間は、午後6時〜午前1時を予定している。(斎藤彩伽)



◎国交省の「手づくり郷土賞」に江差町歴まち組合が受賞

 【江差】まちの魅力や個性の創出などの各種活動を評価し、激励する本年度の国交省「手づくり郷土(ふるさと)賞」に、江差町歴まち商店街協同組合(室谷元男理事長)が選ばれた。一般部門では道内唯一の受賞。関係者は「みんなで汗を流して協力している活動が評価されて励みになる」と喜んでいる。

 歴まち組合は、1992年の設立以来、町内の北前船時代の風情ある街並みの「いにしえ街道」を拠点に、「花嫁行列」や全国から寄贈を受けたひな人形を飾る催しなどを展開。組合発足当初は数人のメンバーだったが、現在は35事業所と組織体制を着実に整え、江差ならではの歴史と文化を生かした催しや、人材育成などの取り組みが評価された。

 室谷理事長は「その名の通り、手づくりで取り組んできたことを評価してもらったことが活動の励みになる。これからもみんなで力を合わせて頑張りたい」と話している。

 賞の認定伝達式は3月4日に町内で行われる。道開発局によると、道南では近年、2006年度に函館市の市民創作野外劇、10年度に木古内町の咸臨丸の眠るサラキ岬の交流環境を生かした取り組みが選ばれている。(田中陽介)



◎棒二森屋と本町の新ビルに高齢者大学開設 函館市、16年度から

 函館市は、2016年度に棒二森屋アネックス6階(若松町17)で、高齢者大学を新たに開設する方針を固めた。高齢者大学は生涯学習の場として一定の人気を得ており、屋内遊具施設「大門キッズスタジアム」の退去後に整備予定の「高齢者サロン」に併設する考え。本町の旧グルメシティ五稜郭店跡地に建設する新ビル内の「市民交流プラザ」(16年12月完成予定)でも開設する方針だ。

 60歳以上の市民を対象に、さまざまな講義やクラブ活動の場を提供する高齢者大学は現在3カ所。本年度は市公民館や亀田福祉センターを拠点に計約780人が学んだ。

 ただ、高齢者大学には定員を超える応募が寄せられるケースが多く、新規に入学できない市民も一定数い。利便性の高い両地域で新たに場を設けることで、高齢者の生きがいづくりを促すとともに、市の中心部に人を呼び込むことも狙いとしている。

 JR函館駅前では16年3月に再開発ビルが一部オープンを予定しており、同ビル内に設けられる「子育て世代活動支援プラザ」に、大門キッズスタジアムの機能が集約される。市中心市街地活性化基本計画では、棒二森屋の空きスペースを活用して高齢者の憩いの場や授産製品販売などを行う「高齢者サロン」を16年度に設置するとしており、サロンに大学を併設する考え。市保健福祉部によると、フロアは広さ約680平方㍍で、高齢者大学の定員は100人以下とみている。

 一方、本町新ビルの市民交流プラザは、若者を対象に発表会などを行える多目的スペースとして整備する方針だが、市経済部中心市街地再生担当は「若者が集まりづらい時間帯に大学を開くことで、スペースの有効活用にもつながるのでは」としている。

 人が集まりやすく、利便性の高い中心市街地に大学を設けることで、高齢者の一層の社会参加が期待される。市教委は「既存の大学の定員数や開設方法などを検討し、実現に努めていきたい」としている。(蝦名達也)


◎山川牛、チーズとサンド 山川牧場が第3弾新商品

 【七飯】山川牧場モータウンファクトリー(山川洋子代表)はこのほど、山川牛と4種のチーズを使った新商品第3弾「フィラデルフィアチーズステーキサンド」を完成させた。来月7、8の両日に大沼国定公園で開かれる「第49回大沼函館雪と氷の祭典」でデビューする。同社の山川俊郎さんは「冬の大沼で熱々のサンドをご賞味あれ」と呼び掛けている。

 同社は牛肉の生産が盛んな七飯町で、観光客はもちろん、たくさんの地元の人に食べてもらいたいと、さまざまな商品を開発してきた。第1弾の「ローストビーフサンド」、第2弾の「あらびきステーキサンド」に続き、昨年夏ごろから商品開発を進めてきた。

 サンドには、自社生産の山川牛を低温で熟成させたプレミアム赤身肉を薄くスライスして焼いた100㌘使用。チーズは久保田牧場(軍川)のモッツァレラ、十勝産のチェダーとゴーダ、イタリア産のパルメザンをトッピング。ベーカーズ・ベーカリー(大中山)の香ばしいパンではさんだ。調理に一切油を使わないのが特徴で、ぴりっと効いた黒コショウが食欲を引き立てる。山川さんは「試行錯誤を繰り返し、おいしいものを手軽に食べられるように仕上げました」と語る。

 サンドは同社が運営しているキッチンカー「ミスターサンドマン」での限定販売。両日ともユーカラパーキングの敷地内で1日100食を600円で提供する。問い合わせは同社(℡090・9759・5726)へ。(野口賢清)【写真説明】新商品を手に「ぜひ一度食べてみて」と話す山川さん