2015年2月17日 (火) 掲載

◎道南ドクターヘリ就航、救命救急新たな一歩

 国内44機目、道内4機目となる道南ドクターヘリの就航式が16日、函館空港の格納庫で開かれた。高橋はるみ知事、工藤寿樹函館市長ら関係者約120人が出席してテープカットを行い、道南圏の救命救急医療の新たな一歩を祝うとともに、今後の安全運航への願いを込めた。

 道南ドクターヘリは渡島・桧山管内の18市町や医療機関でつくる運航調整委員会(浅井康文委員長)が導入。市立函館病院を基地病院とし、年間3分の2を同病院、3分の1は道南圏の12病院と札幌医大の医師、看護師が搭乗して処置にあたる。年間約360件の出動を見込んでおり、国と道の補助金で賄いきれない経費は18市町が負担する。

 就航式には管内自治体の首長や医師、看護師らスタッフが出席。浅井委員長は「奥尻や北桧山地域からの救急搬送に貢献できる。ドクターヘリを導入して良かったと思われるよう、救急体制の構築に寄与したい」とあいさつした。

 来賓の高橋知事は「きょうがスタートライン。1人でも多くの道民の命を守るため、皆さんが心を一つにしてほしい」、工藤市長は「スタッフには安全第一を心掛けてもらい、迅速な救命救急活動に尽力してほしい」と述べた。その後、真新しい機体の前に関係者が並んでテープカットを行った。

 市立函館病院救命救急センターの武山佳洋センター長は「地域で医療に携わる者としてうれしく思う。遠隔地での事故や急病、重篤患者に、医師と看護師が少しでも早くアクセスできるのが一番。災害時の医療にも大きく貢献できるのでは」と話した。

 ドクターヘリは疾病者の状況に応じて各消防本部が出動を要請し、市立函館病院から空港の格納庫で待機しているスタッフが指示を受け、5分以内に出動して現場に向かう。運航時間は午前9時から日没まででとしており、2月は午後4時半まで。運航初日は出動機会がなかった。(千葉卓陽)



◎春節商戦が本格化

 中華圏の旧正月「春節」の連休期間が18日から始まるのをにらみ、函館市内の大型小売店では外国人旅行客向けのサービスを強化している。菓子や化粧品など人気商品の売り場を目立たせたり、品数を増やしたりするなど工夫を施し、中国や台湾などから訪れる観光客の取り込みを狙う。

 大手スーパーのダイエー(東京)は16日、免税対応の店舗を全国で7店から103店に拡大。函館市内、近郊では上磯店(北斗市七重浜)とグルメシティ万代店(函館市万代町1)が新たな対象となった。2010年から免税手続きを行っているダイエー湯川店(函館市湯川3)では、人気のステンレス製水筒や包丁などの品数を強化。需要が高い抹茶菓子は特設のコーナーを設置し、まとめ買いする外国人客への対応を図る。

 丸井今井函館店(函館市本町32)は、「日本のおみやげ特集」と題したチラシを作成し、市内の宿泊施設に配置。伝統工芸品や菓子など約15点を写真と共に、英語や中国語で説明している。また、化粧品や食品などの売り場にはポップを取り付け、目を引くようにした。

 棒二森屋(函館市若松町17)は、外国人客の売れ行きが良い化粧品や土産品のコーナーを充実させた。菓子の売り場では、抹茶風味のチョコレートなど人気商品を目立つように並べる予定だという。

 テーオーデパート(函館市梁川町10)は、1日から免税対応を開始。化粧品や輸入ブランド品を扱う売り場が人気を集めており、今後は旅行者への告知方法などで工夫を図る。(山田大輔)



◎北斗市新年度予算3年ぶり減少

 【北斗】北斗市の高谷寿峰市長は16日、2015年度の当初予算案を発表した。一般会計の総額は195億2312万円で、市長選挙後に本格編成した14年度補正予算よりも10億1800万円減額、率にして5%減となった。減少は12年度以来3年ぶり。来年3月開業の北海道新幹線関連工事をはじめとする大型の建設事業が終了したことが主な要因。6特別会計と水道事業会計を合わせた全会計総額は338億6169万円で、同2・2%減だった。3月開会予定の第1回定例市議会に提案する。

 一般会計の歳入は、市税が個人所得割、法人税割の伸びを見込んで同1・4%増の48億5810万円を計上。地方交付税は同6・2%減の57億9270万円を見込んだ。市債はごみ破砕処理建設事業が本年度で終了したことなどから前年度比26%減の10億4760万円となった。

 歳出は民生費が同1・4%減の79億1950万円、土木費が同11・7%減の22億9293万円、公債費が23億3942万円。

 事業別では、新函館北斗駅前の周辺整備に1億3429万円を見積もり、立体駐車場の仕上げ工事(9450万円)や公園、駅前広場のロータリー、バス・タクシー乗降施設の整備(3980万円)などを行う。

 同駅内の観光交流センターの運営経費3079万円を負担するほか、情報提供設備導入の経費に1123万円計上。開業前イベントに2000万円を充て、開業PRや機運醸成を図る。

 このほか、江差線の「道南いさりび鉄道」への初期投資に4061万円。

 高谷市長は「まずは駅周辺整備を完成させること、企業誘致や今後の観光振興につながるような産業施策を最優先とした予算とした」と述べた。(鈴木 潤)


◎日本一甘いカボチャで函館銘菓開発、販売へ

 函館市高盛町の老舗和菓子製造、吉田食品(吉田貴之社長)は、森町駒ケ岳のみよい農園(明井清治社長)の有機栽培カボチャ「くりりん」のペーストを活用したスイーツの開発、販売に乗り出す。1年後に迫った北海道新幹線開業をにらみ、函館を代表する菓子、土産品に育てていく考えだ。

 両社の計画は、今月2日付で経産省と農水省の支援制度、農商工連携に認定された。新製品開発には金融機関からの低利の融資などを利用する。

 同農園で栽培されているくりりんの糖度は最高30・5度で、日本一の甘さと評されている。畑の中の微生物にホタテの貝殻の付着物など「海のミネラル」を取り入れる土壌づくりで高い糖度を実現。有機JAS認証も受け道南を代表するブランド商品になった。

 同農園ではペーストを自社製造しているが、皮は廃棄処理していた。ペースト化に目途が立ったことから、吉田食品は皮も使った新製品の開発に取り組む。くりりんの高いブランド力を活用し、「黄金の南瓜スイーツ」シリーズとして売り出す計画。バウムクーヘンやパイ、チーズスフレなど洋菓子をはじめ、和菓子やどら焼きなども製造する。

 吉田食品は新幹線開業を見据え西桔梗町に、今年11月には工場、来年3月に新店舗を新築する計画を進めており、カボチャのスイーツを主力商品に据える。試作も順調で、年内にも催事などの場で試験販売を開始するという。

 16日には乃木町の北海道中小企業家同友会函館支部の事務所で認定キックオフ会が開かれ、道経済産業局と道農政事務所の担当者が両社長に認定証を手渡した。吉田社長は「新幹線開業で土産品の需要は確実に増える。新ブランドを確立し人気商品にしたい」と意気込む。明井社長は「菓子と一緒にカボチャのブランド価値もさらに高めていければ」と語った。(松宮一郎)