2015年2月13日 (金) 掲載

◎東大沼に観光施設整備 JR北と北洋銀など

 【七飯】JR北海道と北洋銀行は12日、2016年3月の北海道新幹線開業に合わせ、七飯町東大沼のJR函館線流山温泉駅周辺で体験牧場や宿泊施設などを含めた観光施設を整備すると発表した。東大沼で牧場を運営する農業生産法人と新会社を設立。飼育している北海道和種馬(ドサンコ)を体験観光に活用する計画だ。新幹線利用者のほか、増加する外国人観光客も取り込み、滞在、交流の拠点を目指す。

 JRは東大沼エリアに約150㌶の敷地を所有。バブル期の1989年にゴルフ場を核とした複合リゾート施設の計画を打ち出したが、バブル崩壊で規模を縮小。現在は約20㌶の敷地に日帰り温泉の流山温泉やパークゴルフ場、キャンプ場などを運営している。

 JRなどと新会社「どさんこミュゼ」をつくるのは、大沼流山牧場を運営する流山(宮本英樹社長)。宮本社長が新会社でも社長を務める。牧場では現在、ドサンコ10頭を含め馬25頭、羊100頭を飼育している。

 計画では、流山温泉をレストランとカフェテリアに改修。ほかにドサンコを活用し、乗馬体験やホースセラピーができる体験牧場をつくる。また、ログハウス1棟もあり、宿泊も可能。レストランでは飼育する羊の肉を提供する。今年10月にプレオープンさせ、新幹線が開業する来年3月に全面開業する予定。整備は段階を分けて行う構想で、ホテルやスイーツ工場の建設も計画に入っているという。

 新会社の資本金は3億1600万円。JRが敷地や建物、各施設を現物出資するほか、新幹線開業後はツアー造成や送客で全面的に協力する。また、流山が1次の生産で、ミュゼが馬の調教、販売、観光への活用(2、3次)といった具合に6次化を図ることから、北洋銀などでつくる1次産業の付加価値を高めるための「6次化産業化ファンド」が1億4900万円を出資する。「体験観光を加えた農業者の6次化は珍しく、6次化ファンドによる投資も全国初になる」(同行)。

 会社名のミュゼはフランス語で、ミュージアム(博物館)の意味。ドサンコの保存と体験がコンセプト。宮本社長は「動態展示でドサンコの魅力や文化を伝えたい。体験観光を組み合わせることで道南らしい交流拠点にする」と意気込んでいる。生産面ではドサンコの海外輸出も視野に入れているという。  JRは計画を進めるにあたり、流山温泉など各施設を2月末で閉鎖する。 (松宮一郎)



◎新駅−函館駅アクセス列車 愛称「はこだてライナー」

 JR北海道は12日、2016年3月に開業する北海道新幹線の新函館北斗駅と函館駅を結ぶアクセス列車の愛称を「はこだてライナー」にすると発表した。一般から公募し、最も多い名前だった。同社は「目的地の函館も入っており、ライナーとの組み合わせで、親しみやすく、分かりやすい名前」と理由を説明した。

 愛称は昨年11月から12月まで一般公募し、6173件の応募があった。決定した「はこだてライナー」が最も多く、289件だった。

 ほかに「函館リレー」や「リレーはやぶさ・はやて」「いさり火ライナー」などがあったという。同社は「新幹線を降りて函館に向かう道外の乗客にも分かりやすい名前になった」としている。

 アクセス列車が走る同区間は17・9㌔。同社は運行の詳細については明らかにしていないが、所要時間は20分を切り、17分で運行する見通し。車両は札幌圏で運行している快速列車「733系」がベースで、ロングシートタイプ。3両編成で441人乗り。デザインは新幹線H5系と一体感を持たせるため、側面にパープルのラインを入れるなど工夫を凝らしている。

 また、同社によると、同区間のうち電化が済んでいなかった新函館北斗駅—五稜郭駅(14・5㌔)の工事は、約9割が完成。すべての区間で電柱の設置が完了し、残すは七飯から新駅間2・9㌔に電線を架けるだけという。 (松宮一郎)



◎不漁ホッケ、タラ高騰 市場関係者「ありえない価格」

 旬を迎えたホッケやタラなどの価格が高騰している。漁獲量の減少が要因で、函館市内の市場関係者は「真ホッケが全然入ってこない」と口をそろえる。ホッケは市民にとってもなじみの魚だけに、消費者にも打撃を与えている。

 市農林水産部企画調整課によると、ホッケの1月の市場取引価格は、昨年が1㌔474円だったのに対し、ことしは5割以上高い741円まで上昇。市場取引量は前年同月比で57%減少しており、同課では「海水温の上昇などで不漁が続いており、取れたとしても小ぶりなものが多い」としている。冬場が旬のタラも同様で、1月の市場価格は前年同期の1・5倍をつけている。

 はこだて自由市場(新川町1)で鮮魚を扱う高松商店では、通常約400円で提供する50㌢ほどのホッケを6割高い650円で販売。店主の高松栄子さんは「今時期のホッケとしては、ありえない価格」と嘆く。近海産の真ホッケは入荷量が少ない状態が続き、店頭に多数並ぶのは外国産のシマホッケ。「輸入ものも円安の影響で高値が続いている」と苦悩をにじませる。

 同市場へ買い物に訪れていた市内の主婦高橋カツエさん(68)は「旬の魚を食べたいけれど、すぐ手が出せるような値段ではなくなっている」とため息交じりに話していた。  (山田大輔)


◎2期目採択へ計画案 実践型地域雇用創造事業

 はこだて雇用創造推進協議会(代表・入江洋之市経済部長)の本年度第3回総会が12日、市役所で開かれた。2012年度から進めてきた国の委託事業「実践型地域雇用創造事業」が本年度で終了となることを受け、15年度以降を計画期間とする新たな地域雇用創造計画を国に提案し、2期目の採択を目指す考えを示した。

 市や函館商工会議所、渡島総合振興局などでつくる同協議会は、国から3カ年で総額1億8241万円の委託金を受け、食、観光、中心市街地活性化の3分野で雇用拡大や人材育成、就職促進につながるセミナー開催などを展開している。

 新年度の採択を目指す次期構想では、地域の強みとして食と観光を融合、新たにITやデザイン産業といった「情報関連産業」を重点分野に絞った。人口減少や雇用のミスマッチ、若年層の就業対策など課題がある一方、北海道新幹線の開業や国際線の拡張といった好材料を追い風として、事務局の市労働課は「域外にものを売り、域外から人を呼び込むメニューを構築する」とした。

 ただ、入江部長は「国からは2回目の採択のハードルは高いと聞いている」と述べ、新たに土産品開発といった地域資源を活用した具体的な雇用創出につながる実践メニューを取り入れることを示した。

 今後、今月19日までに事業構想提案書と新計画案を提出し、厚労省のヒアリングや審査が行われる。採択が決定すれば、7月から18年3月までを計画期間に新たな事業を進める方針。

 同会議に引き続き、函館季節労働者通年雇用促進支援協議会の総会が開かれ、新年度の事業計画案、予算案を承認した。  (今井正一)