2015年1月9日 (金) 掲載

◎青函ツインシティ25周年 PVソング反響呼ぶ

 青森・函館両市のツインシティ(双子都市)提携25周年を記念して製作されたプロモーションビデオ(PV)のイメージソング「優しい街」が反響を呼んでいる。函館在住のアーティストKeller(ケラー)こと解良保哉さん(55)が、生まれ育った函館の街並みや人の触れ合いをテーマとして作詞・作曲し、自ら歌っている。解良さんはアルバム制作も視野に入れており、「音楽で函館に元気を与えたい」と意気込んでいる。

 「笑顔でつながる青森・函館」と題したPVは、フルバーションで約5分の映像。解良さんの歌に乗せ、青函両市で活躍する市民を紹介している。25周年記念事業を担当した市の国際・地域交流課によると、動画投稿サイト「ユーチューブ」で公開されていることもあり、曲に関する問い合わせが多数寄せられているという。

 「優しい街」は20年ほど前に手掛けた楽曲で、解良さんは「人の付き合い方がクールな東京で、故郷のぬくもりあふれる人間関係を思い出して作った」と振り返る。

 幼少期からバイオリンやウクレレなどの楽器に触れていた解良さんは、高校卒業後、東京で男性デュオ「ホライズン」を結成。1983年に「風のエンジェル」が大手清涼飲料水メーカーのCMソングに抜擢され、一躍有名に。その後は、クレイジー・ケンバンドで活躍する横山剣さんらとバンドを組んで活動したほか、多くの歌手に楽曲を提供。昨年10月末から函館に戻り、福祉事業のコンサルティングを行うグリーンパティオ(田中桜子社長)のミュージックビデオなどを制作している。

 解良さんは、大門や中島廉売、五稜郭など函館のまちを題材にした楽曲をまとめ、今春のCD発売を目指している。「函館に戻ってきて元気のなさを感じた。音楽で地域活性化に少しでも貢献できれば」と夢を語っていた。(山田大輔)



◎映画「そこのみにて光輝く」 キネマ旬報 「1位」に

 映画「そこのみにて光輝く」(呉美保監督)が8日、映画雑誌「キネマ旬報」による第88回キネマ旬報ベスト・テン日本映画で1位に選ばれた。また、呉監督が日本映画監督賞を受賞し、女性の監督が同賞を取るのは史上初の快挙という。脚本賞(高田亮さん)と主演男優賞(綾野剛さん)も獲得し、4冠に輝いた。

 同社のベスト・テンは大正時代から続く国内では最も歴史のある映画賞。映画評論家や日本映画記者クラブ会員らの投票で決定する。

 企画・製作を手掛けたシネマアイリスの菅原和博代表は「中学時代から雑誌を購読しており、私にとっては映画の教科書のようなもの。伝統と歴史ある賞で1位を取れ、とてもうれしい」と話す。呉監督も「とても光栄に思う」と喜んでいるという。

 同作は函館出身の作家、佐藤泰志(1949〜90年)の小説が原作。夏の函館を舞台に、悲しみを背負った男と愛を諦めた女との姿を描き、綾野さんと池脇千鶴さんが主演。これまでにモントリオール世界映画祭最優秀監督賞など、数々の賞を受賞している。(平尾美陽子)



◎駅周辺 ホテル改装着々 新幹線開業見据え 利用客増見込む

 2015年度末の北海道新幹線開業を見据え、函館駅前周辺のホテルでは改装工事が着々と進んでいる。大手町の函館国際ホテル(柴田大介社長)は、昨年11月から第2期改修工事を実施。3月の完成を目指し、客室のリニューアルを進めている。若松町の旧函館プラザホテルは、昨年12月にホテルテトラ函館駅前と名称を変えて再オープン。大規模改装により、利用客の増加を見込んでいる。

 函館国際ホテルは、12年9月〜13年3月に行った1階ロビーやレストランの改築に続き、約3億3000万円を投資して、1972年築の東館187室の改修を行っている。家具の入れ替えのほか、バスルームなどを整備し、客室のイメージアップを図るのが狙い。

 ことしは第3期として西館118室の工事も予定。壁紙や床材を一新するという。柴田社長は「新幹線開業で客室の稼働率が上がる。お客様の満足度を上げ、また来てもらえるようなホテルにするために、環境を整えたい」と意気込む。

 ホテルテトラ函館駅前は、これまでに客室93室のうち、73室のボイラーや配管、室内設備などを全面改装した。総工事費は約1億5000万円で、残り20室の改築も3月までに実施する。同ホテルを運営するホテルテトラグループの三浦孝司社長は「新幹線効果で多くの宿泊客を見込んでおり、おもてなしの向上につなげたい」と話している。

 若松町のホテルリソル(中野信宏支配人)は、展望台レストランのカーペットを一新したほか、今春は客室廊下の改装を計画。昨年7月には、建物2階のスポーツジムを改装。最新のゴルフシミュレーションなどを整えたレジャー施設をオープンし、利用者から好評を得ているという。(山田大輔)


◎松石さんに函館音楽協会賞 奨励賞は吉本さん

 函館音楽協会(吉田淳子会長)は8日、本年度の函館音楽協会賞にフルート奏者の松石隆さん(50)、奨励賞にピアニストの吉本有佑さん(30)を選出したと発表した。表彰式は24日午後6時、五島軒本店で行われる。

 両賞は、函館市や近郊に在住する個人並びに団体の1年間の活動を対象に選考。協会賞は過去の実績に加え、郷土の音楽文化向上推進への功績に対して、奨励賞は意欲的かつ高水準の実績を示した作曲・演奏活動などの功績に対して贈られる。

 松石さんは、積極的な演奏活動のほか、函館市公民館活性化ネットワーク(イキ!ネット)代表や音楽家集団クレアシオン副代表として、函館の音楽文化の向上に貢献。特に、公民館の活性化を目的に2007年から開催してきた公演「公民館マチネ」(イキ!ネット主催)は、同館の改修を実現する契機にもなった。

 吉本さんは、ソロや伴奏、多彩な器楽などとのアンサンブルを精力的に行い、情感豊かな演奏で聴衆に感銘を与えた。中でもピアノ伴奏の質の向上に貢献したことが高く評価され、これからの函館の音楽文化振興の担い手として大きな期待が寄せられている。

 両賞受賞者は、5月23日に芸術ホールで開催する「春季定期演奏会」(函館音楽協会主催)で、受賞記念演奏会を行う予定。(斎藤彩伽)