2015年2月19日 (木) 掲載

◎道新幹線 宇都宮駅停車を要望 工藤、佐藤両市長

 道南産品のアンテナショップ「フードカンねばねば本舗」(函館市若松町19)は21日から、ガゴメコンブしゃぶしゃぶセットのテスト販売を始める。函館産のガゴメをしゃぶしゃぶ用に薄く削った高級品で、まろやかな味と職人技、こだわりのだしを楽しめる豪華な詰め合わせにした。同店は「函館からの手土産やギフトにしてもらいたい」としている。

 函館地域産業振興財団と北大大学院水産科学研究院、渡島総合振興局、北洋銀行函館中央支店で構成する産学官金連携組織「道南食と観光クラスター型6次産業化推進協議会」の事業。国土交通省の補助金を活用している。

 事業主体で同店を運営するノーステック(函館市昭和3)の橋本真一社長は「函館から土産を持参するときにぴったりの品物がないという声を聞いたことが考案のきっかけ。新しいガゴメコンブの食べ方を提案しようと企画した」と話す。

 商品は2人分。ガゴメの厚切り10㌘と、七飯町の王様シイタケの粉末や北斗市産の煮干し、函館産のマコンブなどをパックにしただし、マコンブのカット、ガゴメポン酢がセットになっている。

 豊川町の梶原昆布店(梶原健司社長)の職人が削ったガゴメは、絶妙の厚さが特徴。「薄すぎるとお湯に入れた時に形が崩れる。逆に厚いと口の中でねばりが強くなってしまう。厚さは試行錯誤を繰り返した」と橋本社長。ガゴメを食べた後に別の鍋料理をすることでさらにだしが効くという。今年のお歳暮商戦での本格販売を目指している。

 同協議会は本年度、函館のガゴメコンブをはじめとした海藻の活用法を探り、観光を含めた6次産業化に道筋をつけてきた。同財団の猪飼秀一専務は「新年度は、新幹線開業を控えて地域資源の活用に取り組む北斗市や七飯町、木古内町にも輪を広げ、応援していきたい」としている。

 セットは2人分。3000円。試験販売のため数量限定。問い合わせは同店(TEL0138・27・4777)へ。(松宮一郎)



◎ドクヘリ初出動 森から函館へ患者搬送

 医師と看護師が乗り込み救急現場に駆け付ける「道南ドクターヘリ」が18日、森町国民健康保険病院から市立函館病院へ患者を搬送するため初出動した。天候が悪く、恵山地区を迂回(うかい)したが、森町の医療機関や消防との連携もスムーズに進み、出動要請から約45分で搬送を完了した。

 ドクターヘリ事務局などによると、患者は国保病院に外来受診を受けにきた70代の男性で、内因性の疾患があり、同病院からの連絡を受けた函館病院への搬送が決まった。同日午前11時11分、森町消防本部から運航管理室にドクターヘリの出動要請が入り、同18分に機長、整備士、医師、看護師の4人を乗せて函館空港を飛び立った。

 通常は函館空港から森町へ最短ルートで向かうが、天候条件が悪く恵山地区を迂回。同30分ごろ、森町民体育館横のみどりのレクリエーション広場に到着し、救急車から患者を運び、同44分に出発。救急搬送ではなかったため機内での治療は行わず、同55分、函館病院のヘリポートに着いた。

 両病院間は直線距離で約40㌔、風の影響を受けなければ片道5分ほどで搬送できるという。救急車を利用した場合は片道40〜45分かかり、森町に戻るまでの間は、別の救急要請に対応できない。救急車の効率的な配置と地域医療の安定にドクターヘリの機動性が大きな役割を担うことが実証された形だ。

 同事務局は「今回は急を要するケースでなかったため、森側との連携も落ち着いてうまくできた」とし、「天候など想定外のことが起こり得ることを再認識する良い機会になった。今後も随時改善していきたい」と話した。(蝦名達也)



◎ハワイ沖で函水高生不明 実習船から転落か

 18日未明、米ハワイ・ホノルル島から南西約200㌔の沖合で、道の実習船「北鳳(ほくほう)丸」(664㌧)に乗船実習していた函館水産高校機関工学科2年の男子生徒(16)が行方不明になったと同校に連絡が入った。男子生徒は海中に転落した可能性が高いという。米沿岸警備隊などが捜索している。

 同校などによると、現地時間の17日午前6時35分ごろ、船内で朝食ための点呼を取った際に、男子生徒がいないことに気付いたという。男子生徒は同16日午後9時から17日午前0時まで船内の確認などをする当直業務に当たっていた。船内の後部に設置しているカメラで、当直を終えた4分後に男子生徒がデッキに出る姿が確認されていた。その後、戻る姿はなかったという。

 北鳳丸の乗員らは男子生徒の不在に気付き、すぐに引き返し、同7時55分ごろに米沿岸警備隊に救助を要請。航空機2機が出動したほか、北鳳丸と、千葉県と高知県の水産高校の実習船も現場付近の海域で捜索。さらに同隊の巡視船1隻と、国内の実習船9隻も付近の海域に向かっている。当時の天候は晴れで、波は穏やかだったという。

 北鳳丸には同校生徒39人と教諭4人、乗員26人が乗船。実習は1月20日に始まり、23日に函館港を出港。中部太平洋でマグロのはえ縄漁やエンジン操作などの実習後、今月14日にハワイ・ホノルルに到着した。現地で「えひめ丸」(愛媛県立宇和島水産高校実習船)の慰霊碑を訪ねたほか、観光地を巡るなどしていたという。現地時間の16日午後4時ごろにホノルルを出港。3月3日に漁獲したマグロの水揚げのために静岡県の清水港に寄港し、同8日に函館に帰港する予定だった。

 同校は18日午後0時45分ごろ、記者会見を開いた。同高の三ツ石茂之校長は、携帯電話に渡島教育局から連絡を受け、男子生徒の保護者に事情や経緯を説明した。また同校が北鳳丸に連絡したところ、乗船している実習生はショックを受けた様子だが、体調を崩している人はいないという。三ツ石校長は「言葉がなかった。捜索を見守り、無事に帰還することを祈るしかない」と言葉を詰まらせた。

 同校は同日午後7時に、実習に参加している生徒の保護者を対象にした説明会を開いて、約30分にわたって状況を説明。個別の相談にも対応した。


◎空き家対策特別措置法 今月施行 所有者の意識向上に期待

 昨年11月に成立した「空き家対策特別措置法」(空家等対策の推進に関する特別措置法)が2月末までに一部、施行される。倒壊の危険性や衛生上の問題があるなどした空き家に対し、自治体が立ち入り調査を実施したり、代執行での強制撤去を可能とする。函館市は昨年1月に施行した「空き家等の適正管理に関する条例」に従い、所有者に適正管理を促しているが、同法の施行でさらなる管理意識向上が期待される。

 市条例は空き家所有者の責務を定めたもので、各部局が把握していた情報を集約し、倒壊の恐れなど危険度の判定作業などを進めている。条例施行から1年が経過し、市住宅課は「所有者に適正管理を促すことで解体が進んだり、周辺環境の改善につながるなど条例の効果が出ている」とする。

 新法は、全国的に増加する空き家対策を強化するためにつくられた。適切な管理が行われず、特に地域の防災や衛生、景観上に問題がある物件を「特定空家等」と指定し、所有者割り出しの調査に自治体の持つ固定資産税情報の活用ができるようになるほか、所有者に対する助言、指導、勧告などの措置を定めた。税制改正大綱では、敷地内に家屋がある場合の固定資産税が減額される特例措置から「特定空家」を除外することも盛り込まれている。

 所有者に適正な管理を求める手順などは市条例の規定とおおむね相違なく、同課は「全国一律の法律ができたことで、空き家対策を進めやすい状況になる。所有者の管理意識向上にもつながる」とする。今後、法施行に合わせて「特定空家」の基準などを盛り込んだ基本指針やガイドラインが国から示される予定で、同課は「条例内容の精査も進めたい」としている。(今井正一)