2015年2月10日 (火) 掲載

◎岐阜と愛知の大学生、厚沢部の特養利用者と交流

 【厚沢部】岐阜県と愛知県で福祉分野を学ぶ大学生が9日、町内の特別養護老人ホーム「あっさぶ荘」を訪れ、化粧のメーキャップを通じて利用者と交流を深めた。

 町の事業の一環で、中部学院大短大と愛知淑徳大の学生8人と大学関係者が来町。インターネットなどで厚沢部の情報を発信する「魅力発掘女子隊!『あっさ部』」が町内の福祉現場に着目し、初めて企画した。

 あっさぶ荘では、同行した名古屋の美容業、神谷専一さんと汲田高子さんの指導で、学生たちが利用者にアイシャドーなどをメーク。ファッションショーと銘打ち、82歳から102歳の利用者13人がモデルになった。当初こわばった表情だった利用者だが、手鏡で化粧姿を確認する度に目を細め「10歳、20歳も若返った気分。気持ちがドキドキするね」と声を弾ませていた。

 沢口キヌエさん(90)と山本キリさん(102)は「学生の皆さんが優しくて大好き、また来てほしい。本当に幸せ」と満足の様子だった。中部学院大短大2年の滝口藍さん(20)は「『久しぶりの化粧だよ』と喜んでもらえたのがうれしい」。愛知淑徳大3年の林由衣さん(20)も「初めは緊張したけれど自然と会話が弾み、うれしさと新鮮な気持ちになった」ときっぱり。

 引率した中部学院大短大の野村敬子准教授は「みんなが幸せを感じるすてきな時間だったと思う」と話していた。(田中陽介)



◎テロに備え訓練、警察と陸自

 道警函館方面本部警備課と陸上自衛隊第28普通科連隊は9日、陸上自衛隊函館駐屯地で共同訓練を行った。テロなどに備えて緊急輸送、道路検問、捜索・鎮圧を重点に訓練し、連携面などを確かめた。

 函館での共同訓練は昨年に続いて3回目。警察と自衛隊が緊密な連携を図り、迅速に対応する能力を養おうことが目的。同課約20人、同隊約80人が参加した。

 道内に武装した工作員が侵入した—という想定。緊急輸送訓練から始まり、警察の誘導し、装甲車両などの輸送車計8台が列を作って経路を確保しながら移動。連絡を密にしながら車道に飛び出す歩行者や遮断機、障害物などをしっかりと対応した。このほか、非公開で道路検問、捜索・鎮圧訓練も行った。

 同本部警備は「悪天候の中で、密度の濃い訓練ができて良かったし、連携を図るいい機会。来年以降も互いにスケジュールを合わせながら訓練を継続したい」と話していた。(小林省悟)



◎冬のクマに注意、道東で2人死傷

 今年に入って道東でクマに襲われて2人が死傷する事故が発生。道南でも雪山での作業や登山の際には十分な注意が必要だ。目撃情報の少ない冬場だが、道警函館方面本部地域課は「夏場と変わらず、山に入る際にはしっかりと準備をしてほしい」と呼び掛けている。

 同課によると、昨年の同本部管内でのクマの目撃件数は前年比23件26頭増の162件190頭、捕獲は15件14頭(同6件6頭減)。クマによる人身事故は1件で、昨年4月にせたな町で、山菜採りをしていた女性が腕をかまれ、けがを負っている。その後、現場にあったクマの血液などをDNA鑑定したところ、一昨年4月に女性を襲って死亡させたクマと同一だったことが判明。駆除に向けての大規模な山狩りが行われた。このほか、森町では食害が、函館市内では陣川、赤川、東山町などで目撃が多数あり、周辺の笹流ダムが数度にわたって封鎖された。

 「クマによる冬場の被害は7〜8年に数回発生している。今年は道東で発生したが、道南でも十分にあり得る」と話すのは、クマの生態を46年にわたって研究している北海道野生動物研究所(札幌市)の門崎允昭所長。今年は今月6日現在まで、同本部管内での目撃情報は寄せられていないが、門崎所長は「クマは巣穴を30度以上の傾斜に作ってこもる。巣穴の中で冬眠するというのは間違いで、危険を感じると出てきて襲ってくる」注意を訴える。

 有効な対策として「地元のハンターから情報を得て、巣穴の位置を把握することが大事。秋のうちに巣穴の近くにテープのようなをものぶら下げれば、クマは環境が変わったと思い、この付近には近づかなくなる」とアドバイス。また巣ごもり中のクマが危険を感じる3つの点として①足音②木を切るチェンソーの音③重機を使っての作業を挙げる。「穴に近づかないように気をつけながら歩いてほしい」と注意を呼び掛けている。(小林省悟)


◎天津航空 函館線を定期便化

 中国の天津航空は、昨年11月から運航している函館、新千歳—天津間のチャーター便について、3月29日から定期便に移行する方針を固め、近く国土交通省に認可を申請する。両路線ともこれまで高い水準の搭乗率を維持しており、定期便としての運航が可能と判断した。

 同社は、日本国内路線の開拓を強化しており、昨年11月に初めて本道に乗り入れた。昨年春からチャーター便として運航していた静岡、那覇線をすでに定期便化しているが、道内では初めてとなる。

 同社が申請する定期便への切り替え時期は3月29日以降。機材はチャーター便と同じエアバス320(180席)を使用。運航日もこれまでと変えず、函館は火、木曜の週2往復。新千歳は金、日曜。定期便化が決まれば、同社は道内に事務所を開設する方向で検討に入るという。

 函館線のチャーター便は昨年11月の運航開始から搭乗率が80%台後半から90%台と高い水準で推移。同社の親会社、中国・海南航空日本支社(大阪市)は「北海道、函館の人気は中国人観光客に人気で、今後も利用が見込める」と説明。定期便化で安定的な送客を目指す。

 本道を訪れる中国人観光客は2泊か3泊が中心。新千歳から道内に入った場合、帰国は函館を使用するといった具合に両空港を組み合わせて道内を旅行するケースが多いという。このことから、函館空港の重要性が高まっており、函館観光にとっても大きなプラス材料になると言えそうだ。(松宮一郎)