2015年2月14日 (土) 掲載

◎「そこのみにて光輝く」再上映中

 函館を舞台にした映画「そこのみにて光輝く」(呉美保監督)が「第38回モントリオール世界映画祭」や「第88回キネマ旬報ベストテン」など国内外の映画賞・祭で31冠を獲得したのを記念し、市民映画館「シネマアイリス」(本町22)で同作品がアンコール上映されている。昨年4、9月に続く3度目の上映だが、新規の客やリピーターのほか、本州からも映画ファンが訪れているという。

 原作は函館出身の作家、佐藤泰志(1949〜90年)の同名小説。悲しみを背負った男と愛を諦めた女との姿を描き、綾野剛さんと池脇千鶴さんらが出演。同映画館の菅原和博代表が企画・製作を務めた。

 7日にはキネマ旬報ベストテンの表彰式が東京で開かれ、呉監督や綾野さんらとともに菅原代表も出席。大正時代から続く国内では最も歴史のある映画賞で、同作品は日本映画1位や読者選出監督賞など5冠に輝いた。菅原代表は「作品を見た監督や俳優さんたちから函館で映画を撮りたいなどの声を頂いた。函館発信の映画が名誉ある賞をいただき、とてもうれしい」と喜ぶ。

 また、ヨコハマ映画祭やブルーリボン賞など多数の賞でも、函館のロケーションや魅力が高く評価されているという。現在は、「海炭市叙景」(2010年、熊切和嘉監督)、「そこのみにて—」に続く佐藤文学3部作最終章の製作に向け、準備を進めている。夏ごろの撮影を予定し、菅原代表は「受賞を励みに、1、2作品に劣らない映画を作りたい」と話している。

 アンコール上映の料金は一律1000円。問い合わせは同館(℡0138・31・6761)へ。(平尾美陽子)



◎留学生、ワカサギ釣り体験

 北海道国際交流センター(HIF)は15日まで、日本語・日本文化を学ぶ留学生が北海道の冬を満喫する「第12回国際交流 冬のつどい」を行っている。13日は大沼でワカサギ釣りを体験、留学生たちは楽しいひとときを過ごした。

 冬のつどいは2004年から毎年実施。今回は日本の大学や専門学校で日本語や日本文化を学ぶアメリカ、サウジアラビア、中国、台湾などの14国籍の留学生62人が参加した。

 留学生は10日に新千歳空港に到着し、札幌雪まつりを見学。11日に道南入り、12日は森町でスキーやクロスカントリーを楽しんだ。

 この日は大沼公園内の太公園(川村幸治代表)でワカサギ釣りを体験。降雪や寒さに見舞われながらも、1時間ほど夢中になって釣り上げていた。ヨウ・チツジョウさん(25)=台湾出身=は「台湾ではめったにできない体験をすることができてうれしい」、キマタ・リナさん(19)=オーストラリア出身=は「きれいな雪の中で、すぐにたくさん釣れて楽しかった」と笑顔。川村代表が揚げたワカサギの空揚げを移動中の貸切バス車内で味わった。

 その後、留学生は市内近郊の一般家庭にホームステイする組と、ふるる函館で地元大学生と合宿する組に分かれ、15日まで函館の冬を仲間とともに過ごす。(斎藤彩伽)



◎国保料5%引き下げ、函館市新年度

 函館市は2015年度の国民健康保険料を、1人当たりの平均で本年度から5%、約4300円引き下げ、8万2363円にする方針だ。市が国保料を引き下げるのは2000年度以来15年ぶりで、国からの支援策拡大とともに、被保険者の厳しい状況を考慮した措置。26日開会予定の市議会定例会に関連予算案を提出する。

 市の国保料は00年度に5・16%引き下げて以降、計7度引き上げられた。12〜14年度の3年間は据え置かれており、市議会などからは「道内他都市よりも高い」として引き下げを求める声が出ていた。

 市国保年金課によると、高齢化の進行で医療費が膨らみ、かつ低所得の加入者が増加していることなどから、国が「社会保障と税の一体改革」に基づき国保財政への支援金を拡充。新年度は国から3億2000万円の支援が見込まれるほか、市も一般会計から9000万円を繰り入れる。国保料引き下げを目的とした一般会計からの繰り入れは初めてとしている。

 市の国保事業特別会計は収納率低下に伴って赤字が続いているが、12、13年度は収納率向上対策を積極的に行い、単年度黒字を計上。2003年度で12億円あった累積赤字を1億3160万円まで圧縮するなど、改善傾向にある。同課によると、収納率は11年80・82%、12年81・43%、13年82・48%と向上しており「引き下げを収納率アップの追い風にしたい」(同課)としている。

 市内の被保険者は1月末現在で7万534人。新年度は後期高齢者医療制度や社会保険への移行が進むとして、被保険者は6万8000人程度まで減少する見通しとしている。(千葉卓陽)


◎あす合唱劇「森は生きている」、本番へ準備万全

 【北斗】北斗市総合文化センターで15日午後2時から上演する合唱劇「森は生きている」の総合練習が13日夜、同センターで行われ、出演者は本番を意識しながら演技の最終確認をした。

 北斗市内、近隣の合唱愛好者ら有志でつくる「永遠(とわ)にあかるく音楽会実行委員会」(熊本昇代表)の主催で、合唱劇の上演は5回目。作品は日本でも演劇やオペラでたびたび取り上げられ、「こんにゃく座」(川崎市)代表の萩京子さんが合唱劇用に構成した。

 今回、キャストや合唱団を含め約50人が出演し、裏方も含めると総勢80人が劇に参画。昨年5月の発会式から毎週1、2回、定期的にけいこを繰り返し舞台づくりに取り組んできた。

 この日の総合練習では、セットを舞台に配置し、幕開けから通して上演。出演者は衣装を着て迫真の演技を繰り広げた。総合指導の中村勝雄さんは「ここまできたら失敗を恐れず気持ちで演じてほしい」と出演者に期待を寄せた。

 今回の劇に出演する小・中学生7人が本番に向けて「練習の成果を本番で発揮したい」と意気込みを見せている。

 これまで上演した合唱劇と異なり、主役級の役を小・中学生が演じる。娘役に宮嶋優有さん(道教育大附属函館小6年)、女王役は平田菜乃花さん(北斗上磯中2年)が務める。

 宮嶋さんは函館市内の教室で声楽の指導を受け、平田さんも合唱部に所属。ともに持ち前の歌唱力を生かし、役作りに励んできた。宮嶋さんは「来てくれたお客さんに楽しんでもらえるよう頑張ります」、平田さんも「自分の心に何かを感じてもらえるよう演じたい」と話す。

 2人のほかに、平田さんと同じ合唱部に所属する小川結愛さん(北斗上磯中2年)、築田拓瑠君(同1年)がそれぞれ「娘の姉」役、「4月の精」役を演じる。「3月の精」役には高橋希さん(函館港小4年)、「リス」役に小川さんの妹、結夢さん(北斗上磯小4年)、「ウサギ」役に宮口智琉君(北斗浜分小2年)がそれぞれ演じる。

 築田君は「演技は初心者だけど自分なりに一生懸命演じたい」と意欲を口にした。(鈴木 潤)