2015年2月11日 (水) 掲載

◎瓶子岩付近に鳥居設置

 【江差】まちのシンボルかもめ島の瓶子(へいし)岩近くの海上に今春、鳥居を建立しようと、町内の漁業関係者らが10日、実行委を立ち上げた。かもめ島上部にある厳島神社の建立400周年に合わせ「先人の苦労と功績に思いを寄せて、一層の発展を願いたい」と協賛を広く呼び掛けている。海に浮かぶように見える鳥居は道内でも珍しく、北海道新幹線開業などを見据え、景観を生かしたまちづくりにも寄与したい考えだ。

 かもめ島の厳島神社は、北前船の廻船問屋が日本海の航海安全や漁業振興を願って建立したとされる。長年、漁師の守り神として奉賛会(竹内秋雄会長)を中心に地域に親しまれてきた。今年建立400年を迎えるため、地元漁師らが「何か形として節目を祝いたい」と昨年2月ごろから準備を進めてきた。実行委の会長には、漁師で奉賛会会長の竹内さんが就いた。

 鳥居は高さ約5㍍、横幅は最大約6㍍。砂浜から約10㍍先への設置を想定し、劣化が少ないプラスチック製を採用する。発足会議では、4月21日に鳥居のお披露目を予定し、予算は鳥居設置にかかる350万円と記念事業130万円の計480万円を見込んだ。設置工事には一帯の海の状況を把握している地元の港湾業者に依頼する方針。

 実行委の設立総会で、竹内会長らは「厳島神社を守って来られたのは地域の協力があったからこそ。将来に残すためにも、多くの賛同と支援を求められるよう頑張ろう」と活動方針を確認した。(田中陽介)



◎函中部高2年・松谷さんが高文連将棋新人大会準V

 「実感がわかないけど、とてもうれしい」—。函館中部高将棋部の松谷香奈さん(17)=2年=は、1月29日〜31日に新潟県で開かれた「第23回全国高文連将棋新人大会」の女子個人の部で準優勝に輝いた。同大会での好成績は、同校で初。快挙を成し遂げた松谷さんは「今回は運が良かったんです」と照れた笑顔で喜んだ。

 小学4年生ごろ、将棋が好きな父親の影響で自身も始めた。高校入試を前に一時中断したが、同部に入部して再開。昨年の全国大会ではベスト16に入った。「次も良い成績を残せるように」。北海道予選で道代表になり、さらなる練習に励んだ。本大会前の数週間、部活動以外でも週2回ほど市内の将棋会館2軒を訪ねて研さんを積んだ。

 女子個人の部には、各都道府県の代表144人が出場。ランダムで選ばれた5人と対戦する予選で全勝してシード権を獲得、4勝1敗か5勝を上げた27人が集う決勝トーナメントに駒を進めた。

 強者ぞろいの中、劣勢になっても諦めずに粘り、「二歩」による反則勝ちで逆転を収めた対局も。運も味方に付けて決勝戦へ臨んだ。

 松谷さんは、得意の戦法“ゴキゲン中飛車”で果敢に攻めたものの、相手の対応力が上回り、惜しくも敗退。対局後はプロ棋士の勝又清和六段に弱点などを教えてもらうなど、学ぶものは多かったという。

 「どの対局も冷静でいられ、悔いの残らない大会となった。勝てると思っていなかったので、結果を残すことができてうれしい」と振り返る。今後は、「夏の大会の団体戦で、全国出場できるように頑張ります」と意気込みを見せている。(斎藤彩伽)



◎2年連続 収支均衡…函館市新年度予算案

 函館市は10日、2015年度予算案を発表した。4月に市長選を控えた骨格予算だが、一般会計は前年度当初比1・3%増の1386億7000万円で、過去最大となった。市長選後の政策予算分を含めて予備費に5億円を組み込んだが、2年連続で財源調整のために基金を活用しない収支均衡予算とした。予算規模拡大は、子ども・子育て新制度に伴う施設型給付費の増額や学校の耐震改修事業などが主な要因。26日開会の第1回定例市議会に提案する。

 一般会計は3年連続の増額で、事業の緊急性、継続性を考慮し、必要な政策的経費を盛り込んだ。港湾事業など特別会計は同10・4%増の932億9600万円、企業会計は同13・4%減の465億2200万円で、全会計総額は同1・2%増の2784億8800万円となった。

 一般会計の歳入は、市税収入が同2・3%減の313億8800万円。約7・3億円の減額のうち、法人市民税は交付税原資化に伴い2・5億円の減少、固定資産税は3年に1度の評価替えの基準年度に当たり、3・4億円の減収を見込んだ。普通交付税はほぼ前年度並みの339億円、臨時財政対策債などを含めた交付税全体で400億1000万円。

 予算不足を補う財政調整基金と減債基金の取り崩しは行わず、両基金の残高は15年度末で約33億円となる見通し。事業財源としては中心市街地活性化関連事業費に地域振興基金の4億4000万円、学校改修などの事業に公共施設整備等基金の5億5000万円、北海道新幹線開業記念イベントには観光振興基金5100万円などを活用する。

 市債は、通常債が88億円で、このうち合併特例債が27億9200万円など同13・4%減の132億1000万円。全会計の市債残高は2507億2700万円で本年度より24億円減少した。

 歳出では、人件費は給与制度見直し効果などを勘案し、同1・1%増の183億8300万円。扶助費は生活保護費が前年度とほぼ同額の219億円となった一方で、子ども・子育て支援新制度の導入に伴い、同3・8%増の409億8600万円となった。事業費は小中学校の耐震改修事業費を盛り込み、同9・9%減の149億5000万円となった。

 主な事業では、戸井西部総合センターの建設工事に着手。函館アリーナ、函館フットボールパークの整備が大詰めを迎える。中心市街地活性化関連では、市民交流プラザの実施設計経費、函館駅前通のアーケード撤去補助金など。観光関連では、新幹線開業関連イベントの開催経費、一次産業振興では6次産業化の取り組みを推進する農林水産物高付加価値化促進事業費補助金などを計上した。

 このほか、国民健康保険料は2000年度以来となる5%の引き下げ、介護保険料(1号被保険者)の基準月額は280円増の5300円に改定することなどを各会計予算に反映させた。病院事業会計にはドクターヘリ運航経費を通年で盛り込んだ。

 工藤寿樹市長は「18年ぶりとなった収支均衡予算が1年で逆戻りすることのないよう、政策予算の留保分を含めて予算化した。函館再生の動きを中断することのない編成となった」と述べた。(今井正一)


◎大妻高で初の「野菜たっぷりランチ作りコンテスト」

 函館市と市青果物地方卸売市場活性化対策委員会(藤谷博之委員長)は10日、函館大妻高校で「野菜たっぷりランチ作りコンテスト」を初めて開いた。食物健康科1年生35人が8班に分かれて野菜を使った料理に挑戦、和のイメージを表現した「おもいで定食」を考案した班(4人)が優勝した。

 近年の野菜の消費低迷を受け、新たな魅力の発見や利活用の拡大を目指すのが狙い。藤谷委員長が「ここで得た経験を学校や家庭で生かしてほしい」とあいさつ。

  試食会では、大豆をメーンに据えた定食や、野菜を細かく刻み苦手な人でも食べられるように工夫した料理などが並んだ。同委員会の会員や野菜ソムリエら7人が試食し、創意工夫やおいしさ、料理のテーマ性などについて慎重に審査した。

 「おもいで定食」は五目ご飯や野菜の肉巻き、トマトを使ったデザートなど5品。だしを丁寧に取り、野菜をバランス良く使って仕上げた。福原美咲さん(15)は「優勝を目指してメニューを考えたのでうれしかった」と笑顔で話した。(能代俊貴)