2015年2月16日 (月) 掲載

◎迫真演技 1300人魅了…初春巴港賑

 函館の新年を飾る恒例の市民歌舞伎「第37回初春巴港賑(はつはるともえのにぎわい)」が15日、市民会館大ホールで開かれた。市内の各界著名人ら40人が出演し、ほぼ満員の1300人が訪れ、迫力ある演技に惜しみない拍手を送った。また、サプライズゲストとして高橋はるみ道知事も駆けつけ、会場を盛り上げた。

 実行委(今均実行委員長)、市文化・スポーツ振興財団主催。函館新聞社など後援。

 今回の演目は「口上」「仮名手本忠臣蔵 三段目—松の間刃傷の場、四段目—判官切腹の場」「白浪五人男〜稲瀬川勢揃いの場」「碁盤太平記 山科閑居〜大石妻子別れの場」「義士外伝 大石東下り〜立花左近出合の場」。なじみのある“赤穂浪士”シリーズを中心とした。三段目の判官が師直に切りかかるシーンや四段目の判官が切腹するシリアスな場面に、観客は息をのんで引き込まれていた。碁盤太平記の碁石と三味線を使ったリズミカルな演出にも会場は魅了された。

 「口上」には、今委員長、工藤寿樹市長、前田一男衆院議員、逢坂誠二衆院議員、沼本奈美日銀函館支店長、本間哲函館市医師会長が登壇(述べた順)。今委員長は「舞台と観客の皆様が一体となって楽しんでいただければ」とあいさつ。工藤市長は市政発展への感謝を市民に告げるとともに、大間原発の建設差し止めや稼働反対について抱負を述べた。沼本さんは函館の経済の持ち直しについて、本間さんは16日に就航するドクターヘリに関する話題を語った。

 また、最後の幕が上がる前に高橋知事がゲストとして登場。「さまざまな分野で活躍する市民が演じ、これまで守り抜いてきた歴史ある市民歌舞伎は、本当に素晴らしい。心からお礼申し上げます」と話した。(斎藤彩伽)



◎市民ら熱演、熱唱…北斗で合唱劇「森は生きている」

 【北斗】市民合唱劇「森は生きている」が15日、北斗市総合文化センターで開かれた。訪れた大勢の来場者は、舞台上で繰り広げられる出演者の見事な演技や清らかな歌唱を存分に楽しんだ。

 市内、近隣の合唱愛好者らでつくる「永遠(とわ)にあかるく音楽会実行委」(熊本昇代表)が、同市が誕生した2006年からほぼ毎年開催している音楽会で、合唱劇を上演するのは5回目。

 取り上げた作品はロシアの児童文学作家、マルシャーク原作の著名な戯曲で、日本でもこれまで演劇やオペラの題材としてたびたび取り上げられている。「こんにゃく座」(川崎市)代表の萩京子さんが合唱劇用に構成した。

 劇中には、継母と姉によって冬の森に行かされマツユキ草探しを命じられた主人公の娘や、マツユキ草探しのおふれを出した、わがままな女王、1月から12月までの各月の精などが登場。合わせて28の配役のうち、主要な役を小中学生7人が演じた。

 せりふのやりとりや演技とともに、出演者の美しいソロや混声合唱、全体合唱などの美しいメロディーを挟みながら物語はドラマティックに展開。森に宿っている自然の力や、のけなげに生きる娘の心情などを鮮やかに表現した。

 鹿部町から来場した鈴木耕一郎さん(64)は「娘役のソロの歌声が素晴らしかった。ストーリーも面白かった」と興奮した様子で感想を話した。

 熊本代表は「練習は苦しかったけど、今は充実感でいっぱい。これからも頑張る勇気を得た」と話していた。(鈴木 潤)



◎函館市民スケート場が今季営業終了

 函館市民スケート場(金堀10)の今季の営業が15日、終了した。昨年12月13日のオープン以来約2カ月間で計3万5345人(昨年同期比355人増)が滑走を楽しんだ。同場を管理・運営する函館市文化・スポーツ振興財団は「営業が中止になった日もあったが、週末に好天が続いたことやイベントデーの実施が功を奏した」と分析する。(小杉貴洋)

 同リンクは冬期間使用されない函館競輪場に氷を張る作業をオープンの1カ月ほど前から続け、営業期間内でも快適に滑ってもらおうと昼夜を問わず製氷作業を行ってきた。一般利用以外にも中央にあるサブリンクではフィギュアスケートの練習や少年団、社会人らによるアイスホッケーの試合などでも活用された。

 ただ今季は、オープン当初から悪天候に左右されることも多く、営業2日目から2日間にわたってリンク整備が必要となったことから、中止を余儀なくされることもあった。

 それでも1月11日の1286人をピークに週末や氷上ゲームや飲料が無料配布されたイベントデー(計3回)では連日、1000人を超える盛況となった。日曜日の午後からは特に家族連れを中心とした来場者が目立ったという。

 最終日は家族連れや友人同士らで訪れた人たちで朝からごった返し、昼過ぎなるとピークを迎えた。この日は1041人が来場した。母親と遊びに来たという小林まゆさん(柏野小3年)は「休みの日には良く来てて、今季は10回ぐらいだった。来年もいっぱい滑りたい」と話していた。(小杉貴洋)


◎地域とともに発展…函大開学50周年

 函館大(溝田春夫学長)は今年、開学50周年の節目を迎える。商学部のみの単科大学という強みを生かし、専門分野に対応できる有益な人材を育成してきた。小規模ならではのきめ細やかな指導や地域と連携した授業「商学実習」による実践教育に力を入れる。10月に開催予定の式典など、記念事業の検討も進めている。

 初代学長を務めた野又貞夫氏(故人)が、1965年に高丘町に開学。しかし、新築した本館校舎は68年5月16日の十勝沖地震により全壊。震災復興校舎は69年に落成した。87年には商学・会計コース、経営情報コース、国際英文秘書コースの3コース制を導入、2010年に企業経営コース、市場創造コース、英語国際コースに再編した。商学部ながら、英語の教員免許を取得できる。

 少子化の荒波の中、一時300人とした入学定員は、13年には120人まで減少。時代や社会のニーズに応じ、改革を行いながら歴史を刻んできた。

 これまで卒業生は9560人を数え、函館市議会の松尾正寿議長や函館商工会議所の松本栄一会頭(前身の函館商科短大卒)、函館国際観光コンベンション協会の渡邉兼一会長、函館市町会連合会の木村一雄前会長ら函館の重要ポストで活躍する人も多い。スポーツ界では、埼玉西武ライオンズに所属する坂田遼外野手が有名だ。

 かつては道外出身者が多かったが、現在は道南50%、東北25%、その他25%となり、地元から入学する学生が増えた。小規模校のため学生一人一人に目が届きやすく、面倒見が良いことに定評がある。また、1、2年生が受講する商学実習Ⅰ・Ⅱは、自ら課題を見つけ、解決する方法を身に付ける特色ある教育として注目される。北海道新幹線やGLAYライブ、中島廉売など幅広いテーマを取り上げており、調査を通じ地域貢献を目指す。

 就職実績の高さも際立つ。13年度は96・7%となり、学生に対してきめ細かい就職支援を行っている成果が現れた。地域貢献では、13年10月から毎週金曜に函館新聞の紙面で「函館大学紙面公開講座」を掲載。教員が大学の活動を分かりやすく解説し好評を得ている。

 函大は50周年を「大きな節目」と捉えており、学内に準備委員会を設置し記念事業に取り組む。広報、記念誌、式典、事業の4部会を設け内容の具体化を急ぐ。

 函大の堀田寿生事務局長は「地元と密着した大学づくりを進め選んでもらうことが重要。そして地元で活躍できる人材を送り出したい」と話している。(山崎大和)